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一本のボードで山を遊び倒す、それがBURTONの哲学。半世紀近くかけて築き上げたフリースタイルの普遍性
2025.12.03
そう、スノーボードの楽しさを決めるのはスペックではない。どれだけ自由に遊べるか、どれだけ自分の描きたいラインを表現できるか。BURTON(バートン)のプロダクト開発の思想は、まさにそこにある。
FAMILY TREEやSTEP ONといった高価格帯のプロダクトが語られやすいいっぽうで、ブランドの中核を担うのは、やはりフリースタイルだ。PROCESS、GOOD COMPANY、COUNTER BALANCE、BLOSSOM、そしてCUSTOM。プロも一般スノーボーダーも同じフィールドで遊べるギアこそが、BURTONが誇る“定番ライン”なのだ。
本記事では、読者コミュニティ「BACKSIDE CREW」の声、そしてトップライダーたちのリアルを通じて、BURTONの原点を探る。
“自由に遊べる”感覚がBURTONを選ぶ理由
「BURTONって、絶対的な安心感がありますね。クセがなくて乗りやすく、いい意味でオートマみたいな感じ」
そう語るのは、白馬を拠点に20年以上に渡り滑り続けている読者スノーボーダー、こばちゃんこと小林良和さんだ。30代後半で、年間滑走日数は30日程度。会社員である傍ら「冬スポ!! WINTER SPORTS FESTA」のアンバサダーを5年前から務めており、フリースタイルだけでなくテクニカル系の大会に出ていた時期もあるオールラウンダー。インポートからドメスティックまで、幅広いブランドのプロダクトを使い分けているこばちゃんは、BURTONを使う機会が今も多いという。

CAPITA、LIB TECH、SIMS、OGASAKA、BC STREAMなどあらゆるボードに乗るこばちゃんだが、BURTONに対する信頼は厚い
「滑るメンツにもよりますが、BURTONを持っていくのが間違いないです。乗りやすいだけじゃなくて芯が通っている感じで、板を扱える人だったらしっかり弾けるし、弾けなかったとしても安定感がある。BURTONクオリティというか、プロダクト全般に対する信頼性が高いですね。山全体を滑り倒しても、バランスがいいから疲れにくいと感じます」
クセがなく、すぐに馴染む。パウダー、圧雪、地形、パークなど、一本の板でゲレンデのすべてを楽しめる。冒頭でこばちゃんが語った「オートマ」という表現には、コントロール性能の高さと安心感が詰まっている。

ホームである白馬エリアでパウダースノーを切り裂く
photo: ZiZO
「CUSTOM Xの硬さには苦戦しましたが(笑)、PROCESSやHOMETOWN HEROなどいろいろ乗った結果、CUSTOMが一番しっくりきました。BURTONは、自分のレベルと滑り方に合わせた選択肢がそろっているのがいいですね」
さらに、こばちゃんが強調したのは“ブランドで統一できる気持ちよさ”である。ボード、バインディング、ブーツ、ウエアに至るまでBURTONでそろえることで、モチベーションが一気に上がるという。
「スノーボードはカッコつけるスポーツだと思っていて、プロダクトのセットアップも僕にとっては同じなんです。ライダーのこともよく見ているので、BURTONのボードに乗るんだったら、BURTONのバインとブーツを合わせます。ウエアもそろえますね。もちろん見た目もそうですが、性能を引き出すという意味でも絶対統一したい派ですね」
見た目の美しさと同様に、ブランドとしての設計思想をそろえる安心感は大きいと語る。
さらに、「BURTONは歴史が長いから、その分、乗ってきた人も多いわけじゃないですか。だから、誰でもスノーボードを楽しめるプロダクトを提供し続けていると思うんですよね。安いモデルからFAMILY TREEのようなハイエンドモデルまで、多くのライダーやユーザーからのフィードバックが集まるから、絶えず進化しているんだと感じます」と付け加えてくれた。
そして、CHANNEL SYSTEMも大きな魅力だ。スタンス調整の自由度が高く、ボード本来のフレックスを殺さない。パウダーでも地形遊びでもハイスピードで滑るときも、一枚の板で遊びの幅が広がる設計。

「BACKSIDE SESSION」でファビアン・ローラー(手前)とカービングセッション
photo: ZiZO
「他ブランドのボードもたくさん使っていますが、どんなコンディションかわからないときにBURTONを選ぶことが多いですね。雪質や地形など問わず、とにかく滑りを楽しめるのがBURTONなんだと思います」
プロが証明するBURTONフリースタイルの“芯”
BURTONのフリースタイルカテゴリーには、PROCESS、GOOD COMPANY、COUNTER BALANCE、BLOSSOM、そしてブランドの象徴ともいえるCUSTOMなどが並ぶ。これらのボードは、単に扱いやすいだけではない。トップライダーが実際に使い、フィードバックを積み重ねて磨かれてきた“プロダクトの骨格”がある。
「PROCESSに初め乗ったとき、『これだ』と確信したんだ。軽くて、反発力があって、まさに僕が探していた完璧なオールラウンドで遊べるパークボードだよ」

マークの天性のバランス感覚にPROCESSの安定感が加わると、こうなる
photo: Blotto
そう話すのは、長年BURTONの看板ライダーとして活躍してきたマーク・マクモリスだ。ジャンプ、ジブ、ナチュラルヒット、ストリートまで、PROCESSが対応できる間口の広さは、バックカントリーとコンテストの最前線を走る彼にとっても重要なポイントだ。
さらに、GOOD COMPANYに乗るジェシー・アウグスティヌスは「柔らかすぎず、硬すぎない、ハッピーミディアムなフレックスが気に入っているよ。プレスするのも調子がいいし、思いきり踏み込むようなライディングもしっかりサポートしてくれるんだ」と語る。ハイスピードでの安定性と、ストリートで必要となる繊細なコントロール、その両方に応える乗り味は、彼のライディングスタイルと直結している。
「COUNTER BALANCEをひと言で言うなら、バランスのとれた誰でも扱いやすいボードなんだ」

悠貴アグレッシブなパウダーライディングをCOUNTER BALANCEが支える
photo: Niki Ayako
そう語るのは、幼き頃から裏山を滑り倒すバックカントリー界のサラブレッド、竹内悠貴。父・正則が運営するキャットツアーの拠点である新潟・光ヶ原高原で滑り込み、フリーライドの国際大会「FREERIDE WORLD TOUR」などで活躍する彼が求める反応の速さと安定感の両立は、COUNTER BALANCEに色濃く反映されている。
そして、BLOSSOMはフリースタイルを体現するモデルだ。「テイクオフ時の一瞬の動作にも対応してくれ、ジャンプの衝撃にもしっかり耐えることができる。ジャンプ、ジブのどちらでも自分の動きにすぐ反応してくれるので、滑っていてとても楽しい」と荻原大翔が評するように、ツインチップの扱いやすさと素直なレスポンスは、ライダーに余白を残しながら、想像を超える遊び方を許容する。その懐の深さは、どのレベルのスノーボーダーが乗っても感じられるはずだ。
これらのモデルは方向性こそ異なるが、共通しているのは“クセのなさ”と“滑りの自由度”。プロが求める確かな反応性と、一般スノーボーダーが求める扱いやすさ。その両方を満たす設計思想が、BURTONのフリースタイルボードには脈々と流れている。
プロの言葉に共通していたのは、どのモデルも「自分のスタイルを邪魔することなく、むしろ活きる」という点だ。ギアが主張しすぎず、ライダーの感覚をそのまま引き出す。1章でこばちゃんが語った“オートマ”な乗り味は、トップライダーたちのフィードバックが積み重なった賜である。
読者の実感と、プロの確信。両者の言葉が重なることで、BURTONがフリースタイルカテゴリーで支持され続ける理由が見えてくる。
BURTONが滑りの“基準”を作ってくれた
北海道生まれの読者スノーボーダー、長谷川達也さんは現在29歳。小学3年からスノーボードを始め、地元の雪山に足繁く通っていたが、ギアやライダーには無頓着だった。都内に進学し就職すると滑走日数は激減するも、24歳で北海道に戻ったことを契機に再燃。そこからはスノーボードを生活の中心に置き、年間滑走日数50日を超えるヘビーユーザーとなった。
札幌のプロショップに通うようになり、その試乗会でBURTONと出会うことに。
「それまでBURTONは使ったことがなかったんですが、CUSTOMのシンプルな乗り味が気に入りました。クセがないキャンバーボードで、シンプルに気持ちいいんですよね。フリーライディングが好きな自分には合っていると感じました。いろいろなシチュエーションでフリースタイルに遊べるボードという印象です。ちょっとした地形で細かく遊べるし、ハイスピードでかっ飛ばすこともできる。オールラウンドに楽しめるボードですね」

豪快にレイバックで当て込みコーンスノーを撒き散らす
photo: ZiZO
FAMILY TREEのSENSEIにも乗ったことがありそのよさを理解しており、HOMETOWN HEROの高評価も知っていた。しかし、「FAMILY TREEにも興味はありましたが、やはり値段的なことを考えたら、当時のCUSTOMは10万円未満で買えましたし、性能的になにも不満がなかったから迷いはなかったですね」と、コストと汎用性のバランスに優れる点に優位性があったと語る。
他ブランドのボードと並行して乗りながら、オールラウンドに雪山全体を使って遊びたいときにBURTONを選択することが多かったという。ミドルフレックスで足首の自由度が高いMALAVITAのバインディングから始まり、ハイスピード時やスーパーパイプで強いGがかかるときなど不安定さを感じ、CARTEL Xに買い換えた。「高速域でも足首がしっかりホールドされて、不整地でも安定感が高まりました。とはいえ、足首が使えないわけじゃなくて自由度も感じられ、地形遊びなどフリースタイルな動きもよかったですね」

軽々とインディグラブでブッシュを越える
photo: ZiZO
MALAVITAとCARTEL Xを使い分けながら、長谷川さんはBURTONとともに上達していく。一時はライダーを目指した時期もあったほど。そんな彼の滑りにもっとも大きな影響を与えたのは、ESTだ。
「足裏感覚がすごくよかったですね。ボードから力の伝達がダイレクトで、エッジの感覚がすごくわかりやすく、細かいボードコントロールがやりやすかった印象があります。圧雪バーンでのカービングターンはものすごく気持ちよかったです。板のトーションやフレックスをしっかり使えて、雪面を確実にとらえられている感じでした。オーリーするときもきれいにボードをしならせることができて、実際に飛べているかはわかりませんが、そういう感覚がありました」

ボードのフレックスを感じながら5-Oでナローボックスを攻略
photo: ZiZO
初めて長谷川さんの滑りを見たのは、BURTONに乗り替える前だった。トランジションがつながっていない壁地形の上部にオーリーをかけてレイバックで当て込むなど、非凡なるセンスを感じた。BURTONに乗るようになってから再びセッションすると、その動きはより洗練されているようだった。
「今は他ブランドを使っていますが、ESTで覚えた足裏感覚が自分の滑りの基準になりました。ディスクのバインディングだと同じ感覚にはなりませんが、BURTONに乗った影響で足裏でボードをコントロールする意識がもてるようになった気がします」
PROCESS CAMBER SNOWBOARD
PROCESS CAMBER SNOWBOARD

▷全長: 155cm
▷有効エッジ長: 115.5cm
▷ウエスト幅: 25.1cm
▷推奨体重: 54〜82kg
▷セットバック: -1.25cm
▷サイズバリエーション: 152、157、159、162、155W、157W、159W、162Wcm
▷価格: 83,600円
優れた反発力で精度の高いフリースタイルを実現するオールマウンテンボード
GOOD COMPANY CAMBER SNOWBOARD
GOOD COMPANY CAMBER SNOWBOARD

▷全長: 152cm
▷有効エッジ長: 111cm
▷ウエスト幅: 25cm
▷推奨体重: 54〜82kg
▷セットバック: 0cm
▷サイズバリエーション: 135、145、148、155、159、155W、159Wcm
▷価格: 66,000円
頼れるトゥルーツインとキャンバーによりパークスキルの向上をサポートする
COUNTER BALANCE CAMBER SNOWBOARD
COUNTER BALANCE CAMBER SNOWBOARD

▷全長: 154cm
▷有効エッジ長: 112cm
▷ウエスト幅: 24.9cm
▷推奨体重: 54〜82kg
▷セットバック: -2.5cm
▷サイズバリエーション: 142、146、150、154、158、162、154W、158W、162Wcm
▷価格: 99,000円
フリースタイルとフロートの絶妙なバランスが自慢のオールマウンテンボード
BLOSSOM CAMBER SNOWBOARD
BLOSSOM CAMBER SNOWBOARD

▷全長: 155cm
▷有効エッジ長: 114cm
▷ウエスト幅: 25.1cm
▷推奨体重: 54〜82kg
▷セットバック: 0cm
▷サイズバリエーション: 144、149、152、158、162cm
▷価格: 90,200円
キャンバーとカーボン補強コアが生み出すキレのある反発力を有するトゥルーツイン
CUSTOM CAMBER SNOWBOARD
CUSTOM CAMBER SNOWBOARD

▷全長: 156cm
▷有効エッジ長: 114.5cm
▷ウエスト幅: 25.2cm
▷推奨体重: 68〜91kg
▷セットバック: -1.25cm
▷サイズバリエーション: 150、154、158、162、154W、158W、162W、166W、170Wcm
▷価格: 107,800円
ツインフレックスとキャンバーによりどんな地形やコンディションでも威力を発揮する万能ボード
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)




