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コロナ禍でパウダー三昧だった2021年の再来か? ラニーニャでなくても訪れるかもしれない大雪シーズン
2025.08.11
きたる2025-26シーズン、北半球の冬の行方を左右するかもしれない大気の変化が注目されている。カギを握るのは「成層圏突然昇温(SSW)」と呼ばれる現象だ。アメリカのメディア「UNOFFICIAL NETWORKS」の報道をもとにお届けしたい。
成層圏は地上から約10〜50kmの高さに位置し、冬には北極の冷気を囲む「極渦(ポーラーボルテックス)」が形成される。通常、この強い西風が冷気を極域に閉じ込めているが、SSWが起こると成層圏の気温が数日で50℃も急上昇し、風が弱まり、極渦がゆがんだり分裂することがある。このとき、北極に閉じ込められていた冷気が中緯度へ南下し、寒波や大雪をもたらす確率が高まるという。
実際、2021年初頭にはこのSSWが発生し、日本を含むアジアやヨーロッパ、アメリカ東部で記録的な寒波・大雪を引き起こした。日本でも日本海側を中心に豪雪となり、ディープパウダーを切り裂き極上のスプレーを巻き上げたスノーボーダーは多いはずだ。
米海洋大気庁(NOAA)の最新予測によると、今秋から冬にかけてはエルニーニョでもラニーニャでもない「ENSOニュートラル」状態が続く可能性が高い。ラニーニャ時にはSSWの発生確率が下がる傾向にあるが、ニュートラルは逆に発生しやすい条件をつくることがある。もし今冬に大型SSWが起これば、再び日本を含む中緯度に寒気が押し寄せ、豪雪シーズンが訪れるかもしれない。
つまり、ラニーニャ現象がなくてもニュートラル状態で大雪になる可能性はあるということだ。ただし、SSWの発生は数ヶ月前から正確に予測することは難しい。異常気象が叫ばれるいま、気象情報に注視しながら、きたる冬に備えたい。
text+photo: Daisuke Nogami(Chief Editor)