BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

素早く締めるだけでなく、きめ細やかに緩める。BOA H5が示すブーツフィットの次なる進化

2026.07.19

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プロダクトを語るうえで、足と直接つながるブーツ選びが重要なことは周知の事実である。そのなかでも、特にフィット性は譲れない。シューレース、クイックレース、BOA。どの方式であっても、足とブーツの一体感が滑りに影響することは、多くのスノーボーダーが体感してきたはずだ。

硬さ、軽さ、保温性、履き心地。ブーツ選びにはさまざまな基準がある。だが、最終的に滑り手が求めているのは、自分の足とブーツ、そしてバインディングを介してボードまでがどれだけ違和感なくつながるか、という感覚なのかもしれない。

BOA® Technologyが、スノーボードブーツ向けの次世代ダイヤルプラットフォーム「H5」を発表した。2001年に初のBOA搭載スノーボードブーツが登場してから四半世紀。今回のH5は、スノーボードブーツでは初となる、締める方向と緩める方向の両方向で微調整できる機能を備えている。

これまでBOAの大きな価値は、素早く締められること、安定したフィットを得やすいことにあった。H5で興味深いのは、そこに「わずかに緩める」という操作が加わったことだ。レーステンションを完全に解放することなく、フィット感を細かく調整できる。この差は大きく見えないかもしれないが、長時間滑るライダーにとっては決して小さくない。

パークを流すとき。ハイクアップを繰り返すとき。パウダーを滑ったあと、圧雪バーンへ戻るとき。あるいは、午前と午後で足の状態が変わるとき。

ブーツのフィットは、常に一定であればいいというものではない。しっかり締めたい瞬間もあれば、わずかに逃がしたい瞬間もある。H5の両方向微調整は、その変化に対してライダー側がより細かく介入できる技術と言えるだろう。

あわせてBOAは、BOA® PerformFit™ Wrapソリューションの拡充も発表している。これは足、足首、下腿部を均一に包み込み、カカトの固定やミッドソールとの一体感を高める構造だ。BOAのHuman Performance Fit Labの調査では、従来のシューレース式スノーボードブーツと比較して、最大4.5%のパワー伝達向上、最大9%の安定性およびコントロール性向上が示されているという。

もちろん、これらはBOA側の研究結果であり、実際の体感はブーツブランドの設計、スノーボーダーの足型、滑り方、好みによって変わる。数値だけで「性能が上がった」と結論づけるのではなく、今後どのブランドのどのモデルに搭載され、滑り手がどのように感じるのかを見ていく必要がある。

ブーツのフィットには、ひとつの正解があるわけではない。シューレースの締め上げ感を好むライダーもいれば、クイックレースの扱いやすさを選ぶライダーもいる。BOAの精密な調整を必要とするライダーもいる。大事なのは方式そのものの優劣ではなく、自分の足、自分の滑り、自分が立つ地形に対して、どれだけ納得できるフィットを作れるかだ。

H5が示しているのは、そのフィットを「得る」だけでなく、状況に応じてより細かく「調整する」方向への進化である。締めるだけでなく、わずかに緩める。完全に解放するのではなく、テンションを残したまま微調整する。その操作性が、ライダーとブーツの関係を少し変える可能性がある。

かつてブーツを締めることは、滑る前の準備だった。これからは、滑りのなかでコンディションや身体の変化に合わせるための操作になっていくのかもしれない。

BOA H5の登場は、スノーボードブーツの未来を語るうえで、ひとつのわかりやすい節目になりそうだ。

text: Daisuke Nogami(Editor in Chief)

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