BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

骨折するほど楽しかった大人の遠足「BACKSIDE SESSION #12」@カムイみさか

2023.08.23

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折れた小指が癒えないためタイピングは不自由だが、あれから1ヶ月が経ってしまったので筆を執ることにする。「スノーボード」って打つだけでも音引き(ー)が2箇所。けっこう右手小指って使うのね……。
 
さる7月22日、日本列島が猛暑日一歩手前の暑さに覆われる中、日本が誇る室内ハーフパイプはキンキンに冷えており、雪は緩むことなく素晴らしいシェイプだった。詳しくは後述するが、いい画を残したい願望が強い筆者(編集長・49歳)は年甲斐もなく、顔面流血&小指骨折をメイクする始末。言い換えれば、それほどまでに楽しくて、はしゃいでしまったということだ。
 
およそ1年ぶりの開催となった、山梨・カムイみさかでの「BACKSIDE SESSION」。スノーボードコミュニティ「BACKSIDE CREW」のいわゆる“滑ろう会”なのだが、2年目のオフシーズンに突入しており、同セッションは12回目を数えた。
 
今回のセッションへの参加者は気心知れたFRESHFISH(有料会員)メンバーがほとんどだったため、ゆったりとしたセッションになるのかと想像していたのだが、いい意味で裏切られることに。ただひとり、STALEFISH(無料会員)からの参加となった沢柳昌広さんが、すべてを持っていったのだ。何を隠そう、ハーフパイプでPSA ASIAのプロ資格を有していた元ライダーだ。
 
将来のオリンピアンを目指す有望なキッズスノーボーダーたちを尻目に、計測したわけではないが、この日のファーストタイムでのハイエアを叩き出していた。しかも、年齢公開の確認をとっていないのでぼやかすが、僕よりも年上だ。
 

MasahiroSawanayagi

半世紀生きてもなお、この高さでブッ飛べるなんて夢がある

 
本セッションに参加したクルーの最年長者が誰よりも飛んでいるわけだから、FRESHFISHメンバー全員がが強すぎる刺激を受けたことは間違いない。
 
昨年に引き続き参加の佐藤潤一(サトウ)さんは前半戦、ドリルでしっかりとパイプにアジャストさせていた。若かりし頃にパイプを滑り込んでいた経験があるだけに、後半戦に入るとエンジン全開。“メキっ”と音がするようなメソッド・トゥイークを決めた。
 

Sato

「みんな去年よりも上手くなっていたし、サワさんのような年上の方が飛んでいるのを見ると刺激になりました。みさかイベントは、もう一度やりたい!」──サトウ

 
冨内俊卓(トシ)さんと三熊直樹(クマ)さんはそれぞれ、ジャンプとジブを中心に若き時代を過ごしてきたバックグラウンドがあり、パイプとは無縁だったにもかかわらず2年連続の参加。この1年の間、みさかに通っていたわけではないはずだが、サトウが言うように上達を感じられた。
 

Toshi

「去年のセッションは負傷してしまい途中離脱だったので、今回はやりきりたいという思いで参加しました。ドリルを何度も繰り返してパイプに慣れてきたものの、ドロップインで落ちるようにコケたのは自分でも笑えました。今回のセッションでは、野上編集長のガッツと最後まで楽しむ姿勢に脱帽!」──トシ

 
 

Kuma

「相変わらずリップを抜けられませんでしたが、みんなでセッションすると楽しくて、結局最後まで頑張っていました。来年こそはリップを抜けるぞ!」──クマ

 
同じく連続参加してくれた、岩倉宏徳(イワクラ)さん、原本真(マコっちゃん)さん、星貴浩(ホッシー)さん。イワクラは僕と同学年なので、パイプを駆けていた世代。安定したライディングを魅せてくれた。ケガでシーズン後半を棒に振ってしまったマコっちゃんにとって復帰戦がアイシーなパイプという過酷な条件だったが、楽しみながら攻めていた。今回はFRESHFISHメンバーとして参加してくれたホッシーは勢い余り、カメラマンのZIZOに突っ込むシーンも。ヒヤっとするも無事でよかった。撮影に貪欲であり、何よりもライディングを楽しんでいる証である。
 

