深田茉莉が女性としては初となるスイッチBS1440に成功。スイス・サースフェーの地で、スイッチノーズでロンググラブを決めながら美しく宙を舞った。まさに完璧なパフォーマンスだったと言える。
茉莉は2022年12月、15歳で初めて出場したFIS（国際スキー・スノーボード連盟）ワールドカップ・ビッグエアで優勝を飾り、その名を彗星のごとく轟かせた。わずか数年で世界レベルを牽引する存在へと成長したのである。
トリックの進化もまた、彼女が成し遂げた快挙を裏づける証拠だ。昨シーズンのFIS世界選手権・男子スロープスタイルで優勝したカナダのリアム・ブレアリーは、3連キッカーの2ヒット目でスイッチBS1440を繰り出している。種目も違えばキッカーのサイズにもよるわけだが、その領域に茉莉は達しているいうことだ。
もちろん、環境の後押しも無視できない。プロダクトの進化、キッカーのサイズ拡張、何よりオフシーズンに練習できる環境が整っている日本という土壌。だが、それ以上に際立つのは、茉莉自身の類い希なるセンスと努力の結実だ。

text: Daisuke Nogami（Chief Editor）