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藤森由香が大絶賛した雪質と施設を誇る「スキージャム勝山」家族旅【後編】“滑り”も“遊び”も全開で楽しみ最高の思い出づくり
2025.03.07
その2日目。数日間に渡り北陸地方は大雪に見舞われていたのだが、朝から太陽が顔をのぞかせているではないか。いわゆる“THE DAY”というやつだ。初日はパウダースノーを求め、咲心ちゃんを託児所に預けてツリーランエリアがあるイリュージョンサイトを目指したが、この日は家族全員でバラエティーサイトに向かった。スキージャムは極上のパウダースノーや滑りごたえあるツリーラン以上に、ホスピタリティあふれるファミリーに優しいリゾートとして有名なのだ。ライディングと家族サービスを高次元で両立できる、スキージャムの真価を探る。
グルーマーから自然地形に至るまで楽しめる「バラエティーサイト」&「ファンタジーサイト」
「朝イチにホテルの正面にあるクワッドリフトに乗って、グルーミングバーンを滑りました。けっこうロングランで斜度もほどよく、気持ちよくクルージングできたことが印象に残っていますね」

グルーミングがキレイなので安心して滑ることができたようだ
咲心ちゃんを抱っこひもで抱え、ヘンリーとともに「バラエティークワッドリフト」に乗り込み、滑り下りればホテルに直結する「バラエティーコース」を家族で楽しむことに。プロスノーボーダーでありながらも、愛娘を気遣ってゆっくりと慎重に滑っていた。

口元がネックウォーマーに包まれているが、咲心ちゃんも満面の笑みを浮かべていたに違いない
「コースが全体的に広々としていて、初心者でも安心して滑れるような緩斜面もありました。また、中・上級者向けのコースや地形も選べるので、いろいろなレベルの人が楽しめるのも魅力でしたね」
ゆっちはバラエティーコースについて、このように振り返る。全長1,670mを誇るこのコース脇には、前日までに降り積もったパウダースノーが残っていた。前編でも触れているが、イリュージョンサイトは除雪や安全確保のため営業時間が遅れる場合もあるので、降雪に恵まれた翌日の朝イチは端パウを狙いながらバラエティーコースで足慣らしするのも悪くないのかもしれない。
数本、咲心ちゃんとともにライディングを楽しんだゆっちファミリー。託児所のオープン後、咲心ちゃんを前日と同じく「ジャムキッズクラブ」に預けて、撮影クルーは再びイリュージョンサイトを目指すことに。その道中にあるファンタジーサイトの「ファンタジーBコース」はコース長が1,300m超と滑りごたえ十分なのだが、加えて、サイドヒットも楽しめるのだ。

母親からプロスノーボーダーに戻った瞬間
「いろいろなアイデアがあふれるほど、地形も楽しかった!」とはゆっちの言葉だが、上の写真を見れば伝わってくるだろう。ファンタジーBコースのライダーズレフトには、無数のナチュラルヒットが点在していた。飛ぶもよし、当て込むもよし。

木々に積もった雪にタップするクリエイティブな滑りを披露したヘンリー
また、ライダーズライト方向に延びるファンタジーAコースは斜度があるのに対し、ライダーズレフト側のファンタジーBコースはあまりない。そのため、ファンタジーAとBの境界線がコースギャップになっており、そこもフリースタイルに楽しめるポイントだ。Aコースを滑りながら地形を活かして大きなターンを描いても面白いし、BコースからAコースに向かってダウン系のジャンプも楽しめる。ただし、周囲の安全確認は怠らないように。
しっかり滑ったからこそ充実する家族水入らずの時間
前編でもお伝えしたように、ツリーランエリアのクローズは全日13時。翌日もリセットされている可能性が高いと綴ったのだが、やはり、完全にリセットされていた。

前日同様にハイスピードでパウダースノーを切り裂くヘンリー
改めてツリーランについて両名に尋ねてみると、「ネイチャーコネクション(自然との一体)」とヘンリーは開口一番つぶやく。そして、「スピードやエッジコントロールについて学ばせてくれるんだ」と付け加えてくれた。ゆっちは、次のように語る。
「自分がコントロール可能なスピードを見極めたうえでツリーランに入るべきだと思っています。しっかりと(木々の間を滑る)自分の感覚を養ってから入ることが前提です。そのうえで、雪の積もり方によって毎日同じコンディションということはないので、そこでしっかりとスピードをコントロールしながら滑れるようになると、また違った楽しさが味わえますね」

前日と同じ斜面でも異なるアクションで攻略するゆっち
グルーマーからナチュラルヒット、そして、2日連続の極上パウダースノーを滑り倒したゆっち夫妻は、急いでボトムまで滑り下りる。言うまでもなく、咲心ちゃんのもとへ。プロスノーボーダーとしての仕事をしっかりとこなしてくれたゆっちとヘンリーには、ここからは家族水入らずでスキージャムの真骨頂、ファミリー向けの施設やサービスを堪能してもらうことにした。
まずはランチタイム。リゾートセンター2Fのレストラン「グランドカフェ」へ向かうことに。

母の顔に戻ったゆっちと寂しさを我慢していた咲心ちゃんを優しく見つめるヘンリー
「おすすめの『ポルガライスセット』は、ボリューム感満載でした。大満足! 珍しいメニューだなぁ、と思いました。私が住んでいる長野エリアでは目にすることがありません。ゲレ食が大好きなんですけど、その中でも満足度の高い美味しいメニューでした」

