BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

BURTONが誇る最高級ウエア[ak]のすべて。世界中の雪山で快適に過ごせる「濡れない・蒸れない」アイテムたち

2024.11.11

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スノーボードにおけるプロダクト全般を革新的に進化させた第一人者であり、バックカントリースノーボーディングの開拓者、今はなきクレイグ・ケリーが生み出した[ak]。1997年に「TRI-LITE AK」として産声をあげ、1999-2000シーズンからいちコレクションとしてランナップされて以来、すでに四半世紀以上の月日が流れている。今ではBURTON(バートン)の代名詞的コレクションだ。
 
その名のとおりアラスカを滑るために開発された[ak]だけに、世界中のスノーボーダーたちがうらやむ豪雪大国・日本のどこで滑っていても、いや、世界中の山々で着ても快適そのものだ。北海道内陸のディープなドライパウダースノーはもちろん、日本海側の湿雪に埋まろうとも濡れることはない。身体が吹き飛ばされそうな猛吹雪でも寒くなければ、ハイクアップして汗をかいても蒸れることはない。レイヤリングがしっかりできてさえいれば、すべてのフィールドで使えるのだ。それは、1998-99シーズンから続く、GORE-TEX社との製品開発の賜物である。
 
多くのスノーボーダーたちを虜にしてやまない[ak]は年々アイテムが増えていて、2024-25シーズンはジャケットが16種、パンツが10種ラインナップされている。より多様なシチュエーションで着用できるのはうれしいことだが、カテゴリー分けされているわけではないので、ぶっちゃけのところ選び方がわからないという読者諸兄姉も少なくないのかもしれない。
 
そこで、まずはBURTONのユーザー問い合わせ窓口であるBURTON GUIDEのスタッフの意見をもとに、10グループに分けてもらった。そこから編集部の意見も含めて4グループにまで絞り、[ak]を開発しているアメリカ本社のスタッフとBURTON STORE各店の店長・スタッフたちを徹底取材。実際にあらゆる現場で着用しているチームライダーたちにも話を聞いた。
 
ここに[ak]のすべてを記す。

自らの足で登るスノーボーダーのための[ak]

スノーシューやスプリットボード、ツボ足も含めて、ハイクアップする機会が多いというスノーボーダーは、有酸素運動による激しい発汗を伴うため、快適性や機能性に優れたウエアが必須となる。もちろん、軽さも重要だ。大きく分類すると、KALAUSIシリーズ、TUVAKシリーズ、TUSKシリーズ(本章でいう「シリーズ」とは、ジャケット・パンツ・メンズ・ウィメンズ・ユニセックスなどをまとめたもの)がこのカテゴリーに当てはまるのだが、その中でも、あらゆるスノーボードライフにアジャストさせられるように細かな特徴が異なる。
 
フレッシュスノーを求めてハイクアップを繰り返し、シーズン中はほとんどの時間をバックカントリーで過ごすという人は、KALAUSI GORE-TEX C-KNIT 3L JACKET / KALAUSI GORE-TEX C-KNIT 3L BIB PANTSTUVAK GORE-TEX C-KNIT 3L JACKET / TUVAK GORE-TEX C-KNIT 3L PANTSをチョイスしたい。バックカントリーへ赴いて数時間登ったとしても、ライディング時間はたったの10分、15分なんてことはザラにある。スノーシューとスプリットボードでは行動時間に差は出るが、ほとんどが登りであることに変わりはない。

 

この瞬間に最大限のパフォーマンスを発揮するために、身にまとうウエアは妥協したくない
rider: Ryusei Takahashi

 

だからこそ、少しでも軽量なウエアを着用するべきだ。動きやすさと軽さを追求するミニマリストは、KALAUSI一択で間違いない。[ak]の標準的なウエアでは30枚の生地が使われているところ、KALAUSIはジャケット、パンツともにたった2枚の生地で作られている。縫い目を最小限にした結果、超軽量でかさばることなく、最大限の可動域を実現した。かつ、激しいアクティビティに適した伸縮性と通気性に優れている。

 

極上の斜面を求めて数時間ハイクアップに費やすのであれば、その疲労感やライディング時の集中力はウエア選びでかなりの差が出るだろう
riders: Yuya Nakayama(right) and Ryusei Takahashi

 

