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CREW
ハイシーズンから最終盤まで楽しめるゲレンデを満喫した「BACKSIDE SESSION #16」@野沢温泉スキー場
2025.01.04
等身大のフリースタイルスノーボーディングが詰まった一日だった。これから本格化する24-25シーズン、年末年始なので大型トリップ中という読者諸君も多いのではないだろうか。雪が降っても降らずとも、どんなコンディションでもクリエイティブに遊ぼうぜ!というメッセージを込めて、筆を執ることにする。
23-24シーズンも終盤となった4月21日、一生涯スノーボーダーのコミュニティ「BACKSIDE CREW」の面々が、恒例イベント「BACKSIDE SESSION」のために長野・野沢温泉に集った。この日のお目当てはピークの標高が1,650mを誇る同ゲレンデの最上部、やまびこエリア。ハイシーズンには自己責任特別エリアとしてツリーエリアが解放されており極上のパウダースノーを楽しめるのだが、シーズン終盤にはあらわになった沢地形により、フリースタイラーの恰好の遊び場へと変貌する。通称“やまびこ沢”と呼ばれるこの自然地形を隅々まで遊び尽くすべく、この日は野沢温泉でガイド業も営んでいるプロショップ「COMPASS HOUSE」に所属するガイド・竹内大悟をゲストに迎え、セッションが始まった。
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COMPASS HOUSE唯一のスノーボーダーガイドである竹内(右)。これから野沢温泉に来訪しようと考えている者はぜひ、COMPASS HOUSEをチェックしてほしい
まずは足慣らしということで、やまびこエリア内のコースを楽しむ。竹内いわく、メインリフトであるやまびこフォーリフトを降りてから少し歩かなければならないやまびこAコースのバーンが、同エリアの中でも荒れづらいとのこと。この日は春の陽気にあてられ、みな若干動き出しがニブかったこともあり(笑)、まずはAコースで足慣らしがてらカービングターンを楽しんだ。BACKSIDE CREW立ち上げ当初から参加してくれているイワクラ(岩倉宏徳さん)は生粋の野沢ローカル。ケガによりこの日が2ヶ月ぶりのライディングだったようだが、CREWの面々との再会が、改めてスノーボード熱に火をつけたようだ。
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「23-24シーズンの中盤にケガをしてしまい、約2ヶ月ぶりのスノーボードでしたが、改めて滑ることができる環境と仲間に感謝したセッションでした。野沢温泉はシーズン序盤から終盤まで、いろいろなスタイルのスノーボーダーを楽しませてくれるんです。パウダー、カービング、ハーフパイプと……今回のセッションではやまびこ沢とプチパークでお腹いっぱいです! 24-25シーズンもシーズン券購入決定です(笑) 」──イワクラ
コースを滑り下りてやまびこフォーリフトに乗車すると、眼下にはお目当てのやまびこ沢が広がっている。リフトに揺られながら「あそこが飛べそうだ」「あそこは当て込めそうじゃない?」などと作戦会議を繰り広げて自分の滑りがイメージできるのも、このエリアの楽しいポイントだろう。ガイドに先導されながら、待望のやまびこ沢にドロップする。ここには計2本の沢が通っており、それぞれ近いコースのアルファベットから、Aサワ、Bサワと呼ばれている。特徴的な沢地形がそれぞれに形成されており、さながら天然の“フリーライドパーク&バンクドスラローム”といったところか。我々がまずドロップしたのはBサワの方。こちらはボトムから高さのある壁にかけても雪がついており、想像力を掻き立てられる地形が複数存在する。
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バンピーな地形をものともせず加速し、フロントサイドエアを繰り出す竹内
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これもすべて美味い酒のため! ということで、納得いく画を残すためにおかわりハイク
遠路はるばる兵庫からやってきたノブは、シーズン中はバックカントリーライディングを中心に、ここ最近は毎年の北海道遠征をルーティンにしているフッ軽スノーボーダー。立山・室堂にて雪中キャンプ&バックカントリーライディングに参加するという一大イベント(記事はこちら)を5月に控えた中で、いいコンディションの中で一旦シーズンを締めるために参加してくれた。
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「4月下旬としては十分に楽しめました。気温が高く賞味期限は短かったですが、朝イチの圧雪も気持ちよく、沢もかなり仕上がっている状態で楽しかったです。みんなでワンメイクを狙ってハイクしたのもいい思い出ですね! テクニカルな部分もあり修行になりました」──ノブ
この日のために自身のスノーボード仲間をSTALEFISH(無料会員)に加入させて連れてきてくれたマコっちゃん(原本真さん)は、セッション後に企画していた飲み会を最大限に楽しむべく、フルスロットルで滑り続けていた。
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「最高のセッションでした。(野沢温泉は)4月に開いているゲレンデの中では最高なんじゃないかと思います。野沢温泉に来たのは2回目なのですが、沢がこんなに面白いとは思っていませんでしたね。学生時代によく行っていた蔵王温泉(マウンテン&スノーリゾート)に雰囲気がそっくりでした。大きなゲレンデと温泉街のバランスがいい。楽しい仲間と滑って飲んで温泉入って、これ以上ないシーズンの締めでした! ひさびさに酒に飲まれてしまい二日酔いがきつかったです(笑)」──マコっちゃん
マコっちゃんに誘われ、この機会にSTALEFISHにジョインしてくれたおふたりは普段から沢地形を滑っているわけではないそうだが、全力で楽しんでいた。新しいスタイルに出会えるのもこういったコミュニティで滑る醍醐味だろう。
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STALEFISHの女性ふたりも沢セッションを全力で楽しんでいた
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Bサワを満喫したことで心地よい疲労感に包まれ、我慢しきれずフライング乾杯!
起伏に富んだBサワに対し、Aサワはトップ・トゥ・ボトムで長く左右にうねった地形が続くイメージ。数々のスノーボーダーが気持ちいいラインを滑り続けることでだんだんと掘れていき、最終的にはバンクドスラロームのような地形が出現するのだ。スピードに乗せてAサワをノンストップで滑り続けることができるなら、ボードコントロール術は相当なものだろう。
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ハイシーズンは言わずもがなだが、シーズン終盤でもここまで楽しめるゲレンデもなかなかない
ふたつの沢を一日遊び尽くせば、間違いなく脚はパンパン。この日は下山後にみんなで外湯を楽しみ疲れを癒したのちに、居酒屋からバーまでのラインもメイクするという大満足セッションとなった。野沢ローカルのイワクラが「野沢の夜はゲレンデと同じくバリエーション豊富!」とこぼしていたのだが、まさに朝から夜まで野沢温泉を楽しみ尽くした一日となった。これから訪れるハイシーズンでの豊富なパウダースノーは言わずもがな、シーズン最終盤までアフタースノーも含めて楽しめる、懐の深いゲレンデだ。
すでに全国各地からうれしい降雪の便りが届いており、好調なスタートを切っている24-25シーズン。とはいえ山に住む者でないかぎり、毎回パウダースノーの恩恵を受けることも難しいだろう。仮にトリップの日程によりパウダーが当てられなくても、午後の荒れたバーンでも、あなたのクリエイティビティ次第で楽しみ方は無限大に広がるのがフリースタイルスノーボーディングの素晴らしさだ。雪山に赴いた日には毎回、「今晩は美味い酒を飲むぞ!」という気概で滑ろうではないか。
photos: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)