BACKSIDE (バックサイド)

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FEATURE

オープンバーンからツリーまでパウダー三昧。トップ・トゥ・ボトムで山全体をフリースタイルに遊べる「舞子」の真価

2025.01.30

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首都圏に住まうパウダー志向のスノーボーダーにとって、舞子スノーリゾートの存在は今や欠かせない。シーズンを追うごとにツリーランエリアやオフピステゾーンが拡大され、“フリーライドの世界一”を決めるFWT(FREERIDE WORLD TOUR)の予選の地に選ばれた実績で雪や地形のよさも実証済み。最寄りインターチェンジからアクセスがよく、なにより降ればひと晩でゼロ・トラックとなる豪雪地帯のリセット力が素晴らしい。多くのスノーボーダーが目を輝かせながら未明の関越自動車道を北上するのは、ここに間違いのない「楽しさ」が約束されているからである。

目指すはパウダー天国・奥添地&長峰エリア

今回はそんな「舞子スノーリゾート」を長年ホームゲレンデとしながら、仕事でもリゾートと深く関わるローカルスノーボーダーの腰越啓一さんに、その魅力をお聞きすることにした。

 

腰越啓一さん
新潟県南魚沼市生まれ、41歳。幼少期からスキーを始め、中学生でスノーボードにシフト。以後、南魚沼をベースにライディングの腕を磨き、パーク造成などに関わるように。現在は、舞子を含む3つのゲレンデでパーク造成を手がけ、またゲレンデ内に複数の飲食店やショップを出店するなど、15年前からトータルリゾートサービス業として地元企業「SNOWCASE DESIGN」を営んでいる

 

腰越さんに詳しく魅力をお聞きする前段階として、まずは舞子の概要を知っておこう。
 
舞子のある南魚沼は、新潟県南部の魚沼盆地に広がるエリア。日本一と称される魚沼産コシヒカリや端麗な日本酒なども有名で、それらは累積降雪量が10mを超えることも珍しくないという日本有数の豊富な雪によって育まれ、作られるものだ。リゾートは関越自動車道・塩沢石打ICから1分という好アクセスを誇り、首都圏からなら日帰り圏内の立地にある。
 
「舞子の魅力は本当にいろいろあるんですが、やはりゲレンデトップに降る上質なパウダーを狙うのが、THE DAYに巡り合えた日の一番の楽しさだと思います」と腰越さんが語る。

 

 

ゲレンデは全26コース、最長滑走距離は6,000mにもおよぶ。
 
エリアは大きく分けて3つあり、ゲレンデのバックにそびえ立つ標高1,111mの飯士山(いいじさん)に向かって右側に広がるのが、初~中級者向けとしてコンパクトなレイアウトの「舞子エリア」。ここはスキーイン・スキーアウトができるホテルが建ち、ファミリー層にも人気がある。対して左側には、ゲレンデトップにあるすり鉢状の地形とパウダースノー、ツリーランが待つ「奥添地(おくそえち)エリア」、そして非圧雪からピステンバーンまで多彩な雪面と傾斜のコースが揃う「長峰エリア」に分けられ、中腹より上は中~上級者向けのコースが多い。
 
このようにエリアごとに特徴があり、複数のゲレンデがコンパクトに合わさったようなリゾートとも言えるが、ここをどう遊ぶのが最善か、舞子ビギナーはもちろん、すでに滑ったことがある人でもローカルスノーボーダーの動きは気になるところだろう。
 
腰越さんに“降った日”の具体的なルーティンについて聞いてみることにした。

 

非圧雪バーンが広がる「グングンコース」はパウダーデイの一番人気

 

「前夜からかなり降った日の翌朝は、まずは朝イチからゴンドラやリフトを乗り継いで一気に奥添地エリアにあるゲレンデトップの標高920mまで上がります。ここには急斜面の非圧雪のオープンバーン『グングンコース』があり、面ツルの一枚バーンでスピードをつけて気持ちよくロングターンを決めたくなる斜面。降った日はやはりみんなここを目指しますので、気持ちよく2本ぐらい滑ったら次へ移動します」

 

グングンコースのある奥添地エリアは多くの斜面が北向き。標高はさほど高くないが、日によって東北にも負けないようなドライパウダーが楽しめる

 
北面のいい雪をたっぷり堪能したあと、次に向かうのが長峰エリアだ。

 

壁地形が点在する長峰エリアで、パウダースノーを切り裂きながら下っていく

 

