表現者としてシーンを牽引する男と、競技者としてトップに立つ女が、それぞれスノーボード界の頂点に立った。コンペティターからムービースターまでが一堂に会するスノーボード界の頂上決戦「NATURAL SELECTION TOUR」の最終戦がついに解禁。アメリカ・アラスカ州バルディーズ郊外に位置するチュガッチ山脈で行われたステージ3を、トラビス・ライス（アメリカ）とゾイ・サドウスキー・シノット（ニュージーランド）がぞれぞれ制した。両名ともにカナダ・ブリティッシュコロンビア州レベルストークでのステージ2に続いて2連勝を飾り、同時にオーバーオールツアーチャンピオンにも輝いた。
 
選りすぐられた男子8名、女子4名のトップライダーたちが、トーナメント形式で地球最強スノーボーダーの称号をかけて争う。見どころは、セミファイナルでジャレッド・エルストン（アメリカ）にリードを許し、後がなくなったトラビスの2本目。巨大クリフからのドロップを完璧に決めると、想像を絶するほどのハイスピードに違いないはずだが、そこから体勢を整える間もないくらいタイトなセクションでバックフリップをクリーンに決めたのだ。全編が収録されているYouTube動画でご覧いただきたい方は、2:53:16あたりから再生してほしい。
 

 
ミッケル・バング（ノルウェー）とのファイナルでは両者ともに転倒が相次いだ。セカンドランではミッケルが巨大FS360やBS180などを放ちトラビスを逆転したかに見えたが、FS360の着地が乱れたとジャッジングされたのかトラビスのファーストランのポイントを上回ることはできなかった。
 
女子は昨年のオーバーオールツアーチャンピオン、エレナ・ハイト（アメリカ）とのファイナルでゾイが真価を発揮。圧雪されたパークでスタイリッシュな高回転スピンをパーフェクトに操るだけに、手つかずの大自然においても他を圧倒するFS360を成功させると、複雑な自然地形を巧みなスピードコントロールで制覇する見事なランで栄冠を手にした。
 

 
両名のウイニングランはYouTube動画の3:56:45あたりから収録されている。母なる大自然の厳しい条件が整ったタイミングで、今年も地球最強スノーボーダーが決定した。フリースタイルスノーボーディングの可能性を年々広げているトップライダーたちに敬意を表したい。