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リフト券値上げでも過去最多の来場者数を記録。好調を維持する日本スキー場開発の戦略とは
2025.06.08
スノーリゾートの価値は、雪質や規模だけでは決まらない。サービスの質、アクセス性、そして時間を過ごす「体験」としての魅力──そうした総合力が問われる時代に、長野・白馬エリアを中心に群馬・川場など8つのゲレンデを展開する日本スキー場開発(以下、NSD)が、着実に結果を残している。
2024-25シーズンにあたる昨年8月から今年4月末まで、NSDが展開するゲレンデは、訪日客やファミリー層を中心に賑わい、同期間としては過去最多となる182.1万人の来場者数を記録した。リフト券の値上げという、決してポジティブとは言いがたい要素があったにもかかわらず来場者数が伸びたという事実は、この会社の戦略がうわべの観光施策ではないことを証明している。
要因として挙げられるのは、単なる設備投資を超えた体験価値の強化だ。快適性を高めたゴンドラや、目的性のあるイベント施策に加え、人工降雪機の積極的な稼働によって例年よりも早期の営業開始に成功。さらに、4月下旬まで滑走可能な雪が残り、実質的な営業期間も延びた。これら複合的な取り組みが「来てよかった」と思わせるリゾート体験につながっている。
実際、スキー場事業の営業利益は前年同期比で43%増の28億円と、大幅な成長を記録。リフト券の単価が上がっても、その対価に見合う満足度が提供されていれば、ユーザーの納得は得られるということを如実に物語っている。
現在、全国のスノーリゾートは、継続的な設備投資の負担、人手不足、気候変動による積雪不安など、課題が山積している。だがそのなかで、いかにして“選ばれるゲレンデ”になるのか。その答えのひとつが、NSDの現在地にあるのかもしれない。