COLUMN
過去5シーズンにUS OPENハーフパイプで90点以上を叩き出した衝撃ランまとめ
2020.04.06
1982年に始まったBUTON US OPENはスノーボードの大会としてもっとも歴史があるわけだが、そのなかでもフリースタイル競技として最古を誇るハーフパイプ種目は1988年から続いている花形種目だ。テリエ・ハーカンセン(ノルウェー)、國母和宏、ショーン・ホワイト(アメリカ)、平野歩夢といったスーパースターを輩出してきたハーフパイプには、あらゆるライディング要素が凝縮されているため見応えがあり、表現力と技術力が融合された滑りには美しさだけでなく感動すら覚える。
そうした伝統の一戦で多くのライダーたちがしのぎを削ってきたことにより、近年はレベルが非常に高まっている。そこで、2016年から2020年に行われた過去5大会において、100点満点中90点以上を叩き出した衝撃ランをまとめた動画がRED BULLより公開されているので振り返っていきたい。
2016、17年のショーン、2019年の片山來夢、スコッティ・ジェームス(オーストラリア)、そして、今年の同大会において3位のヤン・シェラー(スイス)、2位のスコッティ、そして優勝した戸塚優斗の5名による7ランが90ポイント以上を獲得している。22フィート(約6.7m)の高さを誇るハーフパイプがライダーたちの滞空時間を生み出し、高回転スピンが年々進化してきたわけだが、それにより高難度トリック合戦の様相を呈してきた大会に待ったをかけるようにしてハーフパイプが改造された今シーズン。
今後、ライダーたちが90点以上のスコアを狙うためには、表現力と技術力に加え、これまで以上に創造力を発揮しなくてはならない。フリースタイル競技の未来として、テクニカルな部分だけでなくクリエイティビティをもっとフォーカスしていくという主催者側からの問題提起なのである。FIS(国際スキー連盟)がハンドリングするオリンピックを頂点としたワールドカップなどの大会がそうなるかどうかはわからないが、少なくともスノーボーダーが統括するビッグコンテストではそうした動きが盛んである。よって、観ている側からすれば競技がさらに面白くなるというわけだ。
最後に追記させていただくとすれば、2018年のランが収録されていなかったということ。ジャッジの採点基準はシーズンごとに異なるわけだが、このシーズンの大会では全種目を通じて90点以上のスコアは記録されていない。
各種目の優勝者のポイントを見ていくと、スロープスタイル男子のマーク・マクモリスが88.1、同女子のジェイミー・アンダーソンが83.75、ハーフパイプ男子の歩夢が89.62、同女子のクロエ・キムが85.57だった。平昌五輪の直後に行われたというタイミングのイタズラだったのかもしれない。
そのなかでも最高得点だった歩夢のランは、間違いなく前述した彼らに引けをとらない。改めてご覧いただきたい。