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キャンピングカーで北海道パウダーベルトを旅する。関功ファミリーが体感した「星野リゾート トマム」と「OMO7旭川 by 星野リゾート」の贅沢な冬【後編】
2025.11.27
“動く拠点”としてのキャンピングカーが旅のリズムをつなぎ、「OMO7旭川(おも) by 星野リゾート」を拠点とした滞在、カムイスキーリンクスでのライディング、そして旭山動物園まで──冬の北海道ならではの体験がぎゅっと凝縮された後半戦が始まる。
家族で雪を追い求める旅は、どんな景色と成長を見せてくれるのか。その続きを追いたい。
キャンピングカーでの移動が、旅のスイッチを再び入れる
「トマムへの寂しさがありつつも、キャンピングカーにまた乗れたことで、子供たちは再びテンションが上がりました」
菜摘さんの言葉どおり、星野リゾート トマムを出発した関ファミリーの車内には、少しの名残惜しさと、新しい旅が始まる期待が混ざり合っていた。2日間の濃密な時間に後ろ髪を引かれながらも、キャンピングカーという“動く基地”が、家族の気持ちをあっという間に切り替えてくれる。
およそ3時間半の移動。子供たちは疲れからぐっすり眠りについたが、菜摘さんは大好きなドラマ『First Love 初恋』のロケ地が旭川であることを功に熱弁。そんな会話もまた、旅の時間を豊かにする。
到着したのは本トリップ後半の拠点となる、OMO7旭川 by 星野リゾート。フロントでチェックインを済ませ、温浴施設や朝食のチケットをゲットした。

トリップ後半戦がスタート。「よっしゃ、楽しむぞ!」といっきくんは言っていないが、そんな表情(笑)
トマムでのスケジュールがタイトだったため、ランチをしっかり摂っている時間がなかった関ファミリーは、お腹がペコペコ。到着後、まっさきに向かったのは「旭川成吉思汗 ひつじ家」だ。

関ファミリーの念願だった本場のジンギスカンを目前に、この笑顔
「ひと口目の感動が忘れられません! 子供たちも『おいしい!』とおかわりしていました」と、菜摘さん。

北海道の形をした鍋で焼くスタイルのジンギスカンを、秘伝のタレや特製の塩でいただくことができる
お腹も満たされ、夜の旭川の街を歩く非日常感を味わいながら、家族でゆっくりとOMO7旭川へ戻る。路上で雪だるまを見つけてはしゃぐ子供たち。北海道に来た実感が、ふたたび胸に広がる。
OMO7旭川に戻った関ファミリーが向かったのは、「白い動物の話しかしない、旭山動物園講座」。翌日の“メインイベント”に向けた予習だ。兄のいっきくんは積極的に手を挙げ、妹のらんりちゃんもそれをマネする。ふたりのワクワクが止まらない。

講座では、話し上手なOMOレンジャー(まるで旅先に住む友人のように、地元民しか知らない場所や、ガイドブックには載っていない情報を伝授するスタッフのこと)の説明に子供たちは引き込まれていく
講座の後は、スノーシーズン限定の「マウンテンシティパブ」へ。子供たちは名物の〆パフェ、大人は地元クラフトビールとワインを手に、ゆるやかに時間が流れていく。
菜摘さんは、「パフェにはしゃぐ子供たちを見ながら飲むお酒は最高でした。すごく居心地がよかったですね」と、そのときの様子を振り返る。

大人も子供もくつろげる空間

いっきくんとらんりちゃんは仲良し兄妹
さらに、OMO7旭川の温浴施設「サウナ プラトー」で旅の疲れを癒し、子供たちは半分プールのようなウォーキングバスに大興奮。キャンピングカーへ戻るころには、すっかり満たされた表情だった。
カムイスキーリンクスで感じた、子供たちの成長と家族の絆
「キャンピングカーはとても快適に寝ることができましたね。朝の目覚めもよく、疲れがしっかりとれました」
翌朝、功はさわやかな笑顔でそう言った。本プランでは、OMO7旭川の宿泊者限定で提供される朝食ビュッフェを利用できるのがうれしい。食感が楽しい焼きたてのワッフルから、海鮮に香り豊かな山わさびをトッピングした山わさびごはんなど、和洋メニューが種類豊富。旅のエネルギーをしっかりチャージできる品揃えだ。

一枚一枚目の前で焼き上げてくれるワッフル

こちらも目の前で山わさびをすってくれるので風味豊か

「いただきまーす!」と子供たちは疲れもなんのその。元気いっぱい!
腹ごしらえを済ませると、滑りに行く準備を整える関ファミリー。トリップ最終日の舞台は、旭川からほど近いカムイスキーリンクスだ。出発前、功はエントランス近くにある「OMO WAX BAR」を利用。初めて訪れるカムイスキーリンクスで最高のパフォーマンスを発揮するため、入念にワクシングする。

