BACKSIDE (バックサイド)

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OAKLEY

カーボンで自由自在に“マジックボード”を生み出す開発者たちの努力の賜物

ボードの中身はウッドコアが主流であることは、周知の事実。ポプラ、ブナ、ヒノキなど、作りたいボードの性能を引き出すために、種類が異なる複数の木材を配置している。それは今も昔も変わらないが、1995年に「世界初。全身カーボン。」のキャッチコピーを掲げて誕生したブランドがGATTA(ガッタ)であり、現在のYONEX(ヨネックス)だ。

カーボンの特徴として挙げられるのは、優れた軽量性と金属をしのぐ剛性、そして、ライディングに欠かせない反発力を併せ持っていること。多くのブランドのコア材を補強するために使われていることが、その性能を裏づけている。1970年代後半にカーボンとグラスファイバーを複合させたテニスラケットを開発して以来、YONEXは20年近くかけてラケットやゴルフクラブなどの製造を通じて、オールカーボンボードを生み出す技術力を有していたのだ。

木を乾燥させてコア材に用いているほとんどのボードは、たとえ同じブランドの同モデルであっても、完全に均一に作ることが難しいというのは想像に難くない。

    YONEXは木をコア材に使用しないことで均一性を実現できると同時に、カーボンだからこそフレックスやトーションを自由に設計できることがスノーボードのアクションに必要不可欠であると考えた。

    カーボンと聞くと、まっさきに“硬そう”というイメージが先行するという読者諸兄姉も多いことかと思うが、YONEXはカーボン繊維を編み込んでシート状にしたものを使用し、これらを幾層にも重ねてコア材を作り出している。その重ね方をまっすぐなのか斜めにするのかでまったくの別物になり、さらに言えば、角度が1°違うだけでもその性能は大きく変わるのだ。言い換えれば、カーボンシートの積層角度や配置により、無限大のフレックスとトーションが実現可能。フレックスが柔らかいのにトーションが硬いボードが、はたまたその逆も生み出すことができる。自然界には存在しない“マジックボード”を作ることができるのだ。

    そのうえで、成型時に接着剤の使用を極力避け、加熱・加圧して結合力を高めることで軽量化を実現。この「カーボンクロス複合成型」という独自の技術をもってして、カーボンボードは現在進行形で進化を遂げている。加えて、カーボンシートを成型する際の樹脂にナノサイエンス素材を配合することでより結合力が高まり、それと同時に、剛性や反発力も高めることに成功。その結果、カーボン層を薄くすることが可能になり、より軽量化を加速させた。2017年には同ブランド史上最軽量となる2,090gのボード(REGNA 154)を生み出すことに成功したのだ。

    誕生から四半世紀以上が経過したが、オールカーボンボードは今もなお、唯一無二の存在。その理由──それはずばり、他ブランドがマネすることが難しいからである。カーボンは非常に繊細な素材、性質を100%引き出すためには設計から製造までを完璧に行う必要があり、ひと筋縄にはいかないのだ。40年以上に渡り、テニスやバドミントン、ゴルフなどのスポーツを通じて培ってきた開発者たちのモノづくりに対する姿勢、そして、情熱により磨き続けられてきた技術力の賜物。チームライダーたちからのフィードバックをもとに、こうしてYONEXのプロダクトは誕生している。
     
    text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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