BACKSIDE (バックサイド)

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SPECIAL

次世代を担う17歳の鍛治茉音と14歳の村瀬由徠【CUTE GIRLS Vol.6】

2022.01.21

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“Cute”と聞いてかわいらしさを連想するのは間違いないが、本企画のそれは色に例えるならピンクではなく濃いレッド。“New Cute”という価値観をガールズシーンに提唱する。
 
女性ライダーたちの血が滲むような努力の末に発展したトリックたちは、ハーフパイプでは1080、ビッグエアでは1260が繰り出されるまでに至った。リスクを顧みることなく己の限界と格闘し続けている「CUTE GIRLS」たちのリアルな姿を本連載では紐解いていく。
 
Vol.6では、次世代のコンテストシーンを担うCUTE GIRLSをふたり紹介したい。すでにW杯を転戦するなどハーフパイプを主戦場としている17歳の鍛冶茉音と、スロープスタイル&ビッグエアで切磋琢磨している14歳の村瀬由徠だ。由徠は、北京五輪の日本代表である心椛の妹としても知られている。

「あの滑りヤバイよね」と言われたい

「あの滑りヤバイよね」と言われたい

──スノーボードを始めたキッカケを教えてください。
 
両親がスノーボーダーだったので連れて行ってもらって、4歳からスノーボードを始めました。地元の富山の子や石川の子たちと一緒に練習していた感じです。始めた年からハーフパイプに入るようになりました。今はフリーライディングのほうで活躍している五十嵐黎の兄弟3人とずっと一緒に滑っていましたね。
 
そして小学5年生になって出た初めての大会が(JOC)ジュニアオリンピックで、翌年6年生のときに優勝したんです。そこから本格的にスノーボードに取り組むようになりました。
 
──どのように練習を積んできましたか?
 
工藤洸平さんのお父さんがコーチを務める「工藤塾」に小学6年のときに入って、今もずっとお世話になっています。冬は北海道にコモっていて、夏休みを利用して北海道のオフトレ施設で合宿しながらトレーニング。カムイみさか(山梨)の室内パイプを利用して1週間くらい練習するときもあります。北海道とみさかを主な練習拠点として、ここ5年くらいやってきました。年間を通して工藤さんには教えてもらっていますね。
 
──憧れているライダーはいますか?
 
やはりクロエ・キムにはすごく憧れています。人柄もそうですけど、エアの高さだったり技の難易度という部分でそう簡単に出せるものではないので、同じ女子ライダーとしてかなりすごいと思っています。クロエがROXYに移籍してきたときはちょっと近くなった感じがして、とてもうれしかったですね(笑)
 
──目指しているライディングスタイルは?
 
スピンの回転数を上げていくだけではなくて、スタイルを入れていかないと得点につながらないと思うし、観ているほうも一人ひとりの滑りが違ったほうが面白いと思うので、クリーンなルーティンもいいけど意外性や面白さを取り入れていきたいです。最近はスイッチバックサイドスピンとか、中国のツァイ(シュートン)がトゥフェイキーを繰り出すなど、ルーティンの構成が面白くなっていると思います。
 
あと、ダニー・デイビスの滑りがめっちゃ好きなんです。大技ではないんですけどアーリーウープなど、一見簡単そうに見えて実は難しい技でものすごく高く飛んで、長い時間グラブをしながらゆったり滑っている姿がめっちゃカッコいいと思います。

ManonKaji_riding

指先までスタイルにこだわりながら空中遊泳

 

──ライディングスタイルについて同世代のライダーと話すことはありますか?
 
(村瀬)心椛&由徠姉妹は昔から知っているというのもあって、めっちゃ仲がよくて。種目関係なく、3人で「これやったらめっちゃカッコいいんじゃない?」みたいな感じで、よく話をしています。毎日のようにふたりと連絡をとっていますね。
 
──どのようなライダーを目指していますか?
 
「あの滑りヤバイよね」と言われたいんです。みんなの印象に残るような滑りができるライダーになりたい。結果だけにとらわれずに、観ている人が楽しめる滑りをしたいと思っています。
 
──今後の目標は?
 