Iwakura

「前回のみさかセッションに続いて、2回目の参加でした。やっぱりハーフパイプは楽しいね」──イワクラ

 
 

MakotoHaramoto

「滑り始めは身体が言うことを聞かないし、板も15年以上前のものなので言うことを聞かない! もどかしい思いでした。サワさんは年上なのに、キレイなマックツイストに加えて安定した滑りをされていて。年齢は言い訳にできませんね」──マコっちゃん

 
 

Hossy

「(STALEFISHメンバーだった)去年とは違ったワクワク感の中での参加でしたが、なんと言ってもサワさん! いい目の保養になると同時に、自分もまだまだ頑張ろうって思わせてもらいました(笑)。後半にかけて調子を上げる佐藤さんのポテンシャルは、今後見習いたいですね」──ホッシー

 
根本清(ネモ)さんは3月に群馬・川場で行った「BACKSIDE SESSION #11」の初参加に続いて、4ヶ月ぶり2回目のエントリー。初みさかだったそうだがコメントにあるように、終始楽しんでいる姿が印象的だった。対して、みさかローカルの河尻崇高(ミツタカ)さんはBACKSIDE SESSIONに初参加。開催前からCREWのLINEオープンチャットにみさか情報を提供してくれるなど、当日もセッションをリードしてくれる頼れる存在だった。
 

Nemo

「この時期でもCREWのみんなと滑れたことがうれしかったですね。パイプはほとんど滑ってこなかったので心配でしたが、参加して本当によかっです。 野上さんをはじめ、CREWの熱くて渋い滑りに刺激をもらい、オフトレを頑張ろうっていう気になっています!」──ネモ

 
 

MitsutakaKawajiri

「みさか自体は行き慣れているんですが、いつもとは違う人と滑るのはいいですね。楽しかったです」──ミツタカ

 
 

Yuto

オヤジたちに負けじと新卒2年目のアシスタント・西村悠友は誰よりもテンションは高かったが、誰よりも雪面を這っていた

 
彼らのライディング写真と言葉から、本セッションの中身が伝わってきただろうか。
 
筆者はと言えば、基本的に負けず嫌いな性格なので、元PSAプロに対抗して頑張りすぎてケガしたわけではないが(笑)、冒頭で述べたようにいい画は残したい。中盤戦に差しかかると意気込みすぎたのか、ラインがズレてしまい逆エッジか何かで大転倒。激しすぎて具体的にどうなったのか定かではないが、カメラマンのZIZOいわく「大ちゃん(筆者)棒みたいだったよ」とのこと。顔面から流血してしまい、キッズ数名から「大丈夫ですか?」と心配されるくらい。右手の小指も突き指だと思っていたけど、めちゃくちゃ痛い。
 

DaisukeNogamiPortrait

年甲斐もなく……このザマ

 
30分ほど消毒したり休憩したりしながら、まだ画を残せていないと自分を鼓舞。「ライダーかよ」と自らツッコミを入れながらも、ラストランで結果的に折れていた右手をかざしながら、なんとかスイッチレイバックを決めましたとさ。
 

DaisukeNogami

昨年もそうだったが年に一度しか来ないレベルだと、4時間いっぱい使ってようやく感覚を取り戻す感じ。それも老い

 
これもすべて、CREWのみんなが見守っていてくれたからこそ。やはり、彼らとのセッションは最高だ。そして、真夏でも素晴らしいコンディションを提供してくれるカムイみさかは、スノーボーダーにとって最高の避暑地だった。年齢的に治りが遅いのはやむを得ないが、完治したら、またみさか、行こう。
 
セッション後は昨年に引き続き、場所を河口湖に移してCREWたちとBBQを楽しんだ。これぞ大人の遠足である。みさかセッションには来れなかったのだが、ギアの販売イベント「冬スポ!!」のアンバサダーを務めているFRESHFISHメンバーのコバちゃん(小林良和さん)がBBQのために、わざわざ長野から駆けつけてくれた。それにもテンションが上がってしまい、止まらないビールを片手に、反対の手が異常なまでに腫れ上がっていったことは言うまでもない(笑)

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: ZIZO=KAZU
special thanks: Kamui Misaka

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