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村瀬心椛はなぜ強いのか。立山の巨大雪庇で見せた、コンテスト以上に光り輝く衝撃ジャンプ
2026.05.12
2025年11月、女性スノーボーダー史上初となるBSトリプルコーク1620を成功させ、今年2月のミラノ・コルティナ五輪ではビッグエアで金メダル、スロープスタイルで銅メダル獲得。村瀬心椛がコンテストシーンの最前線にいることは、もはや説明する必要がない。
その心椛が、富山・立山の巨大雪庇でFS360インディを放った映像がSNSで話題を集めている。パークのようにキックが設置されているわけではない。バックカントリーを主戦場とする女性ライダーを含めても、世界トップクラスの一撃だ。
現在のコンペティションシーンは、季節を問わず一年中トリックを積み重ねなければ、世界トップレベルをキープできない時代に入っている。頂点に立ち続けるには、すべてを競技へ最適化する必要がある。
だからこそ、心椛の存在が際立つ。
彼女は國母和宏や工藤洸平らNOMADIK(ノマディック)クルーの先輩ライダーとともにバックカントリーへ入り、自然地形での撮影にも身を置いている。本人もパウダーライディングで得られる滑走感覚や不整地での対応力が、アプローチ、空中姿勢、リカバリー能力につながると語っている。
この感覚は、ベテランスノーボーダーなら腑に落ちるはずだ。ターン、ラインどり、地形の読み方。総合的な滑走力が、トリックの安定感や表現力へ返ってくる。
ただ、それを世界最高峰の競技レベルと両立させることは、口で言うほど簡単ではない。コンテストの頂点に立ちながら、バックカントリーやストリートにも本気で向き合えるライダーは、世界を見渡してもほとんどいない。
立山でのあのFS360インディには、そういう意味がある。
心椛はここから4年間、スロープスタイルの悲願であるオリンピック金メダルを目指していく。同時に、バックカントリーでも滑走力を磨き続けるだろう。
その先に見えているのは、オリンピックだけではない。フリースタイルスノーボーディングのもうひとつの頂点、「NATURAL SELECTION TOUR」の景色も、すでにその視界に入り始めている。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)