いっぽうでTUVAKは、KALAUSIにもっとも近いプロダクトでありながら若干コスパに優れているため、よりユーザーに提案しやすいとストアスタッフは語る。そのうえで、KALAUSIと同じくTUVAKには、ハイクアップでのストレスを最小限に抑えるためにGORE-TEX C-KNIT ストレッチ 3レイヤー ナイロン30D プリント入りプレーンウーブン素材(以下、GORE-TEX C-KNIT 3L)を採用。ウエアの突っ張りを感じないほどのしなやかさを誇るため、より山を登ることに集中できるのだ。まずは試着してみることをオススメしたい。
 
バックカントリーが中心だが、ゲレンデアクセスでサイドカントリーも楽しむというスノーボーダーには、TUSK GORE-TEX PRO 3L JACKET / TUSK GORE-TEX PRO HI-TOP BIB PANTSが最適である。後出のACMARとTUVAKの中間に位置し、ACAMARよりも通気性に優れ、GORE-TEX RGR PRO シェル 3レイヤー 40Dナイロンプレーンウーブン素材(以下、GORE-TEX PRO 3L)を採用しているためTUVAKよりも耐久性が高い。さらに、ジャケット内側にあるメッシュポケットはクライミングスキンの収納に対応しており、無線機専用ポケットが搭載されている。かつてラインナップにあった、ak457 GUIDE JACKETのようなプロダクトを求めるユーザーにオススメだ。

 

TUSK GORE-TEX PRO 3L JACKETとTUSK GORE-TEX PRO HI-TOP BIB PANTSのディテール

 

KALAUSIとTUVAKはGORE-TEX C-KNIT 3Lが、TUSKにはGORE-TEX PRO 3Lが採用されている。この違いについてチームライダーの中山悠也は、「KALAUSIとTUSKで比べると、前者は柔らかくて和み、肌触りが気持ちいい素材。後者は、パリッとしていて気が引き締まり、素材感はひんやりしています。ハイクアップしていると、TUSKの場合は生地が折り紙を折ったときのような山折り部分ができるため死角がありますが、KALAUSIは和紙のように柔らかいため、死角ができづらいというのが大きな特徴です」と、非常にわかりやすく解説してくれた。
 
よりハイクアップに比重を置いているスノーボーダーは、生地がしなやかなKALAUSIかTUVAKがいいだろう。ただし中山いわく、TUSKの場合は高速滑走時に素材がバタバタと音を立てるそうだが、特にKALAUSIは風を受ける音がしづらいため、オーバースピードに要注意だ。


バックカントリーもゲレンデも滑りたいスノーボーダーのための[ak]

ゲレンデクルージングはもちろん、降雪に恵まれそうなタイミングを見計らってバックカントリーライディングも狙っているという層が、弊ウェブマガジンの読者層の中心ではないだろうか。読者スノーボーダーのコミュニティ「BACKSIDE CREW」のメンバーたちは、まさにこのようなスタイルでスノーライフを過ごしているメンバーが多い。
 
そんなスノーボーダーたちに最適なアイテムたちは、HOVER GORE-TEX 3L STRETCH JACKET / FREEBIRD GORE-TEX 3L STRETCH BIB PANTS、そして、KIMMY GORE-TEX 3L STRETCH JACKET / KIMMY GORE-TEX 3L STRETCH BIB PANTSシリーズだ。まずお伝えしたいこととして、前出したKALAUSI、TUVAK、TUSKと同等レベルのスペックを誇るため、十二分にバックカントリーで使えるということ。濡れない・蒸れないは当たり前。激しい有酸素運動を伴うシチュエーションでも、極寒地で猛吹雪に遭遇しようとも、レイヤリングさえ間違っていなければまったく問題ない。
 
そのうえでディテールを見てくと、HOVER / FREEBIRDにはGORE-TEX PRO 3Lが、先出のTUVAKにはGORE-TEX C-KNIT 3Lが採用されているように素材や特徴は異なるが、役割は非常に似ている。軽量で通気性が高く、動きやすさに定評のあるウエアであることに違いはない。そのうえで、KALAUSIやTUVAKにはないウエストゲーターやハンドゲーターが装備されているので、着心地と快適性を両立させたいスノーボーダーにはうってつけの逸品である。

 

HOVER GORE-TEX 3L STRETCH JACKETのディテール

 

前出の中山は、「ゲレンデやサイドカントリーがメインであまりハイクアップをしない日はビブパンツを履かないことが多いので、そういうときはウエストゲーターが付いているHOVER JACKETを選びます。毎年トレンドは変わりますがカラーバリエーションが豊富なので、自分好みの色が必ずありますね。ポケットの位置や大きさもちょうどいい。生地が柔らかくて肌触りも着心地もいいため、シーズンを通じて一番使用頻度が高いウエアです」と、HOVERの魅力について教えてくれた。
 
