米コロラド州アスペンで行われている「X GAMES」初日のメインイベントは、男子スーパーパイプ。FIS（国際スキー・スノーボード連盟）主催のワールドカップ（以下、W杯）ではハーフパイプと呼ぶが、アスペンのスーパーパイプはそれよりもサイズが小さかった。よって、先日スイス・ラークスでW杯との併催で行われた「LAAX OPEN」ではトリプル合戦となったが、今大会ではそのトリプルコークの火付け役である平野歩夢ですら封印して挑む格好となった。
 
女子ビッグエア同様に、まずは招待ライダー8名が2本のランを行い、ベストポイントが採用されて上位4名がファイナルに進む。ファイナル進出を決めたライダーをポイントの上位順に紹介すると、スコッティ・ジェームス（オーストラリア）、戸塚優斗、ルーカス・フォスター（アメリカ）、歩夢だ。
 
ファイナルはポイントの下位からの出走となり、ひとり2本のランからベストポイントが採用されて争われる。1本目、歩夢とルーカスは転倒、優斗もベストランは出せなかったところ、スコッティが勝負強さを遺憾なく発揮した。スペックが十分でないにもかかわらず、トリプル合戦を制したLAAX OPENと同ルーティンを成功させたのだ。スイッチマックツイスト・スイッチジャパン→CABトリプルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1260ステイルフィッシュ→BSダブルコーク1080ステイルフィッシュ→スイッチBSダブルコーク1260インディを見事に決めて96.33ポイントを叩き出した。
 

 
続く2本目、歩夢はCABダブルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BS900ウェドル→FSダブルコーク1440テール→スイッチBSアーリーウープ・ダブルロデオ900ステイルフィッシュという、トリプルコークを封印した新ルーティンで勝負に出た。92.33ポイントを記録し、この時点で2位に。
 

 
ルーカスは着地でミスしてしまいポイントを伸ばすことができず、続く優斗が大逆転を狙ってドロップイン。スイッチBSダブルコーク1260インディ→CABダブルコーク1440ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1080トラックドライバーをミスなく決めて93.66ポイントをマーク。2位にジャンプアップするも、この時点でスコッティの金メダルが確定した。同時に、2022年大会から4連覇を達成し、同大会通算7個目の金メダルを手中に収めたのだ。
 

 
トリックの高難度化がすべてではないが、パイプのサイズが小さかったため、歩夢と優斗はそれぞれFSトリプルコーク1440を繰り出すことができなかった。しかし、そうした状況下においても、トリプルコークを含む自身のベストルーティンを決めることができたスコッティ。圧勝だった。

text: Daisuke Nogami（Chief Editor）
photo: X GAMES

 
男子スーパーパイプ結果
1位　スコッティ・ジェームス（オーストラリア）
2位　戸塚優斗（日本）
3位　平野歩夢（日本）
4位　ルーカス・フォスター（アメリカ）
5位　重野秀一郎（日本）
6位　ワン・ズーヤン（中国）
7位　ジェイソン・ヴォレ（アメリカ）
8位　ジョーイ・オケソン（アメリカ）