COLLABORATE BRANDS
堀井良輔のアートを工藤洸平がウエアに落とし込む「DAYZE × NOMADIK」コラボライン
2024.02.05
洸平が着たいウエア「DAYZE ANORAK JKT」
「良輔くんとは昔から仲がよくて、一緒に滑るのはもちろん、コラージュをやったり絵を描いたり……。うちにもよく泊まりに来ていました。コラボするのはとても自然な流れでしたね」
それぞれ違う形で前面に4つ配置されている3Dポケットが特徴のANORAK JKT。4色展開されており、そのうちの1カラーとしてDAYZEモデルが用意されている。
「この3Dポケットはフィッシングベストをイメージして作りました。ウエスト部分に剥き出しになっているドローコードも相まって、面白いデザインになっていると思います。実はこのジャケットを作るときにインスピレーションを受けた昔のファッションスナップがあるんですが、そこに写っているのはウエストと裾の部分がガッツリ絞られているシルエット。まずはその着こなしができるようなジャケットを目指しました。ウエストだけを絞ってAラインで着てもらっても、もちろん大丈夫です」
「僕はLサイズを着ているんですが、全体的なサイズ感は自分にとってしっくりくるような感じで作っています。割と身幅やアームホールが広くて、ボックスっぽい形。丈はそんなに長くないので、キュッと丸いイメージです」
2023年の秋に発表された『STONP OR DIE』の劇中で洸平が着用しているのも、もちろんこのジャケットだ。表現者として、ライディングの際に身にまとうものにもこだわるのがスノーボーダーの性。彼のSNSに書かれていた「魂込めて作ったウエアをお守りに、命をかけて滑ってます!」というコメントからも、いっさいの妥協なく、こだわり抜いて作られた一着であることが伝わってくる。
洸平が用意したキャンバスに良輔が描く
23-24シーズンのNOMADIKウエアのラインナップを眺めると、シンプルなカラー展開のウエアがほとんど。そのなかで異彩を放っている総柄のDAYZEコラボが生まれた経緯について、良輔に聞いてみた。
「こういうアブストラクト(抽象芸術)なものを生地にしてウエアという形で世に送り出してみたい、っていう小さな夢があったんです。ウエアは平面のキャンバスとは違って、人が着て動く、立体的なものじゃないですか。同じアートでもキャンバスが違えば、雰囲気が変わりますよね。洸平がDAYZE × NOMADIKのラインで総柄のウエアをやりたいと声をかけてくれたことがキッカケで、その夢が実現しました。彼が僕にキャンバスを提供してくれたようなイメージです」
洸平は「売れるか売れないかとか、なんだったら色とかも考えず、良輔くんにぶん投げした感じになっちゃいました(笑)」とこぼしていたが、お互いに信頼とリスペクトがあるからこそ可能なコラボの形なのだろう。これを受けて良輔は実直に、自身のアーティストとしての責務を果たしたわけだ。
「黒いウエアに小雪がポンポン落ちているようなイメージが作れたらいいな、と思って制作に取りかかりました。雨っぽくなると思ったからスプレーは使わずに、指とヘラで描いています。実は原画はモノクロなんですよね。この青味がかった感じは、きっとプリントしたときに出たんじゃないかな」
魂を込めてアートを制作した良輔と、それを素材にしてウエアをデザインした洸平。例えば、GRIND PNTではDAYZEモデルにだけ、膝の部分に切り替えしが入っている。これもウエアデザインの際に発揮された、洸平のセンスなのだろう。最終的には青味がかった風合いになったわけだが、それもまた「いい」と良輔は語る。
「僕が描いた紙と、ウエアに使う生地はまったく違うものだから、そもそも結果が違ってくるのは当たり前。洸平のことは信用しているので、結果としてどんなものができあがっても、大丈夫だったと思います(笑)。形になったウエアを初めて見たときは、うれしかったですね!」
「あくまでアパレルブランドである」というブレない軸
昨今の人気を鑑みると、NOMADIKのことをウエアブランドだと捉えている人も多いだろう。しかし彼らの本質は、あくまでアパレルブランド。場所や時間に制約されることなく、NOMADIKの服と一緒に旅に出てオリジナリティを追求してほしい、という想いが込められている。そんなこだわりのアパレルラインにもDAYZEコラボのアイテムが。こちらも良輔のアートを全面に押し出したデザインとなっている。
「ハートやスマイルなど、マークからインスピレーションを受けて制作しているアートのシリーズがあるんですけど、僕の中ではこの陰陽のマーク(太陰太極図)がNOMADIKのイメージ。洸平も(このマークが)けっこう好きなので、アパレルに採用するアートにこれを選びました。この顔に見えるキャラクター、実はふたつの横顔が重なり合ってできているんです。お互いに支え合ってひとつになる感じ。原画だと1体しかいないんですが、それが服になると、前、後ろ、両腕と、合わせて4体もいるんです(笑)。見え方が変わって面白いですよね。僕も気に入って着ています」
昨年度行ったインタビュー内で洸平は、「アパレルブランドである、という軸はブレない。より力を入れていきたいです」と語ってくれた。あれから1年が経ち、NOMADIKの展開するアパレルはどのような進化を遂げているのか、洸平に聞いてみた。
「生地から裁縫までメイドインジャパンで作っている商品など、量産向けではないこだわりの商品があります。そういうものは一部のプロショップや、NOMADIKのオンラインストアでしか買えないんです」
このDAYZE JACQUARD SWEATERももちろん、彼らの魂がこもったこだわりの一着。先述したように、場所や時間に制約されることなくオリジナリティを追求してほしいという、そのブランド名にも込められているNOMADIKからのメッセージ、そして、彼らが創り出す世界観に共感してくれた人たちは、ぜひ手にとってほしい。