BACKSIDE (バックサイド)

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INTERVIEW

次世代を担う若手に贈られる栄えある賞を競技者と表現者の両面を併せ持つ山田琉聖と深田茉莉が獲得

2024.10.16

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さる9月21日、千葉・幕張メッセで開催された「X GAMES CHIBA 2024」において、アクションスポーツの次世代を担うライダーたちに贈られる「JAPAN ACTION SPORTS AWARDS 2024 NEXT GENERATION」の受賞式が行われた。アクションスポーツの認知拡大を目的に、日本アクションスポーツ連盟(Japan Action Sports Association: JASA)が主宰する本アワードは2014年から行われており、過去には國母和宏や平野歩夢らが受賞した栄えある賞である。その認知度が加速度的に高まっている現況を踏まえ、2022年からは12歳以上20歳未満の若手ライダーたちにスポットライトを当てるべく、本アワードへと進化を遂げた。
一昨年は荻原大翔と村瀬由徠が、昨年は長谷川帝勝と高森日葵が受賞。彼らはすでに世界トップクラスの舞台で活躍している。そして今年は、ハーフパイプ界期待の新星、スイッチマックツイストやスイッチアーリーウープダブルロデオなど玄人ウケ間違いなしのトリックを武器にワールドカップ(以下、W杯)を転戦し、昨シーズンのJOCジュニアオリンピックカップ2024のハーフパイプ種目で優勝を飾った18歳の山田琉聖。女子は、 W杯ビッグエア初出場初優勝の衝撃デビューから2シーズンを終え、今や世界トップランカーのひとりにまで成長した17歳の深田茉莉が受賞。ふたりに今後の展望を語ってもらった。
 
山田琉聖(やまだ・りゅうせい)
▷生年月日: 2006年3月25日
▷出身地: 北海道札幌市
 

 
──JAPAN ACTION SPORTS AWARDS 2024 NEXT GENERATIONの受賞、おめでとうございます。率直な感想を教えてください。
 
最初、受賞を聞かされたときは「ホントに自分が!?」という感じでビックリしたんですが、今日、会場に来て大観衆の前で自分の名前がコールされて、受賞できたことを実感しました。
 
──ハーフパイプのルーティンにマックツイストなど表現性が重視されるトリックを組み込んでいるのには、どのような意図があるのでしょうか?
 
もともと大会が嫌いだったので、どうしたら好きになれるかを考えたときに、みんな同じ技の構成でしか滑っていないところが面白くない理由だ、ということに気づくことができました。そこで、自分が好きなマックツイストなどを組み込んだルーティンで独創的な滑りをすることで、現状を変えたいと思ったんです。
 

 
──パウダースノーに恵まれた北海道が地元ということで、ハーフパイプ以外にも挑戦してみたいという気持ちはありますか?
 
挑戦してみたい気持ちはありますが、今は2年後と6年後の冬季オリンピックを目標にしているのでハーフパイプに集中しています。でも、自分も含めて北海道ライダーはフリーライディングで足慣らししてからハーフパイプに行く流れがあるからなのか、「板が踏めている」と言われることがよくあるんです。フリーライディングがパイプランに活かされていて、それが強みになっていると思います。
 
──X GAMESの会場に来てみて感じたことは?
 
夏のX GAMESなので自分がやっている競技とは違いますが、会場から伝わってくる熱気がすごく感じられて、気持ちが高まります。冬のX GAMESにはまだ出場したことがないので、もし出られるチャンスがあれば自分の強みを最大限に発揮して、ほかのライダーたちとは違うルーティンで魅せたいです。
 
──今後の目標を教えてください。
 
大会では回転数に注目が集まりやすいですが、自分の武器である独創的な滑りを披露することで、スノーボードは回転数だけがカッコよさではないということを伝えていきたいと思います。2年後と6年後の冬季オリンピック、そして、冬のX GAMESに出場して、自分のスタイルを貫いて勝負できるライダーでいたいです。
 
 
深田茉莉(ふかだ・まり)
▷生年月日: 2007年1月1日
▷出身地: 愛知県みよし市
 

 
──JAPAN ACTION SPORTS AWARDS 2024 NEXT GENERATIONの受賞、おめでとうございます。率直な感想を教えてください。
 
受賞できたことはうれしいのですが、まだまだ足りないところはたくさんあります。W杯の出場も3シーズン目になるので、緊張感を持って臨みたいと思います。
 
──本格的に競技を始めたのは13歳頃だと聞きました。どのような経緯で大会に出るようになったのですか?
 
最初は大会に出たいと思っていませんでしたが、平昌五輪に出場していた岩渕麗楽選手の滑りを見てカッコいいと感じて、スロープスタイルやビッグエアに挑戦したいと思いました。そこから競技者としての道を歩み出し、今はおぼろげにですが、プロとして世界で活躍したいという気持ちが芽生えました。
 

 
──2023年に出場したX GAMESアスペン大会で4位という結果を残しました。夏のX GAMESは初めてかと思いますが、その場で表彰されたことで、なにか成長を感じましたか?
 
性格上とても緊張するタイプなので、初めて冬のX GAMESに出場したときは、とにかくできるトリックをすることで精一杯でした。でも今は、戦略や技の構成を考えて練習していて、ヤッさん(佐藤康弘コーチ)に自分の現状と精神状態をすり合わせたマインドセットについて教えてもらっています。それらが今回の受賞につながっていると思うので、成長はできていると感じています。
 
──年々、大会のレベルは上がり続けています。勝つためには何をしなければならないと考えていますか?
 
自分に足りていないメンタル面を鍛えることと、トリックに関しては1440はもちろん、ロデオなど意外性のあるトリックをルーティンに入れてスタイルを出していかなければいけないと考えています。新しいトリックにトライするときは怖がっていてはダメなので、コンディションがいいときを狙って積極的にトライすると決めています。
 
──今後の目標を教えてください。
 
昨シーズンは大会にあまり出ず、練習に多くの時間を費やしていましたが、今年からはオリンピックの代表選考が始まるので、結果を重視していきたいと思います。今シーズンのW杯では、鍛えてきたメンタルとカッコいい滑りで表彰台に乗れるように頑張ります。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
interview: Kaede Itahashi
photos: Yoshio Yoshida / X Games

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