KIMMY 3Lの特徴もHOVER / FREEBIRDと同様である。ポケットが多く搭載されているため、ゲレンデライディングに適しているという点についても同じことが言える。この章で紹介しているウエアたちは、KALAUSIやTUVAK、TUSKと同じくGORE-TEXの3Lシリーズだ。[ak]の3Lシリーズすべてに、雪崩救助反射板として知られるRECCOが搭載されていることもお忘れなく。


ゲレンデクルージングが中心のスノーボーダーのための[ak]

バックカントリーで滑った経験はあまりないが、サイドカントリーや非圧雪コースのパウダースノーは大好物。グルーミングバーンでカービングターンを刻みながら加速させ、ゲレンデ内に点在するナチュラルヒットに当て込む。パークやパイプにも積極的にトライしたい。ゲレンデでのフリーライディングやパークライディングがライフスタイルの中心にありがらも、ライディング時もリフト乗車時もとにかく快適に過ごしたいというあなたは、このグループで紹介するウエアたちからチョイスしたい。
 
まず、メンズのSWASH GORE-TEX 2L JACKET / SWASH GORE-TEX 2L PANTS、ウィメンズのEMBARK GORE-TEX 2L JACKET / SUMMIT GORE-TEX 2L PANTSについて説明すると、ジャケットには化繊のインサレーションが適宜に配置されているため保温性が高い。しかし、暖かいコンディションの場合は体温調節が難しくなるため、全般的に寒い日に最適なプロダクトと言える。なのでハイクアップはしないが、標高の高いエリアや北海道、北東北など気温が低い山々で滑るというスノーボーダーに適しているジャケットだ。反対にパンツにはインサレーションが入っていないため、レイヤリング次第でシーズンを通して着用可能である。
 
それに対して、古くからの定番モデルとして支持を集めているのが、メンズのCYCLIC GORE-TEX 2L JACKET / CYCLIC GORE-TEX 2L PANTS / CYCLIC GORE-TEX 2L BIB PANTSだ。ウィメンズのUPSHIFT GORE-TEX 2L JACKET / SUMMIT GORE-TEX 2L PANTSなども同等の機能を搭載しているのだが、GORE-TEXファブリックの利点と必要な機能はすべて搭載されており、先述のSWASHシリーズと比較するとインサレーションが配されていないため、しっかりとレイヤリングを行えばシーズンを通して対応できる。[ak]の入門シリーズとして最適だと、ストアスタッフたちは口を揃える。

 

CYCLIC GORE-TEX 2L JACKETとCYCLIC GORE-TEX 2L PANTSのディテール

 

このグループのウエアはGORE-TEX 2レイヤー 75Dリサイクルポリエステルプリントプレーンウーブン素材を搭載しており、一般スノーボーダーにとっては十二分な機能を有している。そのうえで、3Lシリーズよりもお求めやすい価格になっているのが魅力だ。では、3Lと比べて2Lシリーズのウエアは、実際のところどう違うのか。それぞれのウエアをシチュエーションによって使い分けているチームライダー、藤森由香に話を聞いた。
 
「3Lはどこに行くにも状況を選ぶ必要がないため、使い勝手でいえば一番いいです。レイヤリング調整さえ間違えなければとても快適なので、これさえあれば安心できます。ですけど、バックカントリーではなくサイドカントリーで楽しむときや、ゲレンデ、パークなど幅広いシチュエーションを滑るときは2Lシリーズのウエアを実際に着用しています。私はとても寒がりなので、ゲレンデで滑るときはインサレーションの入った保温性が高い2Lを着ることが多いです。リフトに乗っているときにパンツの性能が高いと冷えづらいので、GORE-TEXはいいものだとつくづく感じています。サイドカントリーで登るときもインナーにしっかり透湿性があるものを着用していれば快適さを保てますし、不快さを感じたことはありません。ただし、3Lシリーズに比べるとウエアの重量は感じます」

 

フィールドを問わず、世界中の山々で活動している藤森由香が大きな信頼を寄せる[ak]

 

ゲレンデクルージングを中心に、非圧雪コースや公認されたツリーエリアなどへパウダーハントに出かけるというスノーボーダーが一般的には多いだろう。藤森の言葉どおり、2Lシリーズのウエアを選べば間違いない。ただし、レイヤリングは絶対に怠らないように。


