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平野流佳が連続トリプルコークで宣戦布告。進化の最前線で描くミラノ・コルティナ五輪の未来
2025.10.15
ミラノ・コルティナ五輪を来年2月に控え、コンペティターたちのトリックが加速度的に進化している。スイス・サースフェーで開催中のトレーニングキャンプ「THE STOMPING GROUNDS」から、新たな衝撃映像が公開された。
平野流佳がハーフパイプでバック・トゥ・バック(連続)トリプルコークを成功させたのだ。Instagramに投稿された動画では、BS900からのつなぎでFSトリプルコーク1440インディを放ち、続けざまにCABトリプルコーク1440トラックドライバーを成功させ、笑顔を浮かべながら喜びを噛みしめているシーンが確認できる。
流佳は昨シーズンまでコンテストでCABトリプルコークを繰り出していたが、FSトリプルコークは放っていなかった。今回の連続技は、最初に放つFSトリプルコークの完成度が極めて高くなければ成立しない。
なぜなら、着地時に回転力を抑えるためヒールエッジに強く乗りすぎると減速してしまい、次のCABトリプルコークに必要なスピードをキープできないからだ。得意とするCABからFSではなく、あえてFSからCABへとつないだ構成に、流佳の挑戦心と、その精度の高さが見てとれる。そして何より、そのどちらをとっても圧倒的なエアの高さを誇っていた。
FSトリプルコーク1440を大会で初めて成功させたのは平野歩夢。2021年12月の「DEW TOUR」で放たれたその一撃は、翌年の北京五輪での金メダルへとつながった。
あれからおよそ4年。FSかCAB、いずれかいっぽうのトリプルコークをものにしたライダーは増えたものの、コンテストにおいてバック・トゥ・バックでトリプルコークを成功させた前例はない。
きたるミラノ・コルティナ五輪では、連続トリプルコークと1620をルーティンに組み込めるかが勝敗を左右するのだろう。流佳が見せた構成は、進化の最前線に立つ者だけが描けるミラノ・コルティナ五輪への未来である。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)