BACKSIDE (バックサイド)

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ダブルマック、スイッチマック──唯一無二のルーティンが結実。山田琉聖がW杯初優勝、戸塚優斗2位で日本人ワンツーフィニッシュ

2025.12.20

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米コロラド州カッパーマウンテンで行われたFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)ハーフパイプ第2戦で、山田琉聖の“独創性”を貫いたルーティンが、ついに結果として結実した。94.5ポイントという高得点を叩き出し、W杯初優勝。悲願だった初勝利を、文句なしの内容でつかみとった。
 
「もともと大会が嫌いだったので、どうしたら好きになれるかを考えたときに、みんな同じ技の構成で滑っているところが面白くない理由だ、ということに気づいたんです。そこで、自分が好きなマックツイストを入れたルーティンで独創的な滑りをすることで、現状を変えたいと思いました」
 
2024年10月、弊ウェブマガジンのインタビューでそう語っていた琉聖。その言葉どおりの滑りが、ついに世界最高峰の舞台を制した。
 
今大会は、ひとり2本のランを行いベストポイントで順位を争うフォーマット。琉聖は2本目、
ダブルマックツイスト1080ジャパン→スイッチマックツイスト・ジャパン→CABダブルコーク1440インディ→FSダブルコーク1440インディ→スイッチ・アーリーウープBSダブルロデオ900ステイルフィッシュという、構成や流れ、個性すべてが際立つルーティンをクリーンに成功させた。マックツイストという自分の好きな技を軸に、高難度な連続ダブルコークやアーリーウープを論理的につなぐ。その完成度と説得力が94.5ポイントというハイスコアに直結し、トップに躍り出た。

1本目で暫定トップにつけていた戸塚優斗は2本目、ファーストヒットからスイッチ・アーリーウープBSダブルロデオ900という攻めた選択。そこからスイッチBSダブルコーク1080、BSダブルコーク1260とつなぎ、そこからFSトリプルコーク1440を放ったが、惜しくも着地が決まらなかった。
 
重力の流れに逆らい、山側へ回転するアーリーウープは、クリーンに決まっても失速しやすい難易度の高い技だ。だからこそ多くのライダーがルーティン後半に配置するが、優斗はそれをファーストヒット、しかもスイッチ・トゥ・スイッチで投入。さらにトリプルコークまでつなげる構成は驚嘆させられる内容だった。
 
3位には、ケガから復帰したヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)。BSアーリーウープ360テールから入り、ラストをFS1440テールで締めるルーティンを披露し、存在感を示した。
 
女子は、チェ・カオン(韓国)が他を寄せつけない強さを見せた。スイッチBS900ミュート→CAB720インディ→FS900メロン→BS900ステイルフィッシュ→FS720インディという完成度の高いルーティンをまとめ、94.5ポイント。文句なしの優勝である。

2位には冨田せなが入った。FS900メロン→BS540ミュート→FS720インディ→CAB720インディ→FS1080テールという構成で88.75ポイントを獲得。ラストヒットのFS1080は回転後半がドライブする形となり、2本目で修正を試みたが、惜しくも転倒となった。
 
平野流佳はCABトリプルコーク、重野秀一郎はFSトリプルコーク、工藤璃星はFS1080を繰り出すも着地を合わせることができず、表彰台には届かなかった。予選2位でファイナルに進出していた女王クロエ・キムはDNS。

 
また、小野光希は公式練習中に頭部を強打して欠場。前回大会優勝の平野歩夢は出場を見合わせた。
 
男子結果
1位 山田琉聖(日本)
2位 戸塚優斗(日本)
3位 ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)
4位 重野秀一郎(日本)
8位 平野流佳(日本)
15位 平野海祝(日本)
37位 村上広之輔(日本)
全結果はこちら
 
女子結果
1位 チェ・カオン(韓国)
2位 冨田せな(日本)
3位 ベア・キム(アメリカ)
7位 工藤璃星(日本)
10位 大橋空奈(日本)
11位 冨田るき(日本)
全結果はこちら

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photo: FIS SNOWBOARDING

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