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スノーボードの常識を覆したSTEP ONがもたらす“新感覚”が上達を促す理由
2022.10.25
そこで本記事では、従来型のバインディング&ブーツでは得ることができないSTEP ONがもたらす新たなるフィーリングについて掘り下げていく。ゲレンデやパークからバックカントリーに至るまで男勝りのライディングスタイルで魅了する藤森由香と、どんなシチュエーションでもSTEP ONしか使わないと言い切る高校生ライダー・竹内悠貴のふたりに話を聞いた。
「従来型のバインディング&ブーツとほぼ変わらない」──藤森由香
「従来型のバインディング&ブーツとほぼ変わらない」──藤森由香
ずばり、従来型のバインディング&ブーツの組み合わせとSTEP ONのフィーリングは違う。しかし、その違いはどちらかが優位であるというものではない。スノーボードクロスで3回、フリースタイルに転向してから一度オリンピックの大舞台に立ち、現在はバックカントリーフリースタイルのウィメンズシーンを牽引する存在にまで上り詰めた藤森は、双方を使い分けている。それぞれのフィーリングについて、次のように語る。
「STEP ONとそうでないバインディングを使用した感覚は、まず力の伝わり方が違うので、それぞれで異なる反応や反発を感じることができます。また、STEP ONブーツでストラップが付いているもの、付いていないものでも感覚が違うんです。どれをチョイスするかは好みによって分かれると思いますね」
![23C-StepOn-Sustain-EmailStandalone-3-2x[1]](https://backside.jp/wp-content/uploads/2022/10/23C-StepOn-Sustain-EmailStandalone-3-2x1-1024x606.jpg)
ストラップがあって当たり前だった常識を覆す斬新なルックス
過去にBurtonからリリースされていたSI(ステップイン)システムは、足の内側と外側を固定するタイプだったため、ツマ先側とカカト側への荷重と抜重を繰り返すスノーボードの動きに矛盾していたことから、普及に至らなかったのだろう。また、他ブランドからはバインディングのベースプレートとブーツのソール部を固定するシステムがリリースされており、完全に一体化していることからレスポンスの速さや、少ない力でも大きなパフォーマンスを発揮できるという利点もあった。
しかし、従来型のバインディングでいくらガチガチに固定したとしても、ストラップの伸縮性によって得られるベースプレート内での“遊び”が、フリースタイルの動きには欠かせない。オーリーの動きを想像してみてほしい。ベースプレートと足裏とが完全に固定されていたら、ブーツ内で若干の遊びがあったとしても動きが大きく制限されてしまう。
それをSTEP ONは見事に解消している。ヒールカップよりも上部のカカトとツマ先寄りの両側面の3点でバインディングとブーツを固定することにより、ベースプレート内での遊びが生まれるのだ。バインディングとブーツが接続されているため、前述したステップインのように違和感があるのではと懸念している読者諸兄姉も多いかもしれないが、「ヒールカップよりも上の部分でカカトが接続されているからか、トウサイドに踏むときはストラップ式のバインディングを使用しているときよりもワンテンポ遅れるような気がします」と藤森はアドバイスする。全体的な反応はクイックとしながらも、むしろ従来型よりもルーズな部分もあるという評価だ。後出の竹内は「反応が速いように感じる」と回答しているので、このあたりの感覚には個人差がありそうだが、従来型のストラップ式よりもSTEP ONのフィーリングが劣るのではなく好み、という藤森の言葉に合点がいくのではないか。
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ツマ先側2箇所とカカトの3点で接続されるシステム
また、オリンピックに出場するようなコンペティターたちが使用していないことから、フリースタイルな動きには向かないのでは?という懸念を抱いている人も少なくないのかもしれない。事実、そうした声をよく耳にする。
「私は長いこと従来型の足まわりを使用してきたので、ラクな部分よりも慣れの部分を優先して従来型を使用する機会が多いのですが、オフトレの練習施設では着脱する機会が多いということもあって断然、STEP ON派ですね。気に入って使っています。とてもラクだし、長く使っている従来型のバインディング&ブーツの感覚と、ほぼ変わらないからです」
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リフトから熱視線を浴びながらクリップラーで宙を舞う藤森
photo: Kentaro Fuchimoto
オフトレ施設はアプローチに人工芝が敷かれており、エッジングが雪面よりも難しいためシビアな動きが求められる。アプローチ時のラインどり然り、スピンでのテイクオフ然りだが、そのうえで感覚は”ほぼ変わらない”という藤森。STEP ONはフリースタイルに向かない、という先入観から脱却したほうがよさそうだ。
「STEP ONしか使わない」と豪語する17歳 竹内悠貴を直撃
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──ストラップ式のバインディング&ブーツとSTEP ONの決定的な違いは?
