BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

1985年の映画『007/美しき獲物たち』でスノーボードが世界中に伝播した名シーン

2022.08.30

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スノーボード産業の生みの親はBURTON(バートン)創始者のジェイク・バートンかもしれないが、フリースタイルの生みの親は間違いなく、SIMS(シムス)を生み出したトム・シムスである。さらに、コラム「スケートボードの歴史を知らずして、スノーボードは語れない」でも綴っているように、スノーボードを世界中に周知させたのもトムだった。
 
1985年当時、世界中のほとんどのスノーリゾートではスノーボードの滑走が禁止されていたのだが、映画『007/美しき獲物たち(原題: A View to a Kill)』の名シーンを通じて、スノーボードは世界中に伝播することになる。ストーリーを簡単に紹介すると、主人公のジェームス・ボンドがソビエト軍にスキーで追われ、盗んだスノーモービルに乗り込む。しかし、ヘリコプターにも追跡されていたため、スノーモービルが爆破されてしまうことに。辛くも逃げ切ると、爆破されたスノーモービルから片側のスキー部分が舞い落ちてきて、それをスノーボードに見立てて逃げ切るという内容になっている。
 
そこで、ボンド役のロジャー・ムーアのスタントマンとして、トムが華麗なライディングをスクリーンを通して披露したのだ。ナチュラルヒットからオーリーを仕掛けてソビエト軍に当て込むシーンから始まると、スラッシュを上げながら華麗なるターンを魅せる。極めつけは巨大エアやウォータースライドといった、まさしくフリースタイルすぎるクールな滑りを世界中に表現した。筆者は当時の状況を認識していないのだが、世界中のほとんどの人々がスノーボードを知らなかったわけだから、トムのライディングにより相当なるインパクトをもってして、僕たちが愛する横乗りスポーツは衝撃デビューを飾ったということになる。
 
そのトムのアグレッシブなライディングを、とくとご覧あれ。彼がいたからこそ、現代のフリースタイルスノーボーディングが存在するのだ。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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