BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

上田ユキエのマンモスライフ Vol.2「ひとつ屋根の下で大物&若手がセッション!?」

2017.07.14

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~表舞台だけでなく“裏側”から支える新たなる生き方~

20代後半となった大物ライダーたちの今と、ルーキーと称されるひとりの少年の今とが交差する我が家。ライバルでもあり先輩・後輩の関係である彼らが、ひとつ屋根の下で生活を共にするという面白い時間。

 

雨風がしのげれば十分だと転がり込んできた大物ライダーたち

最初に我が家への滞在を希望してくれたのは日本のトップ、いや、世界のトップでもあるカズ(國母和宏)と、K FILMSのムービー撮影のためにやってきたコウヘイ(工藤洸平)、シュウヘイ(佐藤秀平)の3人だった。彼らは子供の頃からスノーボードがライフスタイルにある生き方をしてきて、今もなおスノーボード中心の生活を続けている。やんちゃで悪びれたイメージはあるが、オリンピック出場経験などもある日本を代表する選手たちだ。
まだ家具も運び入れていない我が家に「雨風がしのげれば十分だよ」と言って、お土産のビールとシャンパンを片手に現れた。その言葉のとおり、彼らには寝袋で床に寝てもらうことになったが、文句ひとつなく自分たちの縄張りをしっかりと作り上げていった(笑)
私は、20代後半となった今の彼らにとても興味があった。スノーボーダーとして、そして、それぞれスノーボードを仕事にした立場としての生き方。彼らの生活に密着することで、そう言った興味深い部分はもちろん、プライベートな20代の男の子たちの姿も知ることになった。
年齢的にはまだ20代でも、彼らのスノーボード歴は私のスノーボード歴とほとんど変わらない。彼らは実年齢から想像できる“若いスノーボーダー”ではないのだ。日本の多くのプロライダーたちが経験したことのない世界の場で活躍を続け、場数を踏んできたことからも、ある意味大先輩なのである。精神面では未来のビジョンに対しても、彼らの思い描くものや現在仕掛けている行動には驚くほどの強い思いが詰まっていた。そこへさらにその若さとパワーがあるのだから、計り知れない可能性を感じたのだった。
 

大物ライダーVSルーキーライダー

そんな彼らに混ざって生活を共にし始めたのが、BURTONが世界中から選りすぐりのルーキーを集めたチーム「KILROY」に抜擢されたタケル(大塚健)、16歳だった。16歳という若さで、すでにその域にいるということを世間的にはとんでもなく凄いと捉えるだろうが(実際そうなのだが)、カズたちにしてみれば、自分たちも16歳の頃には、すでに世界に出て活動してきたのだ。そんな経験のある彼らだからこその目線は決して奢っているものではなく、不必要に讃えるものでもなく、今あるタケルの姿を的確に捉えたものだった。日本人として、世界で認められ活躍しているライダーたちとひとつ屋根の下で生活を共にし時間を共有できることは、タケルにとっても大きなチャンスだと思った。
このメンバーが揃った時点で一度、私はマンモスから離れたので、彼らが一体どんな風に生活を共にしているのか心配ではあったが、1週間後に戻ってみると、その関係性にホッと胸が温かくなった。タケルと共に来ていたフィルマーのナオキ(内海直樹)を、先輩チームはかなり優しく迎え入れており、男5人は楽しそうにやっていたのだ。
もちろん、雪山に上がればそれぞれが自分のやるべきことをやる。その時は、SNOWBOARDER MAGAZINEが主催するパークイベント「SUPERPARK」参加のために来ていたタケルを含めた日本人の若手ライダーたちに対して、カズやシュウヘイがやるべきこと、そして魅せるべき姿を貫いている姿勢を私は感じていた。
海外という地だからこそ、こうして日本人ライダーが世代を問わず同じ場で時間を共有し、寝食を共にしながら笑い合える。そういう環境において、それぞれのやるべきことをしっかり見せつけていく必要もあるのではないか。そう感じた。
 
つづく
 

上田ユキエ

1973年、東京都出身。プロスノーボーダー。長野五輪出場を目指しコンペシーンで活躍。その後、ガールズムービープロダクション「LIL」を立ち上げるなど、国内の女性シーンを牽引してきた。現在は、アメリカ・カリフォルニア州に身を置き、子育てとプロスノーボーダー業を両立させながら、アメリカと日本を繋ぐ活動やプロダクトの開発などに携わっている。人気ブログ「プロスノーボーダーママ in LA」にて、ライダー活動から子育てに至るまで、あらゆる情報を配信中。

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