なぜ、雪上を滑るためのボードで街中の手すりや壁をコスるのか。スケートボードやグラフィティに代表されるストリートカルチャーが少しずつ浸透してきている日本ではあるものの、ストリートスノーボーディングに対する理解はまだまだ乏しい。
コロナ禍の昨シーズン、ジェイコブ・クルッグマイアを筆頭に、ベン・ビロドー、ブレイディ・レム、JibGurlことダニエル・パターソンら、再編成されたDCクルーはほとんどの時間をストリートでの撮影活動に費やした。ネブラスカ、ニューヨーク、コロラド、アイオワなど、アメリカ中心部のハンドレールを追い求めて練り歩き、人目をはばかって、何本ものボードを折りながら撮影に明け暮れた。
バックミュージックが止まると、いよいよクライマックス。ジェイコブがトウ抜けから高さあるフロントサイド360を繰り出し、ボードのDEAD CENTER（ど真ん中）でダウンレールをとらえるシーンが収録されているのだが、よーく観ていると搭乗しているボードが違う。このスポットで最後のボードを追ってしまったジェイコブは、フィルマーのジャスティン・マイヤーからボードを借りてこの極上フッテージを残したのだ。
なぜ、ここまで身を粉にしてスノーボードにまたがり、鉄やコンクリートと対峙するのか。少しはご理解いただけたのではないだろうか。