BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

欧州熱波により夏の氷河でスノーボーディングが楽しめなくなる危険性

2022.07.24

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イギリスでは観測史上初の40℃超が記録され、フランスやスペインでは大規模な森林火災が発生し、ポルトガルでは干ばつが深刻化。スペインとポルトガルだけで1,700人以上が死亡するなど、ヨーロッパ全体が記録的熱波に苦しめられている。
 
そのうえで、ヨーロッパはエアコンの普及率が圧倒的に低い。7月の平均気温を見てみると、スペイン・マドリードは26.1℃、ポルトガル・リスボンは22.6℃というのだから、ヨーロッパ全体でエアコンの普及率が2割程度というのもうなずけるだろう。
 
当然ながらヨーロッパが誇る数々の氷河エリアも大きな打撃を受けており、フランスのティーニュはすでにサマーシーズンが終了。予定よりも1ヶ月以上早く閉鎖されてしまった。5月に標高4,000m地点で10℃を記録するなど、前代未聞の気温の高さが長期間続いたことが大きな要因である。かつてのティーニュは年間365日雪遊びができ、近年は6月中旬から9月中旬まではサマーシーズンを楽しめるように務めていたのだが、今年はそれを6週間に短縮したものの、結果的に1週間あまりでのクローズを余儀なくされた。
 
同じくフランスのレ・デュー・アルプも予定より早くクローズし、ヴァルディゼールは氷河エリアをオープンすることができず。さらにオーストリアでは、キッツシュタインホルンが予定より早く閉鎖に追い込まれてしまった。
 
今月上旬には、イタリア北部の3,300m超を誇るマウントマルモラーダで氷河崩壊による雪崩が発生し、死亡者も出た。気候変動により氷河の融解が進み、サマーシュレッドというスノーボードの文化価値を脅かしている。この現実をスノーボーダーとしてどう受け止めるべきか。改めて、しっかりと向き合っていきたい。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photo: Caroline M.on Unsplash

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