BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

「まるで着けている感じがしない」──フィット感抜群のAnon M6と、軽量で深くかぶれるRODAN。竹内悠貴のギア哲学

2025.12.10

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ハーフパイプやスロープスタイルでフリースタイルスキルを磨き、その後バックカントリーへ。そんなキャリアを歩むスノーボーダーは多いが、本記事の主人公・竹内悠貴はその真逆をいく。
 
幼少期から、日本バックカントリー界の草分けとして知られる父・竹内正則とともにパウダースノーを滑り込んできた。現在は、父が運営する「光ヶ原キャットツアー」で高校生の頃からガイドを務め、フリーライドの国際大会「FREERIDE WORLD TOUR」でも存在感を示す“バックカントリーの申し子”である。
 
天候が急変しやすい雪山の現場に、ほぼ毎日のように身を置く。その視界を支えるのがAnon(アノン)のゴーグルであり、頭部を守るのが同じくAnonのヘルメットだ。21歳にして豊富な経験値を持つ悠貴に、そのギア選びと哲学を聞いた。

顔に“ピタッ”とフィットするM6を、バックカントリーの視界に選んだ理由

プロスノーボーダーとしても、光ヶ原キャットツアーのガイドとしても、悠貴の主戦場はバックカントリーである。スノーモービルの運転技術は折り紙付きで、キャットツアーのオペレーションから新潟・関温泉でのリフトアクセス、時にはハイクアップまで、あらゆるシチュエーションでパウダーを追いかけている。
 
そんな悠貴が、ゴーグルに求めるもっとも大きな条件は「フィット感」だ。
 
「M4が最上位モデルなんですけど、僕はM6を使っています。決定的な違いはフレームの柔らかさ。M6は“ぐにゃぐにゃ”曲げられるくらい柔らかいので、顔にものすごくフィットするんです。M4よりフレームが小さくて、顔に“ピタッ”とついてくれる感じが気に入っています。フレームは小さいですけど、視界が狭いと感じることは一切ありません」
 

小ぶりながら広い視野を提供するM6

 
Anonラインナップのなかで、M4はフレームが大きく、構造もしっかりしたハイエンドモデルという位置づけである。いっぽうM6は、かつてのM3の系譜にある、ひと回りコンパクトで柔らかなフレームを持つモデルだ。
 
「今はM6がメインで、気分やレンズの使い分けでM4も使う感じです。大会や撮影のときは、フィット感を優先してほぼM6一択ですね」
 

クリアな視界と着け心地のよさが、撮影への集中力を高める

 
悠貴が「まるで着けている感じがしない」と評するM6 LOW BRIDGE FIT GOGGLE。LOW BRIDGE FIT(ローブリッジフィット)は、ノーズポケット部にフェイスフォームを追加することでノーズブリッジ(鼻にかかる部分)を低く設定し、アジア人に多い顔立ちにも隙間なくフィットさせる設計である。
 
「人によって違いはあると思いますが、僕の場合、レンズが曇ることはほとんどありません」
 
日本で展開されているAnonゴーグルの多くはローブリッジフィット仕様だが、M6特有の柔らかな小型フレームが、さらに高いフィット感を生み出していると考えられる。ハードなライディング中はもちろん、キャットのキャビンやゴンドラでの温度変化、光ヶ原のような豪雪エリアでの高低差移動など、条件が刻々と変わる状況でも曇りづらい理由はそこにある。


マグネットで“リセット”できる視界を、PERCEIVEレンズがさらに高める

AnonをAnonたらしめているのが、フレームとレンズ周囲に強力なマグネット(レアアースN52)を配置し、瞬時のレンズ交換を可能にするMAGNA-TECHレンズシステムである。悠貴は、その利点をこう語る。
 
「MAGNA-TECHは最強ですね。レンズを瞬時に、片手でも簡単に着脱できます。曇りづらいことに加えて、曇りを防ぐことも簡単なんです」
 

グローブをした状態でも片手で簡単に脱着できる

 
ゴーグルに襲いかかるあらゆるトラブルに対して、悠貴はMAGNA-TECHによってルーティン化している。
 
「大雪の日にリフトに乗っているとゴーグルに雪が積もるじゃないですか。そういうときはレンズを外してポケットに入れて、リフトから降りる直前に装着する。一連の動作が一瞬でできるので、曇りを防ぐための動きにストレスを感じません」
 
「レンズが凍ったときも、すぐ外してスペアレンズに交換して滑り続けられます。撮影中に雪が入ったときも、拭いてまた凍る前に“もう変えちゃえばいいや”って感覚でいられる。視界不良のストレスなくリセットできるのが大きいですね」
 
普段からスペアレンズを2枚程度持ち歩くのが悠貴のスタイルだ。Anonのゴーグルには標準でスペアレンズが1枚付属し、マグネット対応のフェイスマスクも付いてくる。
 
「ゴーグルをひとつ買えば、晴れの日用と曇天・雪用の2枚が手に入る。一般のスノーボーダーにとっても、コストパフォーマンスはかなり高いと思います」
 
悠貴は物心ついた頃からAnonのゴーグルを使ってきたため、他ブランドと比較をすることは難しい。それでも「見えづらいと感じたことはない」と言い切る。
 
「ほかのゴーグルを使っていないので客観的な比較はできないんですけど、“この状況だと何も見えない”と感じたことはないですね。ガスっていても、樹林帯でも、ちゃんと見えています」
 