通常のストラップバインディングはハイバックがないと上手く機能しないと思うんですけど、STEP ONの場合、極端に言ったらなくてもいけると思います。ヒールカップよりも上部でカカトが固定されているからか、それくらいの安定感がありますね。あとはストラップがない分、ボードが軽いです。ストラップがベロベロしないから、見た目もスタイリッシュですしね(笑)。ハイクアップするときも軽くて調子いいです。
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この位置でカカトを固定していることがSTEP ON最大の肝かもしれない。リリースレバーを引き上げるだけで簡単に外せる
──バインディングは何を使っていますか?
GENESISですね。ハイバックの内側にバネの張力を活かしたクッション(キックバックハンモック)が採用されているので、足首まわりへのサポートを感じられます。ほかのモデルでは(ハイバックを)外してもいいんですけど、僕の場合は履くときにハイバックにブーツを当ててから踏み込むんですよ。そうするとすごく履きやすいんです。
──これまでSTEP ONを使い続けてきて感じるメリットは?
先ほど言ったように軽さや見た目もそうですけど、極寒のときストラップに雪が詰まって凍るようなことがないのはメリットですね。あとは、ゲレンデだとフラットな箇所で減速したり止まっちゃうことがあると思うんですけど、そういったときはすぐにスケーティングを始められて、そのままスピードがついたらカチッとステップオンできるのはすごくいいです。
──では逆に、STEP ONを使い続けてきてデメリットを感じたことは?
値段が高いということと、ブーツの選択肢が少ないことですかね。もう少しバリエーションがあれば利用者も増えるんじゃないかなと思います。
──ブーツは何を使っていますか?
僕はPHOTONを使っていて、アンクルストラップが付いていてミディアムな感じの硬さが気に入っています。パウダーを滑るときはストラップはあまり締めませんが、カービングやパークを攻めるときはけっこう締めますね。
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PHOTONのストラップを増し締めして、あえてのノーグラブでコースギャップを飛び越える竹内
photo: Kentaro Fuchimoto
──STEP ONのフィーリングについて、どう評価していますか?
レスポンスは速いと感じています。僕はゲレンデ内で機敏に動くタイプなんですけど、まったく問題なく板がついてきてくれますね。ストラップのバインディングを使っていたのが中学に入って間もない時期までなので厳密な比較は難しいですが、パウダーを滑っているときのフィーリングも変わらないと思います。
──13歳くらいからすべての状況でSTEP ONを使うようになって、ライダーとしてどう成長しましたか?
STEP ONの着脱のよさのおかげでストレスフリーで滑ることができるので、パフォーマンスの向上につながっています。また、みんなよりも早く滑り出せるので、たくさん練習できますね(笑)。ここ2年くらいオフトレ施設に通っているんですが、何回もハイクアップする反復練習じゃないですか。座らないでパチンって履いていると「いいなー!」ってみんなから言われます。
──バインディングからブーツが外れたという経験はありますか?
まったくないですね。オレトレ施設に行くと同じような質問を受けることがありますが、一般レベルのスノーボーダーが滑っていて外れることはまずないし、ヒールの部分が2段階で噛むので絶対に外れないですよ。
──パウダーに埋もれてしまいブーツが外せなかったという経験はありますか?
ボードが上にある状態でパウダーに埋まってしまったりしたら、初期のSTEP ONだと外しづらかったんですよ。でも、昨シーズンからトウフックが改良されて脱ぐのがすごくラクになりました。滑っているときにカラカラする音も改善されたので、一石二鳥ですね。
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外しやすくてノイズがしないトウフック2.0
──20m超のビッグキッカーを飛ぶ状況があったとしたらSTEP ONでいきますか?
