BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

強さだけでなく“スタイリッシュさ”に磨きがかかった岩渕麗楽の進化

2021.05.31

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世界中を転戦するコンペティターにとってはコロナ禍の影響により大会のキャンセルや、隔離・検査が繰り返されることで調整が困難になるなど過酷なシーズンを過ごしてきた。日本を代表するコンペティター、岩渕麗楽ももちろんそのひとり。しかし、そうした逆境をはねのけて、最終戦となったW杯スロープスタイルで優勝を飾ると、選ばれし者だけが参加できる芸術的パークセッション「AUDI NINES」に招聘されるなどいい形でコンテストシーズンを終えることに。その後、オーストリアのアブソルートパークへ向かうとキッカーやレールの調子がよく、新しいトリックにトライしながらリラックスした時間を過ごせたようだ。そのときに撮影されたパークライディングのムービーが公開されているのでお届けしたい。
岩渕の滑りを見ていると、これまでよりも格段にカッコよくなっていることに気づかされる。コンペティターの滑りを評価するうえで回転数や回転軸ばかりに目が行きがちだが、そうではなくスタイリッシュさに磨きがかかっているのだ。
アイキャッチ画像にも使用しているのだが、CAB900の2グラブではクレイルのように後ろ手で前足寄りのトウサイドをグラブしながらノーズグラブを加え、ゆっくりと後ろ手をボードから解放する(ノーマルスタンスで解説)一連の流れは、メンズライダー顔負けのアクションと言えるだろう。ジビングでのアクション一つひとつをとってみてもクールだ。
今年1月、スイス・ラークスで行われたLAAX OPENはW杯に位置づけられており、僭越ながら筆者はJ SPORTSの番組で解説を務めさせていただいた。その取材のためSAJ(全日本スキー連盟)スロープスタイル・ビッグエアのコーチである西田崇から岩渕の状態について聞いていたのだが、その話を思い出した。
「レイラが最近、スノーボードで遊べるようになってきました。自然地形でジャンプしたり。大会以外のスノーボードに対して興味が出てきたみたいですね。だからコンテストだけでなく、スノーボード自体がもっと上手くなっていきそう!」
西田が言うように、岩渕はクールなスノーボーダーとしても急成長している。大会で結果を残し4年に一度の晴れ舞台で活躍することと、表現力に重きを置いた滑りにこだわる姿勢を両立させることは決して簡単ではない。グラブの位置、その形などにこだわればこだわるほど、回転方向に逆らったアクションになりトリックの難易度を上げることが難しくなるから。
しかし、そのスタイリッシュさはスノーボードに精通していない人にもきっと届くはずだ。たとえパッと見でも、ほかのライダーたちとは一線を画する美しいアクションは、必ずや人々の心に留まるから。来年2月、中国・北京の地から岩渕のクールビューティーな滑りが世界中に発信されることを心待ちにしたい。

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