BACKSIDE (バックサイド)

BACKSIDE (バックサイド)

https://backside.jp/backside-session13/
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FEATURE

降りすぎだったシーズンインを振り返る「BACKSIDE SESSION #13」@六日町八海山

2024.02.26

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2023年12月。スーパーエルニーニョだの暖冬だのと騒がれて突入した23-24シーズン、案の定、積雪に恵まれていない状況だった。スノーボードコミュニティ「BACKSIDE CREW」恒例イベント、いわゆる滑ろう会「BACKSIDE SESSION」の今シーズン第1弾は、11月下旬とオープン日が早い新潟・かぐらを予定していた。しかし、コンディションの善し悪しが不透明だったため、昨シーズンから続いていたブランドとのコラボセッションは一旦お休みとすることに。マイナスブランディングになってしまう可能性が否めなかったからだ。
 
開催日が近づいてくると、ほかのゲレンデのコンディションが芳しくないため、一極集中による混雑具合に対するネガティブな意見がFRESHFISH(コミュニティ有料会員)のLINEオープンチャットで飛び交っていた。そのため急遽、セッション開催日である12月23日がオープン日だった同・六日町八海山に開催地を変更。パウダー予報は大当たり。道中は大雪が降りしきる中、新潟特有の消雪パイプにより水浸しになった路面をクルマで走りながら、八海山に向かった。
 

ロープウェー乗り場に集合したCREW。今回はFRESHFISHから6名、STALEFISHから3名が参加してくれた

 
降雪状況に浮足立ちながら行列の前方に並び、81名乗りで山頂までわずか7分で運んでくれるロープウェーに乗り込み、当然ながら非圧雪のエキスパートコースを目指したのだが、まさかの展開に。パウダースノーを楽しむレベルをはるかに超えるほどの大量の雪が、コース内に積もっていたのだ。降雪情報サイト「Snow-Forecast」で振り返ってみると、標高1,170m付近はこのセッション前日まで3日間で1m近くの積雪量だった。サイドカントリーやバックカントリーでないと体験できないようなコンディションと、シーズン初めでボードコントロールがままならないメンバーもおり、一部のCREWは最大斜度35°、全長917mのエキスパートコースを結果として1時間かかっても下りてこれないハードな状況だった。
 
豪雪地帯・六日町であり、さすがはパウダーマウンテン・八海山。下りてこないCREWをゲレンデ脇で待ちながら、そうしたコンディションを楽しみたい上級者たちが第3ロマンスリフト乗り場で待っているだろう状況に頭を悩ませていると、バックパックを背負ったスノーボーダーが僕(編集長)の横を滑り去っていった。すると、20mほど先の斜度が切り替わり緩くなったポイントで逆エッジにより転倒。すぐさま滑り下りてバインディングを外すも、まだロープウェー1便目が滑り終わった直後だったこともあり、バーンはパウダースノーでバフバフのアリ地獄状態。しかも、例年よりも湿雪だったので雪が重く動きづらいなか、ツボ足で転倒した男性のもとにたどり着くと、ほとんど身動きがとれていなかった。なんとか救出するも、下りてこないCREWたちの身の安全がさらに心配になった。
 

腰以上のディープパウダーだったクリスマスイブ前日

 
しかし、なんとか全員が無事合流。これまではまとまってセッションすることがほとんどだったが、レベル差に応じてフィールドを分けることにした。パウダースノーを滑り続けるメンバーもいれば、別のエリアでセーフティに楽しむ人、レストハウスでまったりする者など思い想いの時間を過ごし、昼に一旦集合。雪は降り続いていたが、本記事を作ることも目的であるため、午後はシューティングを敢行することにした。予報に反してゴン降りは続き、撮影を担当していたアシスタントの西村は雪にピンを持っていかれながら四苦八苦していたが、なんとか撮影終了。結果、ケガ人が出ることもなく無事にセッションを終えたのだが、CREWたちは今回のセッションをどのように感じていたのだろう。
 

