『EVERYBODY, EVERYBODY』や『TANGLE』で、シーンの枠を越えたストリートスノーボーディングを切りとってきたテッド・ボーランド。その最新作は、TANGLEにアマチュアとしてカメラの前に立っていたディラン・オクロウスキーとジェフ・ホルスのふたりを主役に据えた一本だ。
テッドにとって、彼らは単なる被写体ではない。『TANGLE』以来、5年の歳月をかけて成長を見続けてきた存在だ。いっぽう、ディランとジェフにとっても、テッドは自分たちをストリートの最前線へ押し上げた恩人であり続けている。
「最初は数本のクリップを撮るだけのつもりだったんだ。でも、気づけばソルトレイクシティから東海岸、五大湖を回ってカナダへ、1ヶ月以上の旅になっていた。ふたりはただライディングするだけじゃなく、僕が別プロジェクトを進めている間も忍耐強く待ってくれたり、撮影を手伝ってくれたりしたんだ」
そう語るテッドの言葉には、作品を超えた“仲間”としての信頼感が滲む。ディランとジェフのライディングは確実に進化し、ストリートの現場でしか生まれない緊張感と、仲間とのセッションがもたらす自由さが、本作に刻まれている。
TANGLEで描かれた“ストリートの多様性”は、この作品でさらに更新された。純粋な探求心と信頼の積み重ねが映像に深みを与え、ストリートスノーボーディングが持つ未来の可能性を鮮やかに映し出している。

text: Daisuke Nogami（Chief Editor）