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ゲレンデから裏山までシーズンを通して快適なライディングを約束するBurton[ak]
2022.10.13
スプリットボードやスノーシューで長時間ハイクアップするときもあれば、猛吹雪の中リフト乗車することもあるだろう。降雪時のパウダーライディングから晴天時のパークライディング、春のコーンスノーに至るまで、考えうるすべてのコンディションでシーズン中、ほぼ毎日滑っている中山。[ak]のすべてを熟知している彼の言葉とともに、アラスカで滑るために生み出された高品質ウエアの真価を探っていく。
とにかく動きやすい[ak]のGORE-TEX 3レイヤー
とにかく動きやすい[ak]のGORE-TEX 3レイヤー
[ak]のアウターウエアには、すべてGORE-TEXが採用されている。GORE-TEXと聞けば「高いんでしょ」と即答するスノーボーダーも多いと思うが、本記事ではその中でもさらに高額な3レイヤーをピックアップ。3レイヤーとは、GORE-TEXメンブレーンと呼ばれる防水透湿フィルムを表地と裏地で挟んで圧着させたものになるので、その名のとおり3層構造となっている。
表地+メンブレーンの2レイヤーに比べると裏地がある分、ややゴワゴワした着心地を感じるという人もいるかもしれないが、中山は次のように語る。
「2レイヤーを着ているときは身体とウエアとの間に距離感があるような気がするんですが、3レイヤーの場合は肌とウエアの外側とが近く感じます。身体とウエアが一体化している感じ、と言えばわかりますかね。だから、ものすごく動きやすいんです。あとは、とにかく軽い」
2レイヤーのほうが生地の手触りが柔らかいと一般的に言われるが、メンブレーンがむき出しにならないようにメッシュライナーなど裏地を設けなければならない。メンブレーンと裏地の間にダウンやインサレーションを入れるなど自由が効くというメリットがある反面、3レイヤーよりも重くなり、中山が言う“身体とウエアの一体感”が損なわれるのだろう。
「吹雪いていたりスプレーをあげたときに雪が侵入しないように、フードをかぶって滑ることが多いんですけど、2レイヤーだとかさばってしまい首の動きが制限されて、視野が狭くなっていました。でも、3レイヤーの場合は軽さもあるからか、首がかなり回ります。フードの形もいいので、かぶっていてもまったくストレスがありません。ヘルメットを着用することもあって、そのときのシルエットがあまり好きじゃないのでフードをかぶるんですが、動きを妨げることはないですね。
あと、脱いでバックパックに入れたとき、とてもコンパクトになります。そういったところも魅力です」
生地の軽さとしなやかさ。GORE-TEX 3レイヤーは硬くてゴワつくという考え自体、すでに時代遅れなのかもしれない。
過酷な環境でも快適なライディングを実現
過酷な環境でも快適なライディングを実現
ジャケットとパンツのセットアップで16万円超もするので、そう易易と買うことはできないプロダクトである。しかし、サイドカントリーやバックカントリーを愛するスノーボーダーであれば、次の中山の言葉に耳を傾けてほしい。
「ものすごく暴風の状況って、バックカントリーだとけっこうあるんですよ。その風をシェルは通さないから、身体が冷えずにすむということは大きいですね。だからこそ、物が飛ばされないようにすることだけに集中できます。ゲレンデをライディングしているときでも、風を通さない恩恵を感じることができますよ。4年くらい前までは2レイヤーをメインで着ていて、限界を超えるようなものすごい寒さを感じることもありましたが、3レイヤーを着るようになってからはそうした状況でも耐えられる、という実感があります」
厳冬期とはいえ、ハイクアップすれば汗をかく。透湿性が低い状態の場合、汗冷えが低体温症を招くなどのリスクは、バックカントリーでは少なくない。後述するが、細かなレイヤリングの調整によりウエア内を常にドライに保てることが、3レイヤーのウエアが重宝される最大の理由である。
その汗をウエアの外に逃がす透湿性の高さもGORE-TEXの大きな特徴のひとつだが、2レイヤーに比べて3レイヤーはどうなのかたずねてみると、「ウエア内での蒸れは感じません。透湿性の高さはもちろん感じますが、2レイヤーと比べてどうなのかって聞かれると、答えは難しいですね」とは中山の談。言い換えれば、透湿性に関してはどちらも遜色なく素晴らしい機能性ということで間違いない。
「あとは耐久性ですね。2レイヤーに比べて強いと言われていると思いますが、実際に木に引っかかったとき、3レイヤーのほうが頑丈で裂けにくいと感じています」
特にシーズン序盤、タイトな藪を掻き分けながらツリーランをした経験があるという方も少なくないはずだ。GORE-TEXと言えば高額なプロダクトであることは先述したとおりだが、しっかりメンテナンスすることで機能性を長く維持することができる。単色カラーでシンプルなデザインが採用されており、シーズンごとに大幅に変更されることもない。言い換えれば、コスパの高いプロダクトであるということだ。
いつでもどこでもドライな状態でいられるレイヤリング術
いつでもどこでもドライな状態でいられるレイヤリング術
ウエア内を常にドライに保つためにはレイヤリングが重要であることは先述したが、この重ね着を極めれば、ハイクアップしていても、ライディングしていても、シーズンを通していつでも心地よく着回すことができる。
「まずベースレイヤーを着るのが基本ですが、その上にフリースを着て、極寒の場合はさらにインサレーション入りのミッドレイヤーを重ねてからシェルを羽織ります。バックカントリーでハイクアップするときは、インサレーション入りのものは脱いで、フリースを着たままの状態で登っていますね」
身体に触れるベースレイヤーが重要であることはもちろん、ミッドレイヤーとして本記事で紹介しているフリース素材のものと、インサレーション入りの2種類を持っていれば、厳冬期のバックカントリーから春先のコーンスノーまで、シーズンを通して快適なライディングが可能。特に使い勝手がいいというフリースの機能性について、中山は次のように説明する。
「ストレッチ素材なので動きやすさは間違いないです。林業のときも着ているんですけど、暑くなりすぎない。透湿性が高いんでしょうね。脱いだり着たりするのは面倒じゃないですか。ライディング時はこのフリースは着たままの状態で、上にインサレーション入りのものを羽織るか、羽織らないか、という感じです」
さらに、レイヤリング術としてそれぞれのサイズを変える、というのが中山からの新しい提案だ。
「以前まで寒いときはインサレーターダウンを着ていたんですけど、やはり暑く感じるときが多かったんですよね。そのダウンを2分割できれば微調整できるって感じていたんですけど、それがまさにフリースとインサレションで解決できました。
僕の場合、アウターはLなんですけど、ベースレイヤーはMを着ているんですよ。なので、寒いときに2枚目に着るフリースはMで、3枚目に着るインサレーテッドはLにすると調子いいと感じています。外側に向けて、徐々に空気の層を生み出すようなサイズコーディネートですね」
ここまで、[ak]のGORE-TEX 3レイヤーシリーズ、そして、レイヤリングについてまで話を掘り下げてきた。[ak]がBurtonのコレクションとして独立したのは1999-2000シーズンになるが、産声をあげたのは1997年の「TRI-LITE AK」というモデルだった。25年の時を経てアップグレードを繰り返している[ak]について、中山はこう締めくくった。
「[ak]っていう信頼感がありますね。[ak]を着ていて無理だったら帰ったほうがいいというか。まあ、帰れないときもあるかもしれませんが(笑)。この信頼感が、過酷なフィールドに誘ってくれるんです」