FEATURE
パウダーハントと家族サービスは両立できるのか? ジェットスターで叶える“妥協なき”ファミリースノーボーディング・ジャーニー
2026.03.10
2026年1月、筆者は国内外の雪山を飛び回っていた。ミラノ・コルティナ五輪という巨大なうねりを翌月に控えた、いわば嵐の前の静けさ。その谷間に、家族サービスと仕事をクロスオーバーさせたトリップを敢行することに決めた。
行き先は、ジェットスターが2023年から就航をスタートさせた旭川。そこを起点に北の大地を縦断し札幌へ。帰路は新千歳からジェットスターのハブである成田へ舞い戻るという行程だ。
出発直前、札幌は記録的大雪に見舞われ、新千歳便の運航は不透明な状況だった。しかし、旭川へ向かう翼は揺るぎない。5歳のツインガールズと妻を含めた4人で、いざ北海道へ。
家族で初めての空へ。成田から始まる北海道トリップ
1月下旬、成田空港第3ターミナル。ジェットスターが首都圏の拠点とするこの場所から、僕たちの旅は始まった。5歳になる娘たちにとっては、これが初めての空の旅である。飛行機への搭乗をテーマにした絵本で入念にイメージトレーニングを重ねていたこともあり、空港へ向かう車内から彼女たちのボルテージは最高潮に達していた。
第3ターミナル最寄りのP2駐車場に車を駐め、ボードバッグを転がしながらターミナルへ。子連れかつ大きな荷物があったため、ジェットスターのカウンターまでは徒歩でおよそ15分。ここで取材班と合流した。チェックイン、バゲージタグ装着、荷物の預け入れなど、そのすべての工程に、娘たちは目を輝かせながら興味津々だった。
1月は雪山遠征が続き、正直なところ疲労は溜まっていた。しかし、彼女たちの無邪気な反応を見ていると、不思議なほどその疲れは吹き飛んでいった。

バゲージタグが出てくるだけでテンションマックス

自分たちの荷物がどこへ運ばれるのか不安そうに見つめていた

初めて乗る飛行機を眺めながら、どんなことを想っていたのか
旭川までのフライトは約1時間50分。1週間ほど前、「LAAX OPEN」取材のため訪れていたスイスから帰国したばかりだったのだが、その際に利用した国際線のシートと比較すると、ジェットスターの座席は驚くほど広く感じられた。隣席との距離感がほとんどない状態で14時間を過ごしていた身としては、この快適さは際立っていた。
もっとも、機内でゆっくり休めたかといえば話は別だ。娘たちのテンションは終始“爆上がり”。少しでも眠ろうと目論んでいたが、そうもいかず、気づけばあっという間に旭川へ着陸していた。その際の衝撃にも物怖じしない娘たちを見て、思わず感心してしまう親バカぶり(笑)

初のフライトは快適だったみたい
レンタカーをピックアップし、進路を南へとる。目指すは新富良野プリンスホテル。到着する頃には、すでに陽は傾いていた。チェックインを早々と済ませ、ホテル中庭に設えられた「TAKIBI TENT」へと足を運ぶ。屋外のテント空間で酒と炙り焼きのつまみを楽しめるスポットだ。
雪がちらつくコンディションだったが、実用新案だという換気システムのおかげで、テント内は暖かく、とても心地よい。器用におつまみを炙る娘たちの横で、父親である僕はといえば、勢い余って口内を軽くヤケドする始末……(笑)

ホテル中庭にありながら、非日常な体験ができる

5歳の子供たちでも安全に楽しむことができた
北海道の旬が凝縮されたビュッフェで空腹を満たしたのちは、ホテルから目鼻の先にある「ニングルテラス」へ。森の静寂の中に15棟のログハウスが連なる光景は、ライトアップによってより幻想的に映った。

冷えた空気の中、家族で散策する有意義な時間を過ごすことができた
部屋に戻り、事前に手配していたBURTON(バートン)のオンラインレンタルのギアをチェック。明日、5歳の娘たちは記念すべきSTEP ONデビューを迎える。

