BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

北京五輪で平野歩夢と激闘を繰り広げたスコッティ・ジェームスがトリプルコーク公開。その真意とは

2022.05.15

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タイトルにあるとおり、平野歩夢と熾烈な金メダル争いを演じた北京五輪ハーフパイプの銀メダリスト、スコッティ・ジェームス。オリンピック前にはプライベートパイプを造成してトレーニングに励んでおり、1月中旬にスイス・ラークスで開催された「LAAX OPEN」まで、その実力はベールに包まれたままだった。
 
周知のとおり、平野歩夢はファーストヒットでフロントサイド・トリプルコーク1440を成功させて金メダルを獲得したわけだが、それ以前から北京五輪のメダル争いはトリプルコークがカギを握るとされていた。事実、歩夢だけでなく戸塚優斗も同じくフロントサイドでトリプルコークを、平野流佳はキャブ・トリプルコーク1440をトレーニング中に成功させた動画がそれぞれ、SNSで配信されていた。
 
彼らは、米コロラド州アスペンで行われた世界最高峰の大会のひとつ「X GAMES」に招待されていたものの、出場をキャンセルしてまでハーフパイプのサイズが大きいラークスの地にとどまった。それは紛れもなく、北京五輪に向けての調整だ。トリプルコークを操るにはエアの高さが必要であること、加えて、北京五輪のハーフパイプのサイズが通常よりも大きいことが理由だったのだろう。
 
しかしながら、優斗はオリンピックも含めて大会では一度もトリプルコークを繰り出すことができず、流佳はLAAX OPENのファイナルで2度挑戦するも、着地に嫌われてしまった。それほど難しいトリックであることは言うまでもないが、歩夢が「命を落とすかもしれない」とマスコミの質問に答えたことがあるように、繰り出すリスクが高すぎるということだ。
 
話をスコッティに戻すと、満を持して登場したLAAX OPENでは決勝の2本とも転倒してしまったため、その実力を窺い知ることができなかった。LAAX OPENの1週間後に開催されたX GAMESでスコッティは優勝を飾るも、トリプルコークはおろか、4回転はキャブ・ダブルコーク1440のみ。2位の歩夢はエアの高さも十分あり、バック・トゥ・バック(連続)でダブルコーク1440を決めていたが、ポイントでスコッティを上回れなかった。史上初のトリプルコークをシーズン序盤の「DEW TOUR」で決めていたことから、その余剰を持たされてしまった感は否めなかったが、結果としてルーティンとしては失敗に終わるも完璧なトリプルコークを実践で成功させた。こうした背景があったうえで、歩夢は頂点に登り詰めたのだ。
 
そして昨日、スコッティはトリプルコークに成功していた動画をInstagramにポスト。その回転方向は流佳と同じくキャブだった。このタイミングでの投稿にどのような意図があるのかわかりかねるが、やはりスコッティも“持っていた”ということだ。
 
しかし、縦3回転と横4回転を同時に回すことで発生するものすごい遠心力を着地時に抑えなければならないため、谷側のヒールエッジで耐えなければメイクできないということが動画を観れば自ずとわかるだろう。この瞬間、大幅に減速するわけだ。スコッティはファーストヒットでスイッチバックサイド・ダブルコーク1260からキャブ・ダブルコーク1440につなげるルーティンが十八番なので、入れるとすればセカンドヒットになるわけだから、この完成度で勝負に出るのは難しかったのかもしれない。
 
それを踏まえると、ファーストヒットでこの超大技を繰り出し、しかもスイッチスタンスで着地したうえで、その後も超高難度なルーティンを成功させた歩夢がいかにすごいのか。改めておわかりいただけるのではないか。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

 

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