BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

中国でも秘密裏にされていた世界初の屋内スーパーパイプがついに営業開始か

2022.08.24

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山梨・笛吹市にカムイみさかが存在するように、屋内ハーフパイプと言えば日本の専売特許だった。90年代後半にはカムイ竜ヶ崎(茨城・龍ケ崎市)やクールバル東京(東京・板橋区)にハーフパイプがあり、筆者も足繁く通っていたが、現在はどちらも存在しない。
 
アクロス重信(愛媛・東温市)の屋内ハーフパイプからは多くのオリンピアンが輩出されたものの、2012年に閉館。昨年11月、23年近くの歴史に幕を下ろしたスノーヴァ羽島(岐阜・羽島市)が記憶に新しいように、全国に点在していた室内ゲレンデのほとんどは廃業に追い込まれてしまったのだ。
 
ららぽーとスキードームSSAWS(千葉・船橋市)を筆頭に、日本の室内ゲレンデは世界に先駆けて最先端を歩んでいたが、経済成長が追いつかなかったか──。世界初となる国際大会規格の屋内スーパーパイプは、北京五輪の開催地である中国・河北省張家口市崇礼区に存在する。元中国ナショナルチームのコーチであるリ・ウェイ氏によると、「実際のところ、この屋内スーパーパイプの関連情報については国内でもあまりなくて、秘密にされていた場所だと思います。ハーフパイプの中国代表選手の話によると、そのインドアハーフパイプ施設は代表選手や特別強化選手のみ使用可能であり、一般公開はしていません」とのことだった。
 
そんな屋内スーパーパイプが一般開放されると、スペインのスノースポーツ情報サイト「nevasport.com」が報じた。こちらの記事によると、オリンピックサイズのハーフパイプで一年中トレーニングできる施設は世界初であり、当初は北京五輪に参加する中国チームのトレーニング施設として建設されたが、他国のナショナルチームにも使用されるようになったとのこと。
 
また、夏場は30℃を超える場所だからこそ断熱作用がある建築材を使用。イタリアのテクノアルピン社が提供する人工降雪技術を採用し、ロスを最小限に抑えるために雪解け水を回収、プロジェクト全体が高いエネルギー効率を実現するよう設計されている。
 
ハーフパイプ造成を行ったとされるMOUNTAINPOOLのSNSを見ると、2021年11月に着工、今年2月3日の北京五輪直前には、その後ビッグエアで金メダル、スロープスタイルで銀メダルを獲得することになるシャオミンことスー・イーミンがライディングを楽しんでいる映像が公開されている。
 
4年後のミラノ・コルティナ五輪に向けて、ハーフパイプシーンの未来はどう変わっていくのか。注目したい。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

 

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