「しっかり天候を読んで、パウダーボードで行くべきだったと強く後悔しました。シーズン1本目でセッティングもめちゃくちゃで、ツール選びも大失敗。パウダースノーの貴重さとマテリアルの選定が大事なのだと、改めて痛感させられました」──佐藤潤一

 
 

「ほかのゲレンデが悪天候でダメなときには八海山がいいという認識でした。今回で3回目くらいですね。オープン初日からパウダーで当たり日でしたけど、胸まで埋まる雪というのは楽しい反面、危険だということがわかりました」──原本 真

 
 

「この日がシーズンインでしたけど、メンツも楽しかったし初日とは思えない滑りができてよかったです。八海山は毎シーズン、年越し新年ツアーを昔からの仲間とやっていて、外せないゲレンデのひとつですね」──星 貴浩

 
 

「年齢や社会的立場関係なく、一本滑ると仲良くなりますよね(笑)。今回のセッションでは石原さん(BURTON JAPANスタッフ)と多く滑っていましたけど、『心の目で見ると面ツルパウダーだ!』って言いながら一生懸命滑っていました。CREWってそんな空気感がありますよね」──三熊直樹

 
 

「エキスパートコースは最大斜度35°、平均斜度22°とパウダーを滑るならいい斜面ですが、いざドロップすると雪が深すぎて斜度が足りないくらいでした。コース中盤から斜度がなくなり絶対に転べないシチュエーションに緊張感が増しましたが、なんとか滑り下りてリグループしたときには、まるで無事帰還した兵士みたいな安堵感を覚えました」──坂井 賢

 
 

「あんな深いパウダーは初めてで、ドロップして数ターンで埋まってしまい、CREWの時間を奪ってしまい申し訳ないって埋まりながら思っていました(笑)。合流してCREWの顔を見たときはホッとしたし、みんなさすがにいろいろな斜面を滑り込んでいてすごいな、と改めてリスペクトでした」──根本 清

 
普段からオンラインでつながっているのはもちろん、CREW発足から3シーズン目を迎えて気心知れたFRESHFISHメンバーを中心とした午後のシューティングセッションは、パウダースノーは喰い荒らされていたし、撮影ポイントも少なかったが、やはり楽しかった。残パウを求めてスプレーを舞い上げるもよし、コースギャップでエアを楽しむもよしと、それぞれがレベルを問わず自由気ままにライディングを本気で楽しむ。滑りで語り合うと言ったらカッコつけすぎだが、こうした空気感はライディングセッションでしか味わえない。
 

CREWに見守られながら媒体名に恥じないようにバックサイド180をメランコリーしながら繰り出した(つもり)

 
こうした過酷なコンディションだったからではないが、アフタースノーにもうひとつコンテンツを用意していた。六日町に拠点を置くファクトリーブランド、VOLTAGE design(ボルテージデザイン)のラボラトリー見学をとりつけていたので、CREWとともに足を運んだ。
 
ディレクターである永井拓三氏が懇切丁寧にボードの製造工程を説明してくれるなど、CREWたちは初めての体験に目を輝かせていた。「近い将来、自分のボードを作りたいという目標ができた(佐藤)」「VOLTAGE designの広告を見たことがあったので、今回見学できたことは私にとってすごくサプライズでした(原本)」「もっと簡単に(ボードが)できていると思っていましたけど、一枚一枚あれほどまでに丁寧に作られていく工程を見ることができて感激しました(根本)」など、非常に充実した時間を過ごせたようだ。
 

VOLTAGE designディレクター、永井氏

 
 

永井氏の話に聞き入るCREWたち。近い将来、オリジナルボードを作るメンバーが現れることだろう

 
ディープすぎるパウダースノーの危険性をリアルに体感したのち、ボードの製造工程を見学できるという貴重な体験まで、本セッションは深すぎて濃すぎる中身となった。次回は1月末に行った「BACKSIDE SESSION #14 with DRAGON@白馬八方尾根」をお届けする。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)
special thanks: Muikamachi Hakkaisan Ski Area

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