BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

【連載Vol.2】今も昔も“スノーボーダーの聖地”。「星野リゾート ネコマ マウンテン」はフリースタイル天国

2025.12.02

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日本百名山のひとつ、福島・磐梯山。その南側は“表磐梯”、北側は“裏磐梯”と呼ばれ、南北にまたがる東北屈指のビッグリゾートが「星野リゾート ネコマ マウンテン」だ。前編では、ローカルライダーの松浦広樹をナビゲーターに迎え、表と裏それぞれの個性から成る“フリーライド天国”としての魅力を紹介した。後編となる本記事では、ネコマ マウンテンが長年にわたって“フリースタイル天国”と称される理由に迫る。

シーズンを通してパークを提供できる“南”と“北”の二枚看板の強み

南エリア(旧・アルツ磐梯)は、「NIPPON OPEN」や「ASIAN OPEN」といった世界大会の開催地になるなど、“パークの聖地”として広く知られてきた。そのDNAは今日まで受け継がれ、これまでにもオリンピック出場ライダーからのリクエストに応じた特設アイテムを造成するなど、日本人ライダーのレベルアップを手厚くサポートし続けている。だからこそネコマ マウンテンには、現在のコンペシーンを牽引する日本人ライダーたちが練習のために訪れるのだ。

 

ネコマ マウンテンとパートナー契約を結んだ荻原大翔の巨大エア
photo: Hoshino Resorts Nekoma Mountain

 

また、世界初の6.5回転男・荻原大翔をはじめ、幼少期からネコマ マウンテンのパークでスキルを磨き、世界に羽ばたいたライダーも少なくない。その背景には、国際規格のビッグキッカー専用コースを設けるなど、パークをメインコンテンツのひとつに位置づけるリゾート側の理解度の深さがある。
 
パーク造成チームを率いる山田雄二さんはこう語る。
 
「ネコマ マウンテンは、コース数が多いということもあって、フリースタイルパークだけでも北と南を合わせると3つ、流せるパークも含めれば4つもパークに特化したコースを造れるのが強み。こうした環境は、パーク造成チームにとって理想的なんです」
 
専用コースだからこそ、雪集めの段階からパーク造成に必要な圧雪作業ができたり、グローバルパークではオフシーズンに土盛り作業を行うなど、下準備が整えやすい。こうして造られるアイテム群が、上達志向の強いフリースタイラーたちを惹きつけてやまないのだ。
 
さらに、難度の異なるパークが複数存在するのも強みである。北エリア(旧・猫魔)には、上級者向けと初級者向けのアイテムを横並びに配置したステップアップパーク・NORTH、南エリアには、ビギナーから中級者が練習しやすいステップアップパーク・SOUTH、そして2月下旬から3月上旬の期間限定になるが、世界レベルのトリックに挑めるグローバルパークが出現する。その環境を支えているのが、かつてアメリカでパーク造成のノウハウとテクニックを学んできた、前出の山田さんだ。パーク造成でもっとも重視している点を尋ねると……。

 

北エリアのステップアップパーク・NORTH全景

 

「全体的なコンセプトは、以前から継続して“ステップアップ”です。お客様のステップアップを支えるためにも、失敗したときのリスクを最小限に減らす“つくり”には、とても注意を払っています。それがパーク造成チームで共有している重要事項ですね」

 

南エリアのステップアップパーク・SOUTH下部。リズムよく並ぶキッカーで挨拶代わりのインディ・ノーズボーンを披露するヒロキ。このキッカーの上にはミドルサイズのキッカーが並んでいる

 

実際にキッカー造成の現場に立ち合ったことがあるのだが、水平器や角度計を使いながらキックやランディングを細かく調整していた。こうした安全性の高いアイテムが並ぶからこそ、世界トップのコンペティターから未来のスーパースターを目指すキッズまで、全レベルのスノーボーダーが安心して自分の限界に挑めるのだ。


【北エリア】5ヶ月間楽しめる王道パークと、裏磐梯ならではの地形遊び

北エリアのパークは、「ゲレンデオープン日=パークオープン日」であることが特徴のひとつだ。降雪次第でアイテム数は増え、サイズアップしていく。約5ヶ月間に渡ってパークを楽しめる環境は、日本中を探してもここにしかないだろう。
 
ローカルのヒロキに、ステップアップパーク・NORTHの魅力について語ってもらった。
 
「シーズン開幕直後からジャンプが楽しめるし、そのキッカーも土台からしっかり造られているので、いつ行ってもクオリティは間違いなくいい。サイズも徐々に大きくなるため、頻繁に通っていると、気づいたらデカいキッカーが飛べるようになっていた、なんてことも! ジブアイテムもキッカーもどんどん増えていくことから、本当にステップアップに最適なパークだと思います」
 
そのうえで、標高など地理的な条件により、アイテムが崩れにくいことも重要なポイントだ。

 

「浮遊感があって飛びやすいし、着地も衝撃がほとんどない。やっぱり楽しすぎる」との言葉どおり、何とも気持ちよさそうなメソッドを披露

 

また、「期間限定になるかもしれませんが、上級者が今まで以上に挑戦できるアイテムを設置したい」と山田さん。利用者たちの要望に応える柔軟な対応は、ネコマ マウンテンのパークにかける情熱があってこそだ。

 