とにかく渋くてカッコいいライダーになりたいです。ROXYを着させてもらっているんですけど、ブランドに対してかわいいイメージを抱いている人は多いと思います。そういったかわいいウエアを着ていても滑りは渋いよね、そう言われたいです。
 
また、大会では表彰台に乗ることと、インパクトが残る滑りをすることが目標です。あとはエアの高さに磨きをかけること。滞空時間が増せば、スタイルを出す余裕も出てくると思うんですよね。なので、高さは絶対的に必要だと感じています。

 

ManonKaji_portrait

 
鍛治茉音(かじ・まのん)
生年月日: 2004年8月24日
出身地: 富山県魚津市
スポンサー: ROXY、ほか
 


カッコいい滑りを映像に残せるようにしていきたい

カッコいい滑りを映像に残せるようにしていきたい

──スノーボードを始めたキッカケを教えてください。
 
お父さんとお母さんがスノーボードをやっていたので、4歳の頃から自然に始めていました。優勝するという喜びを教えてくれようとしていたのか、まだ幼稚園に通っていてた頃に(スノーボード)クロスの大会に出たんです。そのとき私のクラスではほかに誰も出ていなかったので優勝して(笑)、「わー!」みたいな感じでうれしかったんだと思います。
 
そこから(スノーヴァ)羽島やウォータージャンプに通うようになって、JSBA(日本スノーボード協会)の大会に出るようになったのが小4か小5くらいでした。行けば楽しんでいましたけど、ジャンプやジブはリスクが大きいのでこわくて、自分からは積極的にやりたいというのはなかったです。ココ(心椛)がいたからついていく感じでした。
 
──どうやってスノーボードにのめり込んでいきましたか?
 
本当にのめり込んだのは最近ですね。中学校に入ってからだと思います。それまでも大会に出ていましたけど、スノーボードの魅力という部分をしっかり理解していませんでした。自分からスノーボードが好きだと感じられるようになったのは、中学に入学してからですね。
 
──どういう部分にスノーボードの魅力を感じていますか?
 
例えば野球とかサッカーはみんなが同じユニフォームを着ていて、それが悪いっていう意味ではないんですけど、スノーボードの場合はウエアの着こなしから自分らしさや個性を出せるじゃないですか。そこがいいですね。私はスノーボードをスポーツだとはあまり思っていなくて、遊びみたいな感じで楽しんでいます。
 
──どのようなライダーを目指していますか?
 
大会に出ていますけど、それだけだと大事な部分を見失ってしまうと感じていて。(勝つためにスピンを)回すばかりじゃなくて、ヘイリー(ラングランド)みたいにスタイルを追求しているライダーがカッコいいですね。スタイルがある人が好きだから、大会で勝つことも大事だけど、その中でスタイルを出せるようなライダーになりたいと思っています。

YuraMurase_riding

14歳にしてすでにスピントリックでこの表現力

 

──姉の心椛とのスノーボーダーとしての関係性を教えてください。
 
自分がカッコいいと思っている滑りをしていても、「それダサいからやめときや」みたいな感じで言い合える関係です(笑)。ココはどう思っているかわかりませんけど、私にとってはすごくお手本になる存在。女の子の中でもめっちゃカッコいいし上手いし、なんか男みたいな感じだから(笑)。いい存在ですね。めっちゃ仲いいです!
 
先を走ってくれていて尊敬していますけど、目標ではないかもしれません。まったく同じ道を行くつもりはないし、今までの過程もちょっと違います。めっちゃ仲いい姉妹なんですけど、性格も真逆だから目標という感じではないかもしれません。
 
私はひとつの技を覚えるのに時間がかかるタイプなんですけど、ココは男の子よりも早いくらいすぐに技ができるようになるんです。それくらい違っていて、お父さんやお母さんがいつも言ってくれるのが、性格も違うんだから自分のペースで行けばいいよ、って。だから尊敬しているお姉ちゃん、という感じです。
 
──今後の目標は?
 
今シーズンはジュニア世界選手権があるので、それでまたふたつ(スロープスタイル、ビッグエア)とも優勝することと、X GAMESのような世界的な大会にも出たいから、そういう部分で認められるようなライダーになるために、カッコいい滑りを映像に残せるようにしていきたいです。

 

YuraMurase_portrait

 
村瀬由徠(むらせ・ゆら)
生年月日: 2007年2月1日
出身地: 岐阜県岐阜市
スポンサー: BURTON、オリエンタルバイオ/ラフィーネ、SMITH、ほか
 

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: ROXY, Whydah Group

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