福井発祥のご当地グルメ「ポルガライスセット」は、ミニサラダとドリンク付きで2,150円
ゆっちも大満足のランチを終えると、食後の運動とばかりにキッズパーク「ビキッズパークへ」。広さは西日本最大級を誇る。スノーエスカレーターが利用できるそりエリアや、カラフルな遊具がそろう雪遊びエリア、スノーボードやスキーが練習できるエリアがセパレートされていた。なので、ゆっち夫妻も咲心ちゃんとともに安心して楽しむことができたようだ。

ここがビキッズパークの入口
「そりやトランポリンなど、いろいろなアクティビティが充実していて、ウィンタースポーツをやらない人への配慮や楽しめるアイデアがよかった! スノーボードやスキーが練習できるスペースがあったのも印象的。子供が大きくなったら、もっといろいろな遊びをしてみたいですね」とはゆっちの談。


ビキッズパークは4月6日(日)まで営業中。営業時間は9〜16時までとなっており、利用料金は1,000円(2歳以下は無料)
「小さい子でも楽しめる遊び場があったので、咲心にもいい経験をさせてあげられたと思うよ。そりを家族3人でやったんだけど、由香が90°曲がって滑っていって大笑いした! 由香にはそりは難しかったみたい(笑)」

あれ、ゆっち、どこ向かってるの?

意外とスピードが出るも、咲心ちゃんもこの表情
ヘンリーがしっかりとオチをつけてくれたところで(笑)、本章までのゲレンデ編を締めたいと思う。
悪天候でもファミリーを満足させる充実度を誇るリゾートセンター&ホテル
託児所でしっかり昼寝ができたのか、まだ遊び足りない咲心ちゃんを連れて、リゾートセンターと直結している「ホテルハーヴェスト スキージャム勝山」へ向かう途中にあるキッズスペースへ。

そりもそうだったが、さすがはゆっちとヘンリーの娘。咲心ちゃんは滑ることがが好きなようだ
「こじんまりしていたけど、天気が悪いときに子供が遊べるスペースがあるのはありがたいね!」(ヘンリー)
「滑り台とクッションブロックが置いてあり、母親目線ではこういうスペースがあると助かります」(ゆっち)
ヘンリーが言うとおり、仮に吹雪いていたら小さい子供にはビキッズパークで遊ぶことは難しいだろう。室内にもこうしたスペースが用意されているところは、スキージャムがファミリーに優しいと言われる理由のひとつである。
さらに、リゾートセンター1Fには、ゆっちのメインスポンサーであるBURTON(バートン)のショップ「BURTON STORE SKI JAM KATSUYAMA」が、西日本のスノーリゾートとして唯一営業している。「最新モデルが販売されていたり、キッズ用品も取り扱っているので、必要なものが現地で調達できるのはいいですね。また、部品が壊れたときにも対応してくれるのは心強い」というゆっちの言葉どおり、あらゆるスノーボーダーのニーズに応えてくれるだろう。また「BURTON TEST RIDE CENTER」では、ボードやSTEP ONなど最新モデルを試乗できるハイスペックなレンタルプログラムも用意されている。

土日祝は8時(平日は8時半)から16時半まで営業している

ストアの前に位置するTEST RIDE CENTER
ゆっちは宿泊者専用のフリースペースで最後のインタビューに臨んでくれた。
「ホテルの部屋は暖かくて清潔感があり、モダンな雰囲気の和室でリラックスできました。ロビーの近くある暖炉のまわりにはハンモックがあったりコーヒーやスナックが用意されていて、ホッとひと息つける空間があるのもよかったですね」

宿泊者専用のフリースペースにはウェルカムドリンクが用意されており、くつろげる贅沢な空間
ゲレンデに直結したホテルなので、子供連れでも安心だ。まるで、アメリカ・コロラド州の高級リゾートにいるかのような贅沢な雰囲気。プロスノーボーダーとして、母として、多忙な2日間の撮影を終えて、安堵の表情を浮かべていた。

ソファだけでなくハンモックも用意されている。ライディングで疲れた身体を休めるなど人気のスペース
「今はポルトガルに住んでいて、私たちの場合は両親が近くに住んでいるわけではないので、代わりばんこに滑るしか選択肢がなかったところ、今回のトリップでは託児所を利用させてもらいました。これまでは母親としての役割に集中していて自分の時間がとれなかったので、ひさしぶりに安心して滑ることができてよかったです。咲心ちゃんも成長できたと思います」
プロスノーボーダーとしてスキージャムの雪質や地形などポテンシャルの高さを表現し、スキージャムのホスピタリティの高さにより、母親としてひと皮むける素晴らしいトリップになったようだ。弊ウェブマガジンは家族でスノーボーディングを楽しんでいる読者層が多いだけに、ゆっちファミリーのトリップ、いかがだっただろうか。
おわり

藤森由香(ふじもり・ゆか)
生年月日: 1986年6月11日
出身地: 長野県長和町
スポンサー: BURTON、ANON、ABSOLUTPARK、GALLIUM WAX、MSR
ヘンリー・ジャクソン
生年月日: 1981年5月30日
出身国: イギリス
スポンサー: CAPITA、VOLCOM、DRAGON、UNION、DEELUXE、COAL、TRANSFORM
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Kenta Nakajima