COLUMN
世界中の氷河ゲレンデが消えていく。気候変動が奪い始めた「夏の雪」
2026.05.28
降雪予報サイトとして多くのスノーボーダーに知られる「snow-forecast.com」が、世界のサマーゲレンデの縮小について詳細なレポートを公開した。そこに並んでいたのは、”夏でも滑れる場所”が年々失われている現実だった。
2026年は、夏季営業を行う屋外エリアの数が過去最低を更新する見込みだという。営業するエリア自体が減り、営業期間も年々短縮。この傾向はここ数十年、ほぼ毎年更新され続けている。
ヨーロッパでは1980年代に40以上あったサマーゲレンデが、現在は十数カ所まで減少した。かつて年間365日営業を掲げていたフランス・ティーニュは、現在6〜7月のわずか4週間のみ。同じく通年営業を目指していたオーストリア・ヒンタートゥックスも真夏の営業を止め、「オーストリア最長シーズン」という表現へ変化した。同じくオーストリアのダッハシュタイン氷河はリフトそのものを撤去している。現在も通年営業を目指しているのは事実上、スイス・ツェルマットのみだ。
北米でも状況は変わらない。カナダのウィスラー・ブラッコムはサマー営業を終了。アメリカ・オレゴン州マウントフッドのティンバーラインも、かつては9月まで営業していたが、近年は8月中旬終了が常態化しつつある。今年は7月終了の可能性まで示唆されている。
背景にあるのは、もちろん気候変動だ。氷河が縮小し、冬に積もった雪が夏まで持たなくなっている。ノルウェーのフォルゲフォンナでは氷河後退によってリフト入口から氷河まで300m以上離れ、間に湖まで生まれたという。
かつて日本のスノーボーダーたちは、オフシーズンになると海外の氷河エリアへ向かった。サマーキャンプ、撮影、トレーニング。夏でも雪上に立てることが、次の冬へつながっていた時代があった。その”夏雪”が、世界規模で消え始めている。
いっぽうで、屋内ゲレンデが急増している。世界30カ国以上に150施設超。中国だけで60施設以上が稼働し、スキーヤーの約20%が屋内で練習しているというデータまで出ている。日本国内でも人工芝&エアバッグ施設やリアルスノーボードシミュレーターまで登場し始めた。
雪が溶けていく。そのスピードに、リフトの建設も、リゾートのビジネスモデルも、追いつかなくなっている。
世界は「雪を追いかける時代」から、「雪を再現する時代」へ入り始めた。もちろん、雪山を代替できるものではない。風も、地形も、雪の匂いもない。それでも、”夏でも滑れる”が当たり前ではなくなっている今、スノーボーダーたちは雪がない時間との付き合い方を、改めて問われている。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
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