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17歳の長谷川帝勝が初優勝&日本勢表彰台独占。村瀬心椛3位。W杯ビッグエア速報
2023.01.15
「自分の滑りをするだけ」「表彰台は考えずに(1980を)決めることだけ考えていた」「楽しむことだけを考えてワールドカップに臨んだ」
順にワールドカップ(以下W杯)初優勝を飾った17歳の長谷川帝勝(たいが)、W杯最高順位となる2位を獲得した20歳の木俣椋真、W杯初出場でいきなり3位と表彰台を射止めた18歳の木村葵来(きら)の表彰式直後の言葉だ。筆者はW杯を生放送しているJ SPORTSの番組で解説を務めさせていただいているため、彼らとライブで言葉を交わすことが許された。
オーストリア・クライシュベルクで開催されたW杯ビッグエア最終戦は、ひとり3本のランを行い回転方向の異なる上位2トリックの合算で争われる恒例のルールだ。優勝した長谷川は1本目からCAB1800ウェドルを決めて94.25ポイントをマーク。本人も「気持ちよすぎて思わず両手が上がった(笑)」と大会直後に語ってくれたが、それほどまでに完璧だった。2本目も同様に思わず着地後に両手が上がってしまうほどクリーンなFS1800インディをパーフェクトストンプ。91.75ポイントをマークし、トータル186ポイントとし、結果的にはこのまま逃げ切った格好だ。
木俣は2位で2本目を終えており、3本目はポイントの低い順からの出走となるため、長谷川のみを残す格好で最後から2番目の出走だった。出番を待つ間に、木村が2本目に決めていたスイッチBS1620インディに加えて、3本目に放ったBS1800メロンで完璧な着地を決めて93.5、合計181.75ポイントを獲得して2位に浮上。さらに、ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)が1本目のBS1620トラックドライバーと3本目のFS1800メロンを揃えて3位に食い込んだことで、4位の状態で3本目を迎えた。
これまで何度も高得点で予選を通過し決勝にコマを進めてきたものの、思うような成績を残すことができていなかった木俣。しかし、今大会の彼は違った。ラストランで「大会で初めて繰り出した」というBS1980メロンを完璧に成功させて今大会の男子最高得点となる97ポイントを記録。1本目のスイッチBS1620ステイルフィッシュとの合算で182.5ポイントと長谷川には及ばなかったものの、2位を奪取したのだ。
優勝の長谷川は大会直後、番組内で「いつも自分の滑りをするだけというつもりで大会に出ているけど、それに結果が上手くついてきました。ワンツースリー(を日本人で独占)できたのはすごいよかったですね」と語ってくれた。17歳とは思えない堂々としたインタビューの対応が印象的である。今大会の出走後、ヘルメットに貼っている虎のステッカーをテレビカメラに向かって何度もアピールしていた長谷川。“Tiger Hasegawa”として世界中に名を轟かせ、今後のスロープスタイル&ビッグエアシーンを牽引していく存在であることを証明したのだ。
女子は奇しくも北京五輪と同じ順位で幕を下ろした。優勝はアンナ・ガッサー(オーストリア)、2位はゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)、3位は村瀬心椛。村瀬は大会直後に「BS1260でミスした」と語っていたものの、ノーズグラブが評価されて90.25ポイントを記録し、3本目には1本目でミスしていたFS1080トラックドライバーでポイントを塗り替えて84.25ポイントを叩き出し、合計174.5ポイントと高得点を記録。苦しめられていた今シーズン、初の表彰台に上がることができた。
ビッグエア最終戦ということで、種目別の総合優勝者に贈られるクリスタルグローブも併せて発表。女子は、今大会では8位と本来の力を出しきれなかったが岩渕麗楽が獲得。男子はハーフパイプが本職であるヴァレンティノに輝いた。
男子結果
1位 長谷川帝勝(日本)
2位 木俣椋真(日本)
3位 木村葵来(日本)
5位 荻原大翔(日本)
12位 國武大晃(日本)
28位 大塚 健(日本)
34位 飛田流輝(日本)
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女子結果
1位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
2位 ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)
3位 村瀬心椛(日本)
4位 鬼塚 雅(日本)
6位 浅沼妃莉(日本)
8位 岩渕麗楽(日本)
15位 枝松千優(日本)
17位 深田茉莉(日本)
19位 村瀬由徠(日本)
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text: Daisuke Nogami(Chief Editor) photos: FIS SNOWBOARDING