BACKSIDE (バックサイド)

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MOVIE

JPウォーカーの軌跡を辿る『In Steel We Trust』。ストリート文化やダブルコークを創り上げた男

2025.12.23

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THIRTYTWO(サーティーツー)が、ブランド創立30周年の節目に公開した映像作品『In Steel We Trust』。本作に凝縮されているのは、ストリートスノーボーディングという文化の成り立ちと、その核心である。
主役は、JPウォーカーだ。
90年代後半からストリートスノーボーディングを切り拓いてきた象徴的存在であり、“ジビングのゴッドファーザー”や“The Don”と称される理由は、そのキャリアを辿れば明らかだ。バックカントリーで生み出されたスノーボード界初のダブルコーク、STEPCHILD(ステップチャイルド)作『This Video Sucks』での史上初オールスイッチパート、米SNOWBOARDER誌「TOP 10 RIDERS」への6度の選出。いずれも、時代を前に進めた瞬間だった。
本作が単なるハイライト集に終わらないのは、編集を手がけたのが、かのMACK DAWG PRODUCTIONSだからである。MACK DAWGにとってJPウォーカーはトリックの革新者というよりも、スノーボードを都市文化として成立させた存在だ。映像は派手な演出を排し、レール、階段、壁と向き合うJPの姿を淡々と重ねていく。その積み重ねが、ストリートスノーボーディングの美学を雄弁に物語っている。
『In Steel We Trust』というタイトルが示す“Steel”とは、単なるレール素材ではない。それは、都市と雪、危険と美、自由と規律の狭間で滑り続けてきた信念そのものだ。トレンドが移り変わり、表現が洗練されていくなかでも、JPの滑りは常に本質を外さなかった。
この映像は「現在地」を示すものではない。むしろ、ストリートスノーボーディングがどこから来て、何を信じてきたのかを思い出させるための作品だ。
4分20秒という時間の中に刻まれたのは、JPが“鋼”を信じて滑り続けてきた、確かな歴史である。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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