BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

アメリカ主要リゾートのリフト1日券ピーク時価格は4万円超の時代へ

2023.09.25

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今シーズンより、北海道・ルスツリゾートのリフト1日券が前シーズンよりも2,700円値上げされて11,500円になったことで、日本でもついにリフト1日券1万円時代に突入。何年も前から海外ではリフト1日券が1万円以上しており、北米の高級リゾートでは2万円を超えていた。
 
コロナ禍直前の2020年2月25日、筆者は米コロラド州ベイルを訪れていたのだが、アイキャッチ画像にあるように、当日のリフト1日券は209ドル。この日は平日だったので、休日になればこれ以上の価格になるわけだから、当時の為替でおよそ23,200円(1ドル約111円)だったことに大きな衝撃を受けた。
 
海外リフト券相場の話になると為替の影響が大きいため、現在の円安ではそのインパクトはさらに大きくなるわけだが、アメリカの主要リゾートではドル価格でもリフト1日券が高騰し続けていると、ゲレンデ情報サイト「SNOW BRAINS」が報じている。価格変動制を導入しているリゾートが多いためピーク時の料金で比較しているのだが、リフト1日券が4万円を超えるリゾートがいくつも出てきた。トップ10は以下のとおり。
 
1位 299ドル(約44,300円): ユタ州パークシティ、コロラド州ベイル、同ビーバークリーク
2位 289ドル(約42,800円): ユタ州ディアバレー
3位 279ドル(約41,300円): カリフォルニア州パリセーズ・タホ、コロラド州スティームボート、同ブリッケンリッジ
4位 269ドル(約39,800円): カリフォルニア州ノーススター、コロラド州キーストーン
5位 259ドル(約38,300円): カリフォルニア州ヘブンリー、同マンモスマウンテン、コロラド州カッパーマウンテン
6位 255ドル(約37,700円): ワイオミング州ジャクソンホール
7位 249ドル(約36,800円): モンタナ州ビッグスカイ
8位 244ドル(約36,100円): コロラド州スノーマス、同アスペン、同アスペン・ハイランズ、同バターミルク
9位 229ドル(約33,900円): ユタ州パウダーマウンテン
10位 225ドル(約33,330円): オレゴン州マウントバチェラー、コロラド州テルライド
※1ドル約148円で計算
 
日本人の我々からしてみると、背筋が凍りついてしまう金額だ。理解に苦しむため、これまで世界でのリフト1日券の価格推移がどうだったのか調べてみることに。すると、イギリス・ロンドンに本社を置くロイター通信の記事にヒットした。
 
見ていくと、2010年8月の時点で、先進8カ国でもっとも高かったリフト1日券はオーストラリア・シドニー郊外に位置するペリッシャーだった。当時の為替で換算すると約7,980円(105豪ドル)。同様に、カナダ・ウィスラーは約7,600円(100豪ドル)、スイス・サンモリッツは約5,320円(70豪ドル)という金額だった。とても安く感じてならない。
 
ロイターの記事はオーストラリアドルで表記されていたのだが、2010年8月の対アメリカドルの円相場は月中平均で85.53円。2023年9月25日は148円前半で推移しているのだから、当時の円高が多大なるインパクトを生んでいた。ちなみに今シーズン、ペリッシャーのリフト1日券は休日価格で213豪ドル。13年間でちょうど倍近く値段が上がったわけだ。
 
では、アメリカはどうなのか。先出のSNOW BRAINSによると、「アメリカでは3年ほど前にリフト1日券が200ドルの大台を突破するというニュースを伝えていたが、今ではそれが普通になった」と綴られている。ちょうど筆者がベイルにいた時期と同じだ。そのうえで同メディアは、リフト1日券高騰の背景には、むしろ1日券購入から顧客を遠ざけ、EPIC PASSの購入へ促しているのではないかとしている。
 
EPIC PASSとは世界最大の国際シーズンパスのことで、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、日本など、8カ国66のスノーリゾートで利用することができる。コロラド州ベイルやカナダのウィスラー・ブラッコム、フランスのティーニュなど、世界の有名リゾートが参加しており、日本ではルスツ、HAKUBA VALLEYが含まれる。金額は購入時期により変動するのだが、483〜949ドル(約71,500〜140,500円)なので、断然お得だ。
 
ほかにも、ニセコユナイテッドでの利用が可能で、マンモスマウンテンやカッパーマウンテンなどで利用できるIKON PASSという同様の国際シーズンパスも存在する。無制限で滑れるパスが1,259ドル(約186,300円)とEPIC PASSよりも若干割高だが、ピーク時価格のマンモスマウンテンで5日間滑ればもとがとれるのだ。早期からの顧客の囲い込みということが狙いなのだろう。
 
日本でもリフト1日券価格は高騰しているが、そのインパクトは海外と比べれば断然少ない。しかし、諸外国と比べて日本人の平均年収が上がっていないことも事実。この冬、シーズンパスや割引チケットなどを賢く利用して、1日でも多く滑りたい。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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