BACKSIDE (バックサイド)

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復活するはずだった“夏パーク”が消えた。ノルウェー・フォルゲフォンナ氷河で途絶えた再生への挑戦

2026.05.29

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消えたのは、ひとつのテレインパークの話ではない。

昨日、世界の氷河ゲレンデが縮小し続けている現実について伝えた(記事はこちら)。1980年代には40以上あったヨーロッパのサマーエリアは十数カ所まで減少し、かつて通年営業を掲げていた氷河ゲレンデも次々と営業期間を短縮している。

その流れを象徴するようなニュースが、ノルウェーから届いた。

アメリカのスノー情報メディア「SNOW BRAINS」によると、フォルゲフォンナ氷河で計画されていた2026年のサマーテレインパーク構想が中止となった。原因は高温ではなく、大雨と強風、そして急激な雪解けだった。

フォンナは長年、ヨーロッパを代表するサマーゲレンデのひとつとして知られてきた。1980年代後半からテリエ・ハーカンセンらが足繁く通うようになり、1995年にサマーキャンプが誕生。各国のナショナルチームがトレーニングを重ねてきた場所だ。2010年にはトースタイン・ホーグモがフロントサイド・トリプルコーク1440を決めるなど、フリースタイルスノーボーディングの進化と切り離せない場所でもある。BACKSIDEでも、フォンナで撮影されたムービーを数多く取り上げてきた(関連記事はこちら)。

しかし近年は経営難や施設老朽化が進み、昨年には氷河へアクセスするリフトインフラも崩壊(記事はこちら)。撤去が完了し、従来型のサマーゲレンデとしては事実上その役目を終えていた。

それでも、この場所を終わらせたくない人たちがいた。

元運営責任者のスヴェイン・オラフ・エスペランドは「Folgefonna Activity Park」という新たな構想を立ち上げる。後退を続ける氷河そのものではなく、標高約1,100m付近に雪を集め、小規模なテレインパークとして再生を目指した。150m×100mのパークにコンベアリフトを設置し、将来的には初心者向けエリアやチェアリフトによる拡張まで視野に入れていたという。

消えたのは、パーク営業ではない。「夏でも滑れる場所を取り戻したい」という挑戦そのものだ。

営業開始を目前にして、大雨と強風が状況を一変させた。雪解けは一気に進み、安全にパークを造成・維持できるだけの雪量を確保できなくなった。

気候変動というと、どうしても気温上昇へ目が向きがちだ。しかし現場で起きていたのは、それだけではない。強風、豪雨、急激な融雪。気象そのものが不安定化することで、雪山の運営はより難しくなっている。

失われた環境を取り戻そうとする努力でさえ、以前と同じようには成立しなくなり始めている。リフトを撤去したあとも、人々は雪を集め、新たな形でサマーパークを復活させようとしていた。その挑戦が営業開始前に頓挫したことは、雪山を取り巻く環境が想像以上の速さで変化していることを物語っている。

“夏でも滑れる”を守ろうとする人たちはいる。しかし、その前提となる雪そのものが、かつてのようには残ってくれなくなっているのだ。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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