娘たちが借りた「スノーボードAセット」は15日間で16,500円、30日間で27,500円
明日は富良野でライディング。この地で滑るのは3シーズンぶりだ。パウダーがリセットされるような降雪こそなかったが、富良野ならではの極上のドライスノーが待っているはず。期待を胸に、僕は眠りについた。
父は滑り、娘は挑戦。雪山で交差する家族時間
トリップ2日目。家族がまだベッドの中にいる早朝、僕はひとりで朝食を済ませた。娘たちがライディングの準備を整えるまでの間、許された時間は1時間一本勝負。限られた自由時間を堪能するべく、ライディングへ向かった。
富良野は「富良野ZONE」と「北の峰ZONE」というふたつのエリアで構成されている。拠点となる富良野ZONEのトップは標高1,074m。富良野ロープウェーに乗り込み、さらにダウンヒル第3ロマンスリフトを乗り継ぎ、ピークを目指した。
時計の針を考えれば、ノートラックのパウダーハントは現実的ではない。狙いを切り替え、グルーミングバーンで足慣らしのカービングターンを刻む。最大斜度31°の「E2コース」はキレイに整備されており、思いどおりのラインを描くことができた。コース脇の起伏を拾えば、ちょっとした地形遊びも楽しめる。

富良野盆地を眼下に気持ちよくライディング

スイッチスタンスのレイバックで当て込む
ジェットスターのファミリーコンテンツとしての取材が主目的ではあるが、BACKSIDEの記事用として、やはりパウダーライディングのカットなしに山を下りるわけにはいかない。「A1コース」を流しながら視線を走らせていると、ライダーズレフト側へ落ち込む地形が目に入る。大きくヒールサイドで巻き込まなければアプローチできないラインだったため、そこにはいまだパウダーが残されているように見えた。
やや強引なラインどりではあったが、内陸性気候と盆地特有の冷え込みが生み出す、ふわふわのドライパウダースノーをわずかながら味わうことができた。

ほんの一瞬ではあったが、富良野の真髄に触れた瞬間
ホテル前へ戻ると、娘たちはすでに“滑る気満々”で待ち構えていた。「おとう、おそい!」と軽く怒られながら、急いで準備に取りかかる。
娘たちにとって3度目となるスノーボードへの挑戦。リフト乗車はまだ先の話だが、安全なコースサイドをハイクアップし、練習することにした。

なかなか様になってる娘たち(親バカ)
ターンこそまだできないが、一生懸命にライディングと向き合う娘たち。赤ちゃんの頃から雪山へ連れてきていたこともあり、実際にボードで滑る姿を見ると感慨深いものがある。仕事柄、雪を嫌いになってほしくない。だからこそ、子供たちとオンスノーで戯れる時間も大切にしていきたいと思う。

「スノーボード楽しい!」と言われると、うれしくてうれしくて(涙)
雪遊びも含めて富良野を堪能したのち、富良野駅近くの「くまげら」で少し遅めのランチ。名作ドラマのロケ地としても知られ、この地を訪れたなら外せない名店である。
ほぼレア状態のローストビーフ丼に、わさび醤油をかけ回す。まるで鉄火丼のような感覚でほおばる一杯だ。チーズの副産物であるホエーを隠し味にしたオムカレーに、娘たちは目を丸くして食らいついていた。

石が積み上げられた内装の店内は雰囲気もよかった
腹を満たし、旭川へと車を走らせること1時間半。チェックイン後の夜、僕らが向かったのは「旭川成吉思汗 大黒屋 旭川五丁目店」だ。かつて佐藤秀平や吉田啓介らとも囲んだ、旭川ローカル御用達の名店。厚切りながら驚くほど柔らかい生ラムを焼きながら、家族の団らんは深まっていく。