「少し標高を落とした山の中腹部にある長峰エリアは、圧雪バーンから自然地形までマルチに楽しめるエリア。ここでまず狙うのが、その一角にあるオフピステゾーンです。条件つきでしか開放されない非圧雪エリアで、ドロップポイントまで少し横移動でハイクが必要です。それを面倒に感じて行かない人も中にはいますが、オフピステゾーンの斜面は滑走距離が1,000m、最大斜度32°なので、降った日は極上のパウダーライディングが味わえるんですよね。長峰第2クワッドを利用してここを2本ほど落とします」

 

オフピステゾーンの入口はギンギンコースの途中の右側にある。ドロップポイントまで横移動で5分ほど

 

競争率はさほど高くないオフピステゾーン。「地形変化もあって、飛べるポイントもいろいろあります」


コース復帰できる「Haglöfsツリーランエリア」でファンライド

20-21シーズンから開放された「Haglöfsツリーランエリア」も舞子の目玉のひとつだろう。以前は滑走禁止区域だったが、リゾートの寛大な理解で、現在は手続きを踏めば誰でもゲートからエリアに入ることができるようになった。
 
「ゲレンデマップの緑色の斜線部分がツリーランエリアです。立ち木の間隔がほどよく、条件のいい日はそこに腰ほどの深いパウダーがたっぷり積もります。グングンコースとグイグイコースの間にある斜面は比較的斜度があり上級者向け。もう一段下の斜面はメローでやさしい。面を選べば朝イチでなくてもパウダーが残っていることもあるし、競争率もそんなに高くない。どちらもコース外ですが、どこを滑り下りても最後はコースに復帰できることから、ツリーランをこれから楽しみたいという人も安心して遊べるエリアだと思います」

 

ほどよい間隔で立ち木が並び、ツリーランの練習をしたい人にも最適だ

 

Haglöfsツリーランエリアへは3つのゲートから入る。滑走にはヘルメット着用が義務づけられ、事前申請が必要だ。舞子HPの申請フォームを入力後、「日帰りスキーセンター 1Fチケット売り場」かゴンドラ山頂駅にある「CAFE at the TOP “ITADAKI”」にて利用チェックインをして、渡される腕章を腕に着用する

 

ツリーランエリアで次々とウォールに吹き溜まったパウダーに当て込んでいく

 

もちろんパウダーや地形だけでなく、滑り応えあるロングライドのグルーミングバーンも!

 

「このあたりを滑っているころでだいたい2時間くらいになります。で、最後にゴンドラ駅山頂にある『ITADAKI』(カフェ)でコーヒーを飲むまでが僕の仕事前のルーティンになっています。じつはこの店、僕が経営しているカフェなんですよ」

 

ゴンドラトップにある腰越さんの「CAFE at the TOP “ITADAKI”」

 

晴れた日にはカフェのテラスから百名山の巻機山(まきはたやま)や、日本酒の名前にもなっている八海山など、名峰の素晴らしい大パノラマが一望できる。パウダー欲が満たされたら、一度休憩がてら立ち寄ってみるのがオススメだ。
 
「ちなみに、舞子のパークも僕らのディガーチームで整備しています。パークは舞子エリアのブロンズコースに設置しているんですが、ある程度滑走力があるパークの初~中級者向けの構成で、ジブセクションが多め。4つあるキッカーのうちひとつは雪のあるシーズンで最大で10mほどになります。週末にはワンポイントレッスンやイベントも行っているので、ぜひ遊びに来てください!」

 

腰越さん率いる「SNOWCASE DESIGN」が整備する「MAIKO SNOW PARK “GARDEN”」と「HIKE UP PARK」

 

「こんな感じで舞子はスノーボードで味わえる楽しみをすべて詰め込んだとも言えるゲレンデだと思います。奥添地エリアや長峰エリアでフレッシュな深雪を楽しみ、コースをひと通り滑り尽くしたら、ツリーランへ。滑ることが好きなゲレンデスタッフたちの整備のおかげで、ゆったり木を避けながらクルージングできるのも魅力なんですよね。そして最後は迂回コースの壁を当て込んだり、グルーミングバーンを滑ってボトムまで。このルーティンで山を全部滑り尽くすトップ・トゥ・ボトムも舞子のよさだと思います。脚はパンパンになると思いますが、シーズンインから終わりまで様々な遊び方ができますので、ぜひ舞子のよさを味わってみてほしいと思います」
 
今シーズンは雪の降り始めも早く、積雪量は十分。ツリーランエリアもばっちり整っているので、シーズン中盤戦もコンディションは大いに期待できる。関越自動車道を北上し、ぜひ舞子を攻めてみてほしい。

text: Ryo Saito

舞子スノーリゾート | 公式ページはこちら

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