FEATURE
佐藤秀平とパウダーハントの大冒険「BACKSIDE SESSION #8 with SIMS」@カムイスキーリンクス
2023.02.16
12月中旬に日本列島を襲った寒波の襲来とともに北海道・旭川入りを果たし、最高のコンディションのまま5日間に渡るシューティングを終えた。しかし、23日くらいから12月の旭川としては珍しいほど気温が上がってしまい、道路にはブラックアイスバーンが出現するほど。そうしたタイミングに、スノーボードコミュニティ「BACKSIDE CREW」のセッションイベント「BACKSIDE SESSION」の今シーズン1発目を25日のクリスマスに設定しており、SIMS SNOWBOARDS(シムス スノーボード)とのコラボで行うことが決まっていた。世界中で話題を集めた『SHUTIME』でおなじみ、旭川に出自を持つ佐藤秀平をゲストライダーに招いてのセッションである。
ゲストとは言ったものの、ローカルである秀平に案内してもらいながら滑れるという豪華セッション。贅沢極まりないわけだが、旭川市街から車で30分とほど近いカムイスキーリンクス(以下カムイ)のコンディションは万全とは言えない状態だった。ゲレンデの変更も考えたが、秀平とミーティングを重ねて予定どおりにカムイで開催することを決定した。
本州から初代FRESHFISHメンバーの冨内俊卓(トシ)さんと三熊直樹(クマ)さんが青函トンネルを越えて、#7のカムイみさかセッションからFRESHFISHに参加してくれている原本真(マコっちゃん)さんが飛行機で、それぞれ来道。マコっちゃんはその前日の日中から北海道入りしていたため、某ゲレンデで1ランだけセッションしていた。
道内在住の初代FRESHFISHメンバーである木島真(マコト)さんと長谷川達也(タツヤ)さんは、昨シーズン3月に行った「BACKSIDE SESSION #4」@富良野以来の参加。さらに、秀平が受け継いだ老舗プロショップ「KONA SURF」のストアマネージャーに就任したFRESHFISHの大江光(ヒカル)さんも、開店前の時間を利用して参加してくれた。むしろ、ヒカルが旭川に移住したことが、この地で開催するに至った理由のひとつだった。
STALEFISHからは若槻三四郎さんと、中学生の高橋絆心さんが参加してくれた。さらに、直前までの撮影に同行していたBURTONマーケティングの石原公司氏、BACKSIDE SESSION翌日からの撮影で同行するフォトグラファー・小野塚章氏も参加してくれた。
そして、SIMSからは秀平のほかにライダーの荒井“DAZE”善正と、SIMSのボスである元祖スピンマスター・石川健二氏、弊誌からは僕、野上大介(編集長)とアシスタントの西村悠人の総勢15名でのセッションが始まった。SIMSとのコラボイベントにBURTONのスタッフが混じるというのも、BACKSIDE SESSIONならではといったところか。
数日に渡り降雪に恵まれていなかったのでパウダースノーは期待できない状態だったが、さすがは旭川エリア。先述したように街から近く、標高も751mとさほど高くないにもかかわらず、グルーミングバーンは本州スノーボーダーにとって踏みごたえも噛みごたえもある、素晴らしい雪質だった。軽く足慣らしを終えると、秀平による案内のもとパウダーハントの冒険に出ることになった。
幼少期から滑り込んでいるカムイは、秀平にとって庭のようなものなのだろう。保存されているパウダーエリアに案内してくれた。カムイのベストコンディションからはほど遠いのだろうが、本州では降雪が遅れていたことを鑑みると、シーズン序盤のセッションとしては申し分ないコンディションだったと言えるのかもしれない。
ここからはFRESHFISHメンバーのライディング写真とともに彼らの言葉から、本セッションの中身を感じとってほしい。
昨シーズン、新潟・ロッテアライリゾートで行われた「FREERIDE QUALIFIERS」の18歳以下で優勝し、今年1月にオーストリア・カップルで開催された「FREERIDE JUNIOR WORLD CHAMPIONSHIPS」で5位という成績を収めた絆心ちゃん。「BACKSIDE SESSION #4」@富良野にも申し込んでくれていたのだが、中学校のクラスメートにコロナ感染者が出たため断念。ようやくセッションすることができた。
中学3年の彼女いわく、「オジサンたちが楽しそうに滑っているのを見れてよかったです(笑)。先生たちと滑っているのとはちょっと違って、セッションっぽい感じだったので面白かったですね!」とコメントを残してくれた。大会を転戦しながら高校受験もこなすという、スーパー中学生だ。
また、同じく初参加の三四郎くんも、「初めての参加だったので不安だったんですけど、実際に一緒に滑ってみると、スノーボーダーとして価値観を共有している部分が多いなって感じました。すぐ打ち解けることができましたし」とのこと。セッションを楽しんでもらえたようだ。
セッション後には、参加者全員で秀平がオーナーを務めるKONA SURFへ向かうことに。セッションの余韻を楽しみながら、弊誌のバックナンバーを手にとったり、買い物したり、トシが秀平や石川氏にサインをもらったりしながら、スノーボード談義に花が咲いた。
「KONA SURFにみんなで来てくれて、こうやって人がいっぱいいるところを見ると、自分自身ももっと頑張っていこうと思わされました。旭川は滑るには環境がめちゃくちゃいいので、しっかり滑り込んで、私なりにスノーボードのよさを伝えていけたらいいなと、改めて思いました!」と、ヒカルも本セッションを通じて刺激を受けていたようだ。
「最近は『K FILMSと滑らん会?』やKONA SURFのイベントで一般の人たちとゲレンデで滑る機会が多くて、このBACKSIDE SESSIONもめちゃくちゃ楽しかったですね。オレたちはムービー撮影が中心だから、みんなが滑らないバックカントリーで滑っていますけど、こうしてみんなのフィールドで飛んだり回したりしながら、どんなコンディションでも遊べるっていうのを伝えられるのは面白い。BACKSIDE SESSIONが終わってからも一緒に滑ろうってなったとき、みんな本当にスノーボードが好きなんだなっていうのが伝わってきました。仕事と子育てに追われていてパウダーを狙ったりできなくて、ようやく落ち着いて滑れるようになって号泣したって話をCREWの人(トシ)に聞いて、めっちゃアツいなって。オレもおっちゃんになっても滑り続けていたいと思わされました」
このようにセッションを振り返ってくれた秀平。世界を股にかけて活躍するトップライダーに、一般スノーボーダーであるCREWが刺激を与えていたという話を聞いて、僕も胸がアツくなった。
さあ、今シーズンもそろそろ折り返しということで、BACKSIDE SESSIONを通じてさらに盛り上がっていこうぜ!
次回は1月下旬に開催した「BACKSIDE SESSION #9」@野沢温泉のレポートをお届けする。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Kazumaru
special thanks: Kamui Ski Links