ローカルはもちろん全国各地から、この味を求めてやってくる。旭川駅から徒歩10分の超人気店

旭川駅前のホテルまでの帰り道でパチリ
スノーボードメディアの取材にしては、滑り以上に食の比重が大きい(笑)。だが、これもまた旅の醍醐味だ。翌朝の札幌移動に備え、子供たちが夢の中に落ちた後、僕は取材クルーと旭川の行きつけのバーで深夜まで杯を重ねていたことは、ここだけの話ということで。
父の滑りは娘の記憶に残るのか。テイネで迎えた家族たちの終章
トリップ3日目。当初の計画では、旭川からJR北海道の特急に揺られ、車内でスマートに仕事をこなしながら札幌入りするはずだった。しかし、冒頭で触れたとおり、札幌を襲った災害級の豪雪により線路脇の除雪が追いつかず、ダイヤは大幅に乱れていた。
定刻を大きく過ぎて札幌駅に到着。レンタカーをピックアップし、サッポロテイネへと急ぐも、到着したのは正午を回った頃だった。「また食い物かよ!」というそんなツッコミが聞こえてきそうだが(笑)、まずはハイランドスキーセンター4階のレストラン「スカディ」で、ランチを摂ることにした。

ゲレ食のレベルを超える美味だった。「いくらとサーモンクリームパスタ(2,100円)」と「いくらとサーモン親子飯(3,600円)」を注文
サッポロテイネを訪れるのは4シーズンぶり。標高1,023m、札幌市街から車でわずか約40分という距離にありながら、多くのプロスノーボーダーたちがストーム明けを狙って集結するほどのポテンシャルを秘めた雪山だ。
山頂側の「ハイランドゾーン」しか滑ったことがなかったが、今回はファミリー向けコンテンツのモデルとして「オリンピアゾーン」へと山を下る。そこには、親子で遊び尽くせる「テイネスノーランド」が展開されているからだ。
スケジュールは押していたが、言うまでもなく娘たちの遊びに対するモチベーションは高いまま。増設されたスノーエスカレーターに乗り込み、森の間を縫うように駆け抜けるスノーチュービングを体験。そのスリリングさに、娘たちの歓声がこだまする。ソリ遊びから雪遊びまで、親子が心ゆくまで「雪」を介してつながれる、贅沢な空間がそこにあった。

彼女たちの表情がすべてを物語っている

快適に上部へと移動できるスノーエスカレーター
娘たちが雪と戯れる傍ら、僕は富良野と同様に1時間という猶予をもらい、“端パウ探し”へ向かった。オリンピアゾーンという名のとおり、この地は札幌オリンピックの開催地である。パウダーが残っている保証はまったくなかったが、とにかく聖火台を目指すことにした。
初心者に最適な斜面を有する白樺第3リフトに乗車。果たしてこの選択が正解なのか――そんな不安を抱えながらリフトを降りると、眼下には石狩湾の絶景が広がっていた。さらに、最大斜度38°の上級コースがあるではないか。この素晴らしい景観のなかを滑り下りるコース名はずばり、「聖火台オーシャンダイブ」。時計の針は14時を回っていたが、ここでもほんのわずか、端パウを拾うことができた。

さすがは北海道、この時間でもドライパウダーは保存されていた
最後は白樺第2リフトに乗り継ぎ、ボトムで待つ家族のもとへ一気に滑り下りる。5歳の娘たちの記憶に少しでも残ってほしいと願いながら、本トリップのラストランをリバースターンで飾った。

このトリップ中、娘たちに初めてライディングを披露
モデルという大役を果たした娘たちのご褒美として、札幌市内へ戻る途中「白い恋人パーク」に立ち寄る。そして夕食は、いくら好きな彼女たちために、すすきのの名店「海味 はちきょう 本店」へ。

自分たちだけのオリジナル「白い恋人」を作り上げるその瞳は、板を履いているときよりも輝きを増していた

工場の製造ラインを模した体験コーナーで、レバーを叩いてチョコレートを流し込むゲームに親子で熱中した

豪快なかけ声とともにいくらを盛りつける名物パフォーマンスで知られる「元祖つっこ飯」を注文
ジェットスターを翼に選ぶ。その選択がもたらすのは、単なる移動のコストカットではない。数ヶ月前の早期予約を活用して浮いた予算が、北の大地で味わう美食、あるいは子供たちに最高の体験をプレゼントするための資金となるのだ。
ライディングの熱量も、家族サービスの充実も、どちらも妥協したくない。そんな欲張りなスノーボーダーにとって、ジェットスターという選択肢は武器になるはずだ。
JAPOWと美食、そして家族の笑顔。次なる冬の計画に、ジェットスターで行く北海道というシナリオを書き加えてみてはいかがだろうか。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Andy
special thanks: ROXY




