BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

地球最強スノーボーダー決定戦「NATURAL SELECTION」が面白い理由

2022.01.29

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米ワイオミング州ジャクソンホールにて、1月24~30日の期間を設けてベストコンディションを待って開催される「THE NATURAL SELECTION TOUR」初戦。スノーボードの起源であるバックカントリーを舞台に、最先端のフリースタイルスキルが表現できるようにアイテムを設置。降雪に恵まれてバックカントリー・スロープスタイルの舞台が整ったら、世界中から選りすぐられたスノーボーダーたちがトーナメント方式で争い、地球最強スノーボーダーが決定される。男子16名、女子8名による1回戦は26日に終演しており、男子8名、女子4名が大会2日目にコマを進めた。まずは初日の模様をハイライトでご覧いただきたい。

そして再び降雪を待ったうえで、28日に準備が整った。男子はジャレッド・エルストン(アメリカ)、ダスティン・クレイブン(カナダ)、主宰者であるトラビス・ライス(アメリカ)、トースタイン・ホーグモ(ノルウェー)、ブレイク・ポール(アメリカ)、ミッケル・バング(ノルウェー)、セイジ・コッツェンバーグ(アメリカ)、ベン・ファーガソン(アメリカ)、女子はエレナ・ハイト(アメリカ)、ハナ・ビーマン(アメリカ)、ロビン・バン・ジン(カナダ)、マリオン・ハーティー(フランス)といった面々で2日目が開幕。男子は準々決勝、女子は準決勝からスタートした。
ノートラックのパウダーバーンは気持ちいいが、バトルが繰り返されるごとにトラックが刻まれて斜面はボコボコになっていく。一般スノーボーダーであればターンを刻むこともままならない状態である。造成されたキックから飛び出せば辺り一帯にツリーが広がっており、岩もむき出しのまま。
そうした状況下でノーマルスタンスから540が繰り出されスイッチ着地でメイク、はたまた720が飛び出さえば、世界のトップライダーたちから大歓声があがるのだ。観ているとそれもうなずける。滑りやすく整備し、飛びやすく整えられたキッカーを用意して、トリックの高難度化を促進する競技の世界とはまったくの別物。飛びづらく着地が難しい状況でいかにクールに己を表現するか。それがバックカントリーフリースタイルの醍醐味である。
この難しさであり奥深さは、リアルスノーボーダーにしか理解できないだろう。特に今シーズンはオリンピックイヤーだ。競技のように1440や1620といった高回転スピンが飛び出さない内容に、ましてやボコボコの斜面にボードをすくわれて転倒してしまうシーンが目立つのだから、一般の人からしたら「本当にプロなのか?」「地球最強スノーボーダー決定戦? 聞いてあきれる」といったリアクションになることは想像に難くない。
しかし僕たちスノーボーダーにとっては、これほどまでに面白いコンテストはない。ドローンを駆使した追い撮り動画があってこそ成立しているわけだが、そこに映し出される迫力満点の映像に感動を覚えると同時に、世界トップライダーたちの偉大さを理解することができるはずだ。
地球最強スノーボーダーと呼ぶに値する栄冠は、男子はセイジ、女子はエレナに輝いた。セイジは十八番であるチキンウイングを入れながらBS720を繰り出してFS720につなぐと、ただひとり900をCABスピンで決めた。彼は言わずもがなのソチ五輪スロープスタイル金メダリストであり、エレナはハーフパイプで2度オリンピックに出場している元コンペティターたちである。競技で培ったフリースタイルスキルと、手つかずの雪山を滑り込み磨き上げられた総合滑走力とが融合し、その集大成が彼らのライディングスタイルなのだ。
すべてを通しで観るとおよそ4時間半にも及ぶわけだが、Red Bull TVで視聴すると対戦ごとにスキップでき、かつ、対戦中の出走シーンやスコア発表のタイミングにもスキップできるので、効率よく視聴することができる。ぜひご覧いただきたい。
 
男子結果
1位 セイジ・コッツェンバーグ(アメリカ)
2位 ジャレッド・エルストン(アメリカ)
 
女子結果
1位 エレナ・ハイト(アメリカ)
2位 ロビン・バン・ジン(カナダ)

rider: Sage Kotsenburg
photo: Ben Gavelda / Natural Selection Tour / Red Bull Content Pool

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