フラットダウン・ボックスを5-Oで全流し

 

「北エリアは営業期間が長くてパークもGWまであるし、春になるとバンクドスラロームのコースもできて、さらに面白くなるんです」とヒロキが言うとおり、最奥地ディープ1コースには、バンクドやウェーブを楽しめるフリーライド要素の強いパークが出現する。
 
さらにパークだけでなく、フリースタイルに遊べる地形があちこちに点在しているのも、北エリアの魅力だ。オススメのスポットをヒロキに教えてもらった。
 
「まず、デビル3コースの壁。パークに入る前の迂回路を回り込んだ先にあるライダーズライトの壁なんですけど、ここで当て込んだり軽く飛んだりして、そのままパークに入る流れが最高。あと、シーズン序盤限定ですが、エキサイト1のリフトの支柱脇も面白いです。雪が多くなると搬器が近くなって遊べなくなるけど(苦笑)、ラインをとりながらジャンプできるポイントが3カ所くらいあります。あとはフォレスト3の両サイドの壁地形。上から下まで流すのが面白いんです」

 

探せば至るところにヒットポイントを発見できる北エリア

 

パークでトリックのレベルアップを図りながら、コースに点在する地形を活かしてフリースタイルな遊びを楽しむ。山全体を、よりトリッキーに、よりバラエティ豊かに楽しむためのスキルと目が養える、まさに東北エリアの“フリースタイル総本山”といったところだろう。


【南エリア】初心者から楽しめるパークと世界基準の特設パーク

続いて、南エリア。まずはステップアップパーク・SOUTHについて、「北エリアの上級と初級の中間くらいのサイズのアイテムがあり、パークビギナー向けのアイテムもあるから、レベルに合わせて南北のパークを滑り込めば、トリックのスキルアップだけじゃなく、挑戦できるアイテムのサイズも自然と上がっていくと思います」と、ヒロキはそのポテンシャルの高さを評価する。

 

ジブ初心者でも安心して挑めるアイテムで、スタイルにこだわったFSボードスライドを披露

 

両エリアのステップアップパークが、多くのスノーボーダーの技術向上を支えるいっぽうで、南エリアのバトウ1コースには、実力者しか挑むことが許されないアイテムが出現する。2月下旬には、20mクラスの巨大キッカーを擁するグローバルパークが完成する予定だ。北エリアに比べると標高が低く、表磐梯という地理的条件も重なり、水分をやや多めに含んだ雪質が巨大アイテムの造成にひと役買っている。

 

猪苗代湖に飛び込むかのように空中遊泳を楽しめるグローバルパークの巨大キッカー
photo: Hoshino Resorts Nekoma Mountain

 

そして、このグローバルパークを舞台に、この冬、新たな展開があると山田さんは言う。
 
「SAJ(全日本スキー連盟)全日本選手権のビッグエアが開催されます。日本一を決める大会ですので、参加ライダーたちが限界に挑めるスペックで、なおかつ安全性の高いアイテムを造ります。また、昨シーズン好評だった『AIRMIX』も、3月に開催する予定です」
 
このように様々な大会やイベントが行われるのは、ネコマ マウンテンのパークがハイクオリティであることの証明だろう。
 
また、ダットコースには1月中旬から流せるパークが、アルツエクスプレス・ファーストチェア間には2月のナイター営業日に利用できるナイトパークが登場する。
 
「壁地形やバンク、ウェーブなどのアイテムがバランスよく並んでいて、ジャンプして抜けたりテールを当て込んだり、3Dなライディングが楽しめます。無数にラインを刻めるので滑り応えがありますね。南エリアのボトム付近はフラットバーンが多いだけに、めっちゃいい変化球になっています」と、ヒロキも流せるパークを絶賛する。

 

豪快に雪を舞い上げながらのレイバック。流せるパークにて

 

こうしたフリーライドに軸足を置いたパークがあるだけでなく、南エリアも地形の宝庫であることを、最後に付け加えておきたい。ローカルはどこで遊ぶのか。いくつかポイントを聞いたので紹介しよう。
 
「まず、ロックチェアから見える名物ポイントは、見た目よりもハードじゃないし、ラインを選べば飛ぶ距離も調整できるので、雪がいいときはトライしてもらいたいですね。そのほかにもブラックバレーの迂回路は壁で遊びやすいし、ロックチェアと霧氷チェアに挟まれたネコマボウルあたりはヒットしたくなる地形がたくさんあります。しかも、この冬からは迂回路で遊んでからツリーランっていう流れもできますしね!」

 

迂回路で画になるポイントがあったので、すかさず撮影

 

ネコマ マウンテンが“フリースタイル天国”と呼ばれ続ける理由。それは、レベルやスタイルを問わず、誰もが自分のペースでステップアップできる環境がシーズンを通して揃っているからにほかならない。王道パークからビギナー向け、世界トップレベルのライダーが訪れる特設パークまで、幅広い層のスノーボーダーを受け入れる懐の深さこそ、フリースタイル愛好家から長く愛され続ける最大の理由なのだ。

 

松浦広樹(まつうら・ひろき)
 

 
生年月日: 1984年3月8日

出身地: 福島県福島市

スポンサー: RIDE、DRAGON、AIRBLASTER、HOME MTN.、SWANY、TUBBS、SHRED-TUNE

text: HaruAki
photos: ZiZO

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