映像プロダクション「RED EYES’ FILM（REF）」がクラウドファンディングを募っていたカルチャーブック制作プロジェクトが昨日締め切られ、最終的に118%の達成率で幕を下ろした。
「日本フリースタイル史の記憶を残し、未来へとつなげる」──25周年という節目を迎えたREFが掲げたこのテーマに、多くの支援が寄せられた。今回の達成は、単に資金が集まったという話ではない。カルチャーを未来に手渡そうとする試みに、コミュニティが確かに応えた証だと言える。
募集期間中、REFは過去の映像や写真をSNSにほぼ毎日投稿し続けた。2000〜2010年代にスノーボードに熱を注いだ世代の記憶を呼び覚ます動きにより、SNS上で当時のフリースタイルスノーボーディングが再燃した。あの頃の価値観をバックボーンに滑り続けているベテランスノーボーダーたち、その文化価値を受け継いだ若手スノーボーダーら、現在進行形でカルチャーを支えているコミュニティが後押しした結果にほかならない。さらに、副次的には休眠層の掘り起こしにもつながったように考えられる。
REFがこれまで記録してきたのは、トリックの点数や難易度ではなく、“滑り手の背中”や“時代の熱量”、カルチャーの“手触り感”だった。今回のプロジェクトは、その“記憶”を未来に託す試みであり、その挑戦にコミュニティが共鳴した。
数字以上に重要なのは、カルチャーを未来へとつなげていくことの必然性が、今回改めて証明されたことだ。

text: Daisuke Nogami（Chief Editor）