FEATURE
表と裏で異なる表情を見せる磐梯山の奥深さを知った「BACKSIDE SESSION #10 with RIDE」
2023.03.25
正直なところ期待はしていなかったのだが、改めてスノーボードの自由さ、そして面白さを知る契機となることに。そんなセッションと化した「BACKSIDE SESSION #10 with RIDE」は、初の東北開催として福島・星野リゾート アルツ磐梯で始まった。
2月下旬、磐梯山にまとまった降雪はなく、パウダースノーは期待できないコンディション。当日の朝、福島を代表するスノーボーダーであり、RIDE SNOWBOARDS(ライド スノーボード)の松浦広樹をゲストライダーとして招いていたため合流した。アルツには何度も訪れたことがあり、そのうえでカリカリのアイシーなコンディションを想像していたのだが、「やわらかいところありますよ」と不安をあっさり一蹴してくれた。磐梯山を知り尽くした広樹の言葉だけに、がぜんモチベーションは上がった。
BACKSIDE CREWのメンバーとも合流し、リフトを乗り継いでコース上部に位置する霧氷エリアへ向かうことに。カービングターンを刻みながら足慣らしを終えると、ここからは広樹による案内のもとサイドカントリーへと足を伸ばした。
まずは広樹を先頭にナチュラルヒットを攻める。写真にあるインディやバックフリップを決めると、CREW一同拍手喝采。正確無比なライディングに、野太い声が林の中にこだました。
エアタイムを堪能した後、霧氷エリアのパウダーエリアへと導いてくれた広樹。先述したとおり降雪はなかったものの、パウダースノーは保存されていた。
そして、ここからが本セッションのクライマックス。磐梯山の南面に位置するアルツから、北斜面に広がる星野リゾート 猫魔へと滑ることに。アルツから猫魔へは約15分の雪上徒歩ルートで結ばれており、来シーズンには待望の連結リフトが誕生することで話題を集めている。
ここからはFRESHFISHメンバーのコメントとともに、本セッションの中身を探っていく。BACKSIDE SESSIONは、一般スノーボーダーにとってどのような価値があるのか? また、アルツと猫魔がつながることで発揮されるポテンシャルの高さについて、CREWはどう感じたのか?
猫魔サイドに薄っすらと残っていたパウダースノーは、北斜面ならではの極上の軽さ。広樹が誘ってくれたメローな斜面、そして、彼のラインに吸い込まれるようにして沢地形を堪能できた。パウダースノーは深ければいいわけではなく、雪質や斜度、地形といったバランスが非常に重要だという、新たなる価値観が植えつけられた貴重な一本だった。
猫魔サイドでマッシュを堪能した後、徒歩ルートでアルツサイドへ戻ると、壁地形を当て込み、パークを流しながら下山してセッションは終了。STALEFISHの小倉精太さん(スライダー1枚目)、とくしげたかしさん(同2枚目)もセッションを存分に楽しんでいる様子だった。小倉さんは本セッションの直後、FRESHFISHに加入してくれた。ウェルカム! また、広樹とともにアテンドしてくれた猪股剛さん(同3枚目)、テールガイドを務めてくれてありがとうございました。
セッション後には、RIDEからCREWへプレゼントが配られた。RIDEに搭乗するメンバーがふたりいたので、うれしい参加賞となったことだろう。
こうして10回目を数えたBACKSDIE SESSIONは終演。パウターン、マッシュ、沢地形、ナチュラルヒット、パークなど、フリースタイルスノーボーディングが凝縮された自由さを感じられるセッションだった。次回は3月21日の春分の日に制定されている「アクションスポーツの日」に開催された「BACKSIDE SESSION #11」@川場リゾートを、特別連載「FREESTYLE MOUNTAIN」の第5回としてお届けする。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)
special thanks: Hoshino Resort Alts Bandai