僕は行きますね。マーク・マクモリスが(スイス)サースフェーでデカいキッカーを飛んでいましたけど、まったく問題なさそうでした。コンペティターが使ってないからどうなの?って話もよく聞きますが、ルーティンの一貫としてストラップをカチカチしたいんじゃないですかね(笑)
STEP ONの未来
STEP ONの未来
登場から5シーズン目を迎えたSTEP ONは、日々アップデートを繰り返している。竹内の言葉にもあったように、昨シーズンからトウフックが改良されており、強いプレッシャーがかかっても耳障りなノイズはしなくなった。また、バインディングからブーツを脱ぐ際、両側のトウフックを同時に外せないため足首をねじる動作が必要だったが、その動きが少なくても簡単に外せるよう改良されている。
また、バインディングのトウフックに近い部分に若干の違和感を覚えるスノーボーダーがいたというフィードバックから、STEP ONブーツのライナーにはクッション性がプラスされた。さらに、ステップオン時にパンツの裾を巻き込まないようにするため、カカト部に搭載されているカフクリップも進化。これまでよりもスムースに裾を挟み込めるようにアップデートされている。
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足が幅広の傾向が強い日本人でもストレスなく履くことが可能に
そして特筆すべきは、2019年1月にDC(ディーシー)がブーツで、2021年12月にNITRO SNOWBOARDS(ナイトロ スノーボード)もブーツで、2022年1月にはFLUX(フラックス)がバインディングで、それぞれSTEP ONのライセンスパートナーシップを締結し、現在は各ブランドから発売されている。ブランドの垣根を越えた互換性が、STEP ONの普及をより加速させることだろう。
Burtonがリリース当初に発表していたデータによると、従来型のバインディング&ブーツの装着に1回30秒を要すると仮定し、1日に15ラン、年間に20日滑走するというスノーボードライフを10年続けた場合、1,500分間(25時間)もストラップを締めているという計算になる。その分の疲労が軽減されたうえで、滑走時間を増やせるわけだ。
初心者にとって立った状態でステップオンする動作は難しい、という意見もよく聞くが、レンタルにSTEP ONが導入されているゲレンデに赴いたとき、座りながらボードを手前に持ってくる動作でステップオンしているスノーボーダーの姿を見て、目からウロコだった。初心者からトッププロまで、STEP ONは全スノーボーダーに対応していると言える。
![Group_FamilyStepOn_MtBachelorOR_Blatt_3165[1]](https://backside.jp/wp-content/uploads/2022/10/Group_FamilyStepOn_MtBachelorOR_Blatt_31651-1024x683.jpg)
STEP ONは老若男女、ライディングレベルを問わない
ガラケーからスマホに移り変わったように、ストラップでバインディングを締めていた時代を懐かしむ日が近い将来、来るのかもしれない。
STEP ON X RE:FLEX
STEP ON X RE:FLEX
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▷サイズ: S〜L
▷カラー: BLACK
▷価格: 62,700円
カーボン合成素材のハイバックを搭載したアグレッシブなオールマウンテンライダーに捧げる逸品
STEP ON GENESIS RE:FLEX
STEP ON GENESIS RE:FLEX
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▷サイズ: S〜L
▷カラー: BALLAD BLUE(掲載モデル)、BLACK
▷価格: 55,000円
最高レベルの快適さとプレイフルなレスポンスとの絶妙なバランスを実現
PHOTON STEP ON
PHOTON STEP ON
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▷サイズ: 25〜33cm
▷カラー: GRAY CLOUD(掲載モデル)、BLACK、VIOLET HALO
▷価格: 58,300円
履き心地に余裕がほしいスノーボーダーのためにワイドラストを採用
KENDO STEP ON
KENDO STEP ON
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▷サイズ: 25〜31cm
▷カラー: BLACK
▷価格: 50,600円
従来型のブーツレースを採用。あらゆる動きにレスポンシブに対応する操作感と自由な履き心地が特長
WOMENS STEP ON ESCAPADE
WOMENS STEP ON ESCAPADE
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▷サイズ: S〜L
▷カラー: BALLAD BLUE(掲載モデル)、BLACK
▷価格: 52,800円
ハイエンドな快適性とレスポンシブな装着感をバランスよく兼備
WOMENS STEP ON RE:FLEX
WOMENS STEP ON RE:FLEX
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▷サイズ: S〜L
▷カラー: PINK/BLACK(掲載モデル)、GRAY CLOUD、BLACK
▷価格: 36,300円
便利さとパフォーマンスの両方を求めるスノーボーダーに捧げる
WOMENS FELIX STEP ON
WOMENS FELIX STEP ON
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▷サイズ: 22〜27cm
▷カラー: GRAY CLOUD(掲載モデル)、BLACK
▷価格: 53,900円
ハイレベルの保温性と快適性を提供するレスポンシブなミディアムフレックスブーツ
WOMENS LIMELIGHT STEP ON WIDE
WOMENS LIMELIGHT STEP ON WIDE
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▷サイズ: 22〜27cm
▷カラー: DRESS BLUE(掲載モデル)、BLACK
▷価格: 42,900円
リラックスした履き心地で一日中快適なミディアムフレックスをキープ
eye-catch riders: Takeru Otsuka(air) and Luke Winkelman
eye-catch photo: Aaron Blatt
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)