30種類のワックスを無料で利用できるのはうれしすぎる
「家では設備が整っていないので、ここはとてもありがたい環境。次の誕生日プレゼントはワックス台かな?」
菜摘さんがそう笑うほど、功はいっきくんとらんりちゃんとともに、楽しそうにボードを仕上げていた。

子供たちもパパのお手伝い
ゲレンデでは、旭川を代表する老舗ショップ「KONA SURF」店長であり、平昌五輪ハーフパイプ代表でもある大江光と合流。カムイスキーリンクスを知り尽くした光のアテンドで、功はいきなり本気モードに引き込まれる。

降雪には恵まれなかったが、端パウで画を残す功
「家族で過ごすリズムの中にいたので、急に上手い人が来た!という感じで少しテンパりました」と、功は笑う。「光が遊べるポイントを教えてくれたので、一日でゲレンデの全体像をつかむことができました。自分好みのゲレンデでしたね!」

富山から移住して、今や生粋の旭川ローカルとなった光
「あそこ飛べますよ」と案内してくれた光のクレイルに始まり、功はフロントサイド360インディで宙を舞う。いっきくんもそのギャップを通過していただけに、プロの滑りがいかにすごいのかを理解できたことだろう。父のエアに目を輝かせていた。

功らしいスタイリッシュさ
そして、「スピードを出して突っ込んでいた左側の壁が印象深いですね」と功が語るポイントで、いっきくんが魅せる! 光と父の滑りを見守ったのち、小さい身体で荒れたバーンを直滑降。前日、トマムで経験したアドベンチャーマウンテン「チョッカリ山」での経験が活きたようだ。詳しくは本記事の前編をご覧いただきたい。

思わず口元が緩むいっきくん。こういう経験を重ねて上手くなっていくのだ
光のガイドのおかげでカムイスキーリンクスを遊び尽くした功といっきくんは、菜摘さん&らんりちゃんと合流。光はお店を開けるため、ここで退散。ライディング後にKONA SURFに顔を出す約束を交わした。
少し離ればなれの時間を過ごした子供たちは、家族全員がそろったことがうれしくて仕方ない様子。いっきくんはママと、らんりちゃんはパパとリフトに乗り込み、ファミリーセッションに適したバーンを目指す。

ファミリースノーボーディングを通じて、家族愛が深まっていく
菜摘さんは、そのときの光景をこう振り返る。
「前日までのパウダーランとは違って、この日は天気がよくて、いっきはぐいぐい先頭へ。娘は転んでも痛くないのを身体で覚えて、どんどん速くなっていく。『え、もうここにいる!』と何度も驚きました」

子供たちの成長を感じながらライディングできる喜び
2日間の雪山体験は、確かな“成長”として子供たちの滑りに刻まれていた。
子供たちの記憶に焼きついた、北海道キャンピングカーの旅
ライディングを終えた関ファミリーは、光が待つKONA SURFへ向かった。
「ずっと行ってみたかったお店は、子供たちもウェルカムな雰囲気。何時間でもいられちゃうと思いました」

プロスノーボーダーの佐藤秀平がオーナーを務めるKONA SURF
ローカルショップの温度感を通じて、北海道のスノーボードカルチャーに触れる貴重な時間となった。
しかし、旅はまだ終わらない。いよいよ子供たちにとってメインイベント、旭山動物園へ向かう。冬季シーズンの営業は15時半までなので、残された時間はわずか。まっさきに駆けつけたのは、積雪期だけの名物「ペンギンの散歩」。ふたりの目は、キラキラと輝いていた。

親も子もテンションマックス!
「見た瞬間から大興奮! 特に赤ちゃんペンギンに対してかわいらしい悲鳴をあげていました。閉園間際なのに、ずっと追いかけている姿が忘れられません」
動物園を出る頃には、キャンピングカーとの別れが近づいていることも理解していた。旅の終わりを感じたのか、子供たちはどこか寂しげな表情を浮かべている。
菜摘さんは最後にこう語ってくれた。
「今回の北海道パウダーベルトを巡るキャンピングカートリップは、ほかの何にも変えがたいものでした。私たちの“好き”が全部詰まっていて、家族にとって大切な1ページでは収まりきらない、大きな宝物です」

関ファミリーのこの表情を見れば、本トリップがいかに最高だったのかが伝わってくる
そして功は、「家族×雪×旅」の新しい価値を感じていた。
「家族とキャンピングカーとスノーボード。昔描いた夢がひとつ叶ったような感覚でした。家族と来る北海道は、滑りより旅がメイン。その魅力をこんなにも感じられたのは初めてです。子供たちの『また北海道行きたい!』という言葉がすべてを物語っていますね」
北海道の大自然、星野リゾートのホスピタリティ、ローカルの優しさ。そこにキャンピングカーが加わることで、旅はまったく別の表情を見せてくれる。家族で雪を追い求める旅は、キャンピングカーがあるだけでこんなにも自由になる。
関ファミリーが過ごした北海道パウダーベルトの2泊3日は、まさに“かけがえのない時間”だった。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Ken-now HARADA




