BACKSIDE (バックサイド)

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ハーフパイプを、もう一度みんなの遊び場へ。「Fun Pipe」が取り戻そうとしている新しい可能性

2026.05.11

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ハーフパイプは、いつから限られた人だけの場所になったのだろうか。
国際大会の基準となっている22フィート(約6.7m)のハーフパイプは、競技レベルの進化を象徴している。そこから繰り出されるエアとスピンは圧巻で、もはや別次元だ。それは間違いない。
ただ、その進化と引き換えに、多くのスノーボーダーにとってハーフパイプは“遊ぶ場所”ではなくなった。
90年代は違った。3~3.5mほどのミニパイプが全国に点在し、そこでターンを磨き、整っていないリップでタイミングを合わせながらテイクオフを覚え、ラインどりを学んだ。ハーフパイプにはスノーボードのすべてが詰まっている──そんな言葉が当たり前のように語られていた時代だ。
だからこそ、「Fun Pipe」の試みは引っかかるものがある。
5月1日から25日まで、オーストリア・ヒンタートゥクスの「Betterpark Hintertux」に登場したこのプロジェクトが掲げるのは、もっと自由で、もっと遊びやすいハーフパイプだ。壁の高さは3.5m、長さ120m。より丸みを持たせたトランジション。彼らはこのパイプを「Blue Run of Halfpipes(ハーフパイプの初級コース)」と表現している。
単に小さくしたわけではない。
高さではなくスタイルを競う「One Hit Session」。家族や仲間で参加する「Family Award」や「Friends Award」。競技性よりも、セッションの感覚を優先している。ファミリー、友人、ベテラン、若い世代。世代を超えて同じパイプを共有し、自由にラインを描く。
22フィート超のスーパーパイプを否定する話ではない。競技としてのハーフパイプがスノーボードの進化を牽引してきたことは確かだ。ただ、その過程で失われたものもある。
Fun Pipeが取り戻そうとしているのは、あの頃のパイプにあった、誰でも入っていけるセッションの空気なのかもしれない。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

 

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