BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

トリプルコークをハーフパイプのルーティンに組み込むことは可能なのか

2021.07.14

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7月上旬、米オレゴン州マウントフッドのハーフパイプにて同州ベンド出身のフリースタイルスキーヤー、ハンター・ヘスがトリプルコークに成功した動画を配信。着地時に臀部がトランジションに触れてしまっているためパーフェクトとは言い難いが、スキー界初の快挙として報じられた。

スノーボード界では2014年のソチ五輪に向けて、ショーン・ホワイトがFSトリプルコーク1440のトレーニングを行っていたが、修得には至らず。同トリックを繰り出すことなく、金メダル争いはCABダブルコーク1440が鍵を握る格好となった。

ソチ五輪から1年あまりが経過した2015年4月。中国を代表するハーフパイプライダー、ジャン・イーウェイが史上初となるトリプルコークをCABスピンでメイクするも、完成度は決して高いといえない内容だった。パイプランは限られた半円状のコースのため、着地時のエッジングのズレが次のヒットへつなげる際のスピードロスとなってしまい致命的。なので、こうしたカタチでの成功を手放しには喜べないシビアな競技だ。
その後、2018年の平昌五輪にジャンは出場するも、トリプルコークを放つことはなかった。先述したことを踏まえるとラストヒットにこの大技を組み込むルーティンが想定されるが、トリプルコークに必要な回転力を生み出すためにはハイスピードを要するため、ラストヒットまでパーフェクトランが求められることになる。

これまで4年に一度のオリンピックという大舞台に照準を合わせて、トリックは加速度的に進化し続けてきた。2010年バンクーバー五輪ではバック・トゥ・バック(連続)ダブルコーク1080とダブルマックツイストが、2014年ソチ五輪では先述したようにCABダブルコーク1440が、そして2018年平昌五輪では周知のとおり、バック・トゥ・バックのダブルコーク1440とダブルコーク1260が頂点に立つために必要とされた。現時点ではこれらにCABとスイッチBSのダブルコーク1260が加わり、よりルーティンの構成が複雑化している。
キッカーのようにアイテムのサイズや形状を変えることでエアの滞空時間が増せば、スピントリックが進化していくという話は想像に難くないだろう。しかし、ハーフパイプはバンクーバー五輪以降、平昌五輪の23フィート(約7m)とやや大きくなるケースもあるが、基本的には22フィート(約6.7m)が基準である。
より進化が顕著なハーフパイプシーンにおいて、トリプルコークは現実のものになるのだろうか。東京五輪が目前ではあるが、北京五輪はそのおよそ半年後、2022年2月4日(金)開幕だ。

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