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気象庁はラニーニャ現象の発生確率を60%から70%に引き上げ。今シーズンは豪雪か
2024.09.11
9月10日、気象庁は「エルニーニョ監視速報」を発表し、秋から冬にかけてラニーニャ現象が発生する確率を70%とした。このエルニーニョ監視速報は毎月発表されており、8月9日に公表された際にはラニーニャ現象の発生確率を最大で60%としていたことを踏まえると、より確度が高まったというわけだ。
8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値よりも−0.5℃低い値になった。また、エルニーニョ現象発生の判断に使用される5ヶ月移動平均値の6月の値は0.0℃で、基準値と同値に。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年よりも高く、東部で平年よりも低く推移。海洋表層の水温も西部で平年よりも高く、中部から東部で平年よりも低くなった。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動はほぼ平年並みで、中部太平洋赤道域の大気下層の貿易風(東風)も、ほぼ平年並み。このような大気と海洋の状態はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、ラニーニャ現象時の特徴に近づきつつあることを示している。
大気と海洋の相互作用をシミュレーションするための数値モデルである大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域の西部から中部で貿易風が強まるとともに中部から東部の冷水がさらに強まることで、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬にかけて基準値より低い値で推移する可能性が大きく、その後は西部の暖水の東進とともに、春にかけて上昇して基準値に近づくと予測。よって、気象庁はラニーニャ現象が発生する確率を引き上げて発表した。
ラニーニャ現象が発生すると大気の循環パターンが変化し、冬はシベリア高気圧が強まる確率が高くなるため、日本付近に寒気が流れ込みやすくなる。この寒気が暖かい海面上で水蒸気を含んだ雲を多く形成し、日本を通過する際に山岳地帯にぶつかることで豪雪をもたらす。加えて、ラニーニャ現象が発生すると偏西風の位置や強さが変わるため、日本列島上空で寒気が強まりやすくなることで、降雪量が増加する可能性が高まるわけだ。
待望のスノーシーズンまで残すところ3ヶ月ほど。高ぶる気持ちを抑えながら、シーズンインに向けた準備を本格化していきたい。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)