COLUMN
平昌五輪ハーフパイプ予選3位の結果を受けて確信に変わった平野歩夢の金メダル
2018.02.13
韓国・フェニックススノーパークで行われている平昌五輪ハーフパイプ男子予選が終了し、1位はショーン・ホワイト(アメリカ)、2位はスコッティ・ジェームス(オーストラリア)、3位は平野歩夢と、予想どおりの強豪ライダーたちがトップ3を占めた。片山來夢は5位、戸塚優斗は10位に入り、12名で行われる明日の決勝へ進出。平岡卓は13位で涙をのむ結果に。
予選の結果どおり、決勝は3名による三つ巴の戦いとなりそうだ。この予選での彼らの滑りからファイナルの展望が見えてくるとともに、歩夢の金メダル獲得が確信に変わった。
まずは予選トップ通過のショーンのライディングをご覧いただきたい。
IS THIS REAL LIFE?
98.50 FOR #USA @shaunwhite! #snowboard #PyeongChang2018 pic.twitter.com/INpAmCMxxD
— 7Olympics (@7olympics) 2018年2月13日
FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FS540→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260で98.5ポイントをマーク。先に触れておくが、あくまでも予選で繰り出されるトリックを想定したうえでの点数ということ。明日の決勝では、同ルーティンでもここまでの高ポイントは出ないだろう。
このルーティンから見えてくることは、ショーンのベストルーティンは前半の2回のジャンプでFSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440をつないでくる可能性が大きいということだ。この連続技は先月のX GAMESアスペン大会で歩夢が世界で初めて成功させたばかりなので、ショーンはまだ大会で成功させた実績はない。
続いて2位のスコッティのライディングがこちら。
96.75 #AUS @scottyjames31 YOU STAR #snowboard #PyeongChang2018 pic.twitter.com/XIAgsIc8To
— 7Olympics (@7olympics) 2018年2月13日
FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FS1080→CAB540→スイッチBS900で96.75ポイントを獲得。X GAMESアスペン大会では前半の2ヒットは同じで、3ヒット目からがFS900→BS360→スイッチBSダブルコーク1260だったので、ラストヒットに向けてのつなぎとなる3、4ヒット目の難易度を上げてきているということになる。
そして、最後に歩夢のルーティンをご覧いただきたい。
Ayumu Hirano #JPN… with a 95.25!?
He hits the lead and makes the headlines.#PyeongChang2018 pic.twitter.com/9uZwSnrkrP
— 7Olympics (@7olympics) 2018年2月13日
BSメランコリー→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FS900→BS900→FSダブルコーク1260で95.25ポイントを叩き出した。彼がX GAMESアスペン大会で99点のスコアで優勝を飾った際のルーティンは、BSインディ→FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260だった。
今回のルーティンと比較すればわかるとおり、平昌五輪のハーフパイプは全長が長いためX GAMESよりも1ヒット多くなっているが、その内容はベストルーティンからはほど遠い内容。もちろんできなかったのではなく、予選なので抑えた滑りでのポイントだったということ。
X GAMESアスペン大会を現地で取材し、本日行われた予選もライブで体感したうえで3名のベストルーティンを探ったわけだが、ショーンは前述したとおり残すところあと2個の大技を隠し持っており、繰り返しになるがそのダブルコーク1440の連続技はまだ大会で成功していない。
スコッティはラストヒットをスイッチBSダブルコーク1260に変更してくるため、残すところあと1個の大技があるということになる。
対する歩夢は、ベストルーティンを鑑みれば大技4つすべてを理想とするルーティンに含めず、ショーンとスコッティよりも1ヒット多かった最後のジャンプに“テスト”とばかりにFSダブルコーク1260を繰り出したのみ。その結果としての点数だったいうことをご理解いただきたい。
語弊を恐れずに断言すれば、歩夢は余力どころかほぼ自らの力を出し切ることなく、このハイスコアで3位につけているということなのだ。これがタイトルに銘打ったとおり、金メダル獲得が確信に変わった理由である。
明日、2月14日(水)に行われる決勝は9時55分よりTBSで生放送される。スタジオ解説として弊誌編集長・野上大介が、その“世紀の瞬間”を語る。