COLUMN
気温4℃上昇で天然雪だけなら、安定営業できるのは全国7ゲレンデ。研究が突きつけた日本の雪山の未来
2026.08.22
日本の雪山は、これからどうなっていくのか。
北海道大学と森林総合研究所の共同研究チームが8月3日、日本全国349カ所のゲレンデを対象に、気候変動が将来の営業可能性に与える影響を分析した研究成果を発表した。
その結果は衝撃的だ。気温が4℃上昇した条件では、天然雪だけで年間100日以上、安定的に全面営業できるゲレンデは、全国でわずか7カ所。一部営業が可能な場所を含めても26カ所にとどまるという。
ただし、これは「将来、日本のゲレンデが7カ所しか残らない」という意味ではない。今回の研究では人工降雪機や造雪施設を考慮せず、自然積雪のみで年間100日以上営業できるかを基準としている。
研究では、1951~2011年を対象とした「過去実験」に加え、2030~2091年に相当する「2℃上昇実験」、2050~2111年に相当する「4℃上昇実験」を実施した。
2℃上昇の場合、天然雪だけで全面営業可能なのは53カ所、一部営業可能なのは108カ所。それが4℃上昇になると先述したとおり、それぞれ7カ所、26カ所まで減少する。北海道や長野県など、高緯度・高標高地域では相対的に営業可能性が高いと予測された。
スノーボーダーにとって、もうひとつ見逃せないのが新雪日数の減少だ。過去実験では、日本海側や北海道札幌市の西側、奥羽山脈沿い、新潟・長野・群馬県境周辺などで年間20日を超えていた新雪日数が、4℃上昇条件では多くのゲレンデで年間10日以下になると予測されている。
世界から「JAPOW」と称賛される日本の雪。その価値を支えているのは積雪量だけではない。冬の間に繰り返し雪が降り、雪面がリセットされるからこそ、日本ならではのパウダースノー体験が生まれている。新雪日数の減少は、その体験そのものが変わる可能性を意味する。
さらに研究チームは、高緯度・高標高のスノーリゾートへの需要集中による混雑や価格上昇、低標高や地方部のゲレンデ減少によって、地域住民や子供たちがスノースポーツに触れる機会が失われる可能性も指摘している。
これは、スノーボード文化の未来を考えるうえで見過ごせない問題だ。地元のゲレンデで初めてボードに立ち、仲間と滑り、スノーボードを好きになる。そうした場所が全国各地に存在してきたからこそ、日本のスノーボード文化は広がってきた。
気候変動によって変わる可能性があるのは、雪の量だけではない。世界が称賛する日本の雪と、そこから育まれてきたスノーボード文化を次の世代へどう残していくのか。今回の研究結果は、その未来について考えるキッカケになりそうだ。
未来の日本で、誰が、どこで、スノーボードと出会えるのか。今を生きるスノーボーダーとして、真剣に向き合っていきたい。
text: Daisuke Nogami(Editor in Chief)
出典: 森林総合研究所・北海道大学「気候変動でスキー場はどのぐらい減るのか? ~気温4℃上昇で安定営業できるスキー場は全国で7か所に~」
2026年8月3日発表




