BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

雪だけでは世界の滑り手を満たし続けられない。ニセコはリフト網と滞在体験をどうアップデートするのか

2026.07.26

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世界中から滑り手が訪れる北海道・ニセコで、リフト網と滞在体験のアップデートが進んでいる。
 
ニセコユナイテッドは6月25日、ニセコビレッジとニセコアンヌプリ国際におけるゴンドラ更新計画を発表した。ニセコビレッジでは、既存の「森のチェアリフト」に代わる新たな8人乗り「森のゴンドラ」の建設を進めており、第1区間は2026-27シーズン、第2区間は2027年の開業を予定している。ニセコアンヌプリ国際では、1985年から運行してきたゴンドラを2028-29シーズンに向けて全面更新。輸送力は現行の毎時約1,440人から約2,800人へ、ほぼ倍増する計画だ。
 
だが、この動きはビレッジとアンヌプリだけの話ではない。ニセコ東急 グラン・ヒラフでは、「Value up NISEKO 2030」プロジェクトの一環として、すでに新ゴンドラ「ACE GONDOLA」が2024年11月30日より運行を開始している。10人乗りの最新鋭ゴンドラで、キャビン内にはシートヒーターとWi-Fiを完備。従来のセンターフォーと比べ、輸送力は1時間あたり約1.5倍に向上した。
 
さらに同プロジェクトでは、100億円超規模の投資が掲げられており、2025-26シーズンにはACE GONDOLA山頂駅舎2階に新レストラン「NEST813」を開業、2026-27シーズンにはエース第3リフトを4人乗りフード付きリフトへ更新する予定だ。
 
ニセコユナイテッドを構成するニセコ東急 グラン・ヒラフ、ニセコHANAZONO、ニセコビレッジ、ニセコアンヌプリ国際。それぞれのエリアが個別に設備投資を進めているように見えるが、全体として見れば、ニセコという山岳エリアの体験価値を引き上げるための再設計と捉えることができる。
 
リフトやゴンドラのアップデートは、単なる老朽化対応ではない。輸送力の向上、混雑緩和、乗車時の快適性、荒天時や寒冷時の安心感、ベースエリアから山上エリアへのアクセス、そして滑走前後の過ごし方まで含めて、来場者の体験を左右するインフラである。
 
とりわけニセコのように海外から長期滞在者が多く訪れるエリアでは、降り積もる雪質だけでなく、滞在全体のスムースさが評価に直結する。朝のリフト待ち、エリア間の移動、食事、休憩、ナイター、春や夏の過ごし方。そうした細部の積み重ねが、世界のスノーリゾートと比較されたときの競争力になる。
 
先日、観光庁は「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」において、2026年度の支援対象として17地域を選定した。そこでも問われていたのは、雪そのものだけではなく、二次交通、受入環境、多言語対応、ゲレンデインフラ、滞在コンテンツを含めた地域全体の競争力だった。
 
ニセコで進むリフト網と滞在体験の進化は、その問いに対する具体的な動きのひとつと言える。
 
もちろん、設備投資が進めばすべてが解決するわけではない。混雑、価格高騰、ローカルとの関係、働き手の確保、自然環境への負荷など、世界的な人気エリアであるからこそ抱える課題もある。リゾートとしての利便性が高まるほど、その土地に根づく滑りの文化をどう守り、どう次世代へつないでいくのかも問われる。
 
それでも、世界中から選ばれる雪山であり続けるためには、雪の魅力だけに頼り続けることはできない。
  
ニセコで進むリフト網と滞在体験の進化は、日本のスノーリゾートがこれから何を磨き、どのような価値を届けていくのか。その問いを考えるうえで、重要な動きである。

text: Daisuke Nogami(Editor in Chief)

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