ヘリやモービルを利用するプロやガイドを生業とするスノーボーダーのための[ak]

本章の見出しは一般スノーボーダーという枠組みをはるかに越えてしまっているので、自分事として捉えられずにスルーしてしまうかもしれない。しかし、ウエアはシェルとも呼ばれ日本語では殻の意を持つわけだが、雪山というタフなコンディションから身体を守るために投資を惜しまないという人にオススメしたいACAMAR GORE-TEX PRO 3L JACKET / ACAMAR GORE-TEX PRO 3L BIB PANTSや、極寒エリアでのライディングを想定しているLZ GORE-TEX 2L DOWN JACKETFLARE GORE-TEX 2L DOWN JACKETはライディング時にかぎらず街着としても最強というメリットもあるので、最後までご一読いただきたい。
 
まずはACAMARシリーズだが、TUSKと同じくGORE-TEX PRO 3Lを採用。ヘリスノーボーディングやスノーモービルでのアクセスを想定して作られており、KALAUSIやTUVAKよりもライディングに重きが置かれているからこそ、ツリーライディング時に枝との接触などを想定したタフな生地を用いている。[ak]のラインナップ中、もっとも耐久性が高いのだ。それでいて、シルエットはTUSKよりもルーズに仕上がっている。言うまでもなく防水性と透湿性は非常に高いため、長時間の山岳滞在や厳しい気象条件下でのライディングにも対応。先述したように、外界から身体を守る最高級の“殻”なのだ。
 
また、TUSK同様にジャケット内側には使い勝手抜群のメッシュポケットと、無線機専用のポケットを搭載。HOVERと同じくハンドゲーター&ウエストゲーターも付いている。

 

ACAMAR GORE-TEX PRO 3L JACKETとACAMAR GORE-TEX PRO 3L BIB PANTSのディテール

 

ACAMARを愛用している竹内悠貴は、次にように語ってくれた。
 
「ACAMARは今までの[ak]よりも、着心地とフィット感がよくなっているように感じます。機能面ではGORE-TEX PRO 3Lなので、ハイシーズンの妙高でも安心して使えますし、耐久性が高いのがうれしいですね。光ヶ原のキャットやモービルではかなりハードに使いますし、ツリーで木の枝が当たるなどしても耐久性が高いからまったく問題ありません。ガイドを務めるときはトランシーバーを使いますが、シーバーのマイク用ループやデバイスポケットなど、かなりこだわりを感じます。ジョガータイプの裾や補強パネルなど細かいところまでライダー視点で開発されていると感じます」
 
ACAMARだけでなく、KALAUSIとTUVAKのビブパンツもジョガースタイルなので、オシャレなだけでなくSTEP ONとの相性も抜群だ。

 

写真はTUVAK GORE-TEX C-KNIT 3L PANTS

 

LZとFLAREは、シーズン中にもっとも寒い日を想定して作られたウエアである。軽量で圧縮性に優れ、極寒地での長時間の活動にも対応するため、ガイドを生業とするスノーボーダーに最適。また、先述したように街着との兼用も可能なので、北海道など極寒地へのトリップの際に重宝されること請け合いだ。
 
対してHELITACK GORE-TEX 2L STRETCH JACKETは、SWASHとLZの中間をイメージするといいだろう。極寒エリアでハイクアップすることなくライディング中心であればLZがベストだが、ハイクアップなど行動が多く熱を逃がす必要がある場合には、このHELITACKが最適だ。
 
「しっかりしたダウンジャケットでありながら2Lの仕様なので、LZ DOWNはどんな場面でも暖かく、極寒地では特に効果を発揮します。日常的に雪の上で生活されているスノーボーダーにとって、非常に役立つアイテムですね。ライディング時だけでなく、アフタースノーでの移動や長時間外にいるときなど重宝します。身体を動かさないときでも保温力がしっかりあるので、冷えることなく安心です」と、チームライダーの高橋龍正は語る。

 

ダウンジャケットだからといって動きづらいなんてことはまったくない
rider: Ryusei Takahashi

 

[ak]の中で特異な存在ではあるが、あらゆるシチュエーションで使えるお得感抜群のアイテムたち。大幅にデザインが変更されることが少ない[ak}シリーズだけに、一着持っておいても悪くないのかもしれない。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Kentaro Fuchimoto

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