フロントサイド360インディを繰り出し、M6越しにランディングをしっかりと確認する

 
20-21シーズンから採用されているPERCEIVEレンズは、周囲の色味を忠実に再現しながら奥行き感を高め、雪面の凹凸や地形の変化を認識しやすくする設計となっている。さらに、すべてのPERCEIVEレンズにICTアンチフォグコーティングを施すことで、レンズ内側の湿気を効率的に逃がし、クリアな視界を長時間キープする。
 
「フラットライトで見えづらいから滑れない、ということがない。どんな状況でも“不満がない視界”が維持されている、という感覚ですね」
 
フィット感、曇りにくさ、レンズ交換の速さ、そして視界の安定感。こうした要素がすべて「バックカントリーでのリアルな使い勝手」に直結しているのだ。


軽くて深くかぶれるRODAN。“チャージ”を引き出すヘルメット

悠貴にとって、ヘルメットはキャリアの初期から日常的な存在だった。
 
「日本ではヘルメットをかぶることがカッコ悪いみたいな風潮がありますけど、僕はそうは思わないですね。自分がどれだけ上手くなっても、“絶対に転ばない”なんてことはないので」
 
そんな悠貴がチョイスするのは、軽量モデル「RODAN」である。
 
「僕はRODANをメインに使っていますね。“絶対的な軽さ”が理由です。ビーニーの上からかぶるので耳当てと内側のパッドも一部外して、さらに軽量化しています」
 
軽さだけが理由ではない。悠貴がRODANを推す最大のポイントは、後頭部下部に配置されたBOAフィットシステムの位置にある。
 
「RODANはBOAが首に近い位置に付いているので、ヘルメットを“深くかぶれる”んです。ここでしっかり締めると、頭全体がホールドされるようなフィット感と安心感が得られます。OSLOもかぶりますが、どうしても浅く感じてしまう。だから撮影やフリーライドの大会ではRODANを選びます」
 
BOAがヘルメットの低い位置にあることで、後頭部までしっかり包み込まれるようなフィット感が生まれ、滑走中にヘルメットがズレるリスクも抑えられる。軽量であることと相まって、頭部のブレが少ないのも利点だ。
 
RODANには非搭載だが、Anonのヘルメットラインナップには、WaveCelを搭載したMERAKIやOSLOも存在する。WaveCelは内部に配置された多孔構造が衝撃を吸収し、サイクリング時の頭部損傷リスクを大幅に軽減することが実証されているテクノロジーだ。
 
「WaveCelが必要ないというわけではありません。パイプやパークを攻める人、コンテストでハードパックされたアイスバーンに落ちる可能性が高い人には、WaveCel搭載モデルを強くオススメしたいです」
 
悠貴自身も、状況に応じてOSLOを使用する。
 
「OSLOはRODANと比べると少し重く、かぶりが浅く感じますが、そのぶん衝撃吸収に対する“絶対的な安心感”があります。一般のスノーボーダーで“頭だけは絶対に守りたい”という人にはWaveCelモデルが合っていると思います」
 
悠貴は、撮影や勝負どころのライディングでヘルメットをかぶる理由を、こう言葉にする。
 
「大会ではもちろん、撮影でも攻めるときは必ずかぶっています。ヘルメットがあることで“チャージ”できるんですよ。リスクが高いロケーションでも、もう一段階踏み込んで攻められる。自信を持って臨めるんです」
 

しっかり頭部が守られている“安心感”が、悠貴のライディングを支えている

 
ヘルメットをかぶることは、フィジカルな防御であると同時に、メンタルの後押しでもあるのだ。
 
さらに、Anonのヘルメットとゴーグルを合わせて使うことで生まれる「一体感」も大きい。
 
「Anonのヘルメットはシンプルでミニマルなデザインなので、どんなスタイルにも合わせやすいです。ゴーグルとのフィットもよくて、ヘルメットとゴーグルの間に隙間ができておでこが見えてしまう、あの“ダサさ”がない。M6とRODANの組み合わせは、ルックス的にもかなり気に入っています」
 

機能性はもちろん、見た目も大事

 
Anon同士の組み合わせは、フィット感だけでなく見た目の部分でも大きな安心感をもたらしている。
 
「日本ではまだヘルメットをかぶる人が少ないですけど、軽くてフィットのいいヘルメットをかぶれば、もう一段階踏み込んだスノーボーディングを楽しめると思います」
 
バックカントリーに生き、FREERIDE WORLD TOURの舞台にも立つ21歳の言葉には、机上の安全論にはない説得力が宿る。
 
竹内悠貴が選び続けるAnonのゴーグルとヘルメット。その組み合わせはスポンサーギアの枠を超え、彼のライディング哲学を具現化した“相棒”そのものなのである。


M6 LOW BRIDGE FIT GOGGLE

M6 LOW BRIDGE FIT GOGGLE

▷フレームカラー: OAT

▷レンズカラー: PERCEIVE VARIABLE BLUE

▷スペアレンズカラー: PERCEIVE CLOUDY PINK

▷価格: 42,900円

ヘルメットとゴーグルの正確無比なフィットと広い視野を提供

RODAN SKI & SNOWBOARD HELMET

RODAN SKI & SNOWBOARD HELMET

▷サイズ: S〜XL

▷カラー: FIESTA RED

▷価格: 22,000円

すっきりとしたロープロファイルフィットと軽さが魅力の注入成型シェル構造ヘルメット

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Niki Ayako

Anon | 